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魔王さま、働いてください!!  作者: 沢山 綱政
第2章 魔王を辞めたい
24/51

番外編 〜クアーラの1日(前半)〜

 

 これはとある魔王城の門番の奮闘記である。


        〜〜〜〜


 午前2時、門番の朝は早い。

 午前4時には交代しなければいけない。


 24時間毎に交代勤務なので人間界の消防士に近いかもしれない。


「ふわぁ〜、ん〜」


 あくびをした後、背筋を伸ばし軽くストレッチする。毎日の週間になっているような気がする。


「さて、今日も頑張るぞ!」


 自分に言い聞かせた。ポジティブに考えるといいって聞いたことがあるからこれも毎日やっている。


「とりあえず、朝ごはん食べよ」


 ベッドから立ち上がり、台所へと向かった。


        ◆◇◇◆


「さて、今日は何にしようか」


 冷蔵庫を開け、考える。

 結局、卵とウィンナー、ベーコンだけ出した。


「これ、結構早くて助かるんだよね」


 ベーコン、ウィンナー、卵の準備にフライパンに入れていく。

 その後、食パンを取り出しトースターに入れた。


「よし、出来た!」


 3つとも程よく焼けている。

 ちょうどトーストも焼けたようだ。


「いただきます!」


 届いていた新聞を風魔法を上手く使い、読む。お父さんの真似をしたらたまたま出来た。


「特にこれといったことはないかな」


 風魔法で新聞紙を次のページにめくる。


「ごちそうさまでした」


 皿を片付け、新聞紙を古紙置き場に置いてから自分の部屋に戻った。


        ◆◇◇◆


 軽くメイクし、私服に着替える。


「そろそろ時間かな」


 時刻は午前3時半、ここから職場までは歩いて30分程なのでちょうどいいと家を出た。


        ◆◇◇◆


 魔王城に到着すると城壁の右側へ向かう。

 そこには小さな扉がある。


「おはようございます!」


 扉を開け、元気に挨拶する。

 扉を開けると椅子が数個と長机が1つ、奥に扉がある。


「おはよう、今日も元気だね」


 小柄な男性が挨拶をする。


「朝は元気にしないと! ね、リン!」


 クアーラが本を読んでいる女性――リンに声をかけると少し嫌そうな顔をされてしまった。


「元気すぎるのもどうかと思う」


 小柄の男性は小さい声で笑っていた。


「カーシュ、何がおかしいのよ!」


 小柄な男性がカーシュ、この2人は私の同僚だ。


「それよりも早く着替えた方がいいと思うの」


 リンが時計に指を向ける。

 短針が4に差し掛かっていた。


「早く着替えないと!」


 奥の扉を開け、更衣室へと向かった。


        ◆◇◇◆


「ギリギリセーフ!」


 門の前へ滑り込んだ。きっとギリギリセーフ!


「ギリギリアウトだと思うぞ」


 大柄な男性が冗談気味に笑う。


「そ、そんな〜」


 わざとらしく大きく肩を落としてしまう。オーバーリアクション過ぎだろうか?


「ほら、家で女房が待ってるんだ」


 大柄な男――先輩はカードを差し出してきた。


「確かに受け取りましたっと」


 そのカードに魔力を流すとカードに交代と表示された。


「じゃあ、また明日だな」


 先輩は更衣室へ行くべく歩き、こちらに背中を見せながら手を振った。


「じゃあ、仕事の時間ね!」


 小さくガッツポーズをする。


「とは言ってもこの時間は特に誰も来ないと思うけどな」


 カーシュは少しあくびしている。


「ほら、もっとやる気だしたらどうなの?」


 カーシュ、もっとやる気だそ?


「馬鹿正直に門番する必要はないと思う」


 リンはどこからか出した本を手に持っていた。


「いつの間に本なんて持ってたのよ!」


 リンの持っている本を奪おうとするがリンは必死に抵抗し、本を死守した。


「はぁ、どんだけその本を読みたいのよ」


「この本が読めるなら世界が滅びてもいい」


 声が本気のトーンだ……。うん、気のせいだよね


「ほら、そんなことしてないで、そろそろ6時になるぞ」


 カーシュは腕時計を2人に見せる。

 時間が経つのは早い気がする、


「あの変な人が来る時間」


 リンはまた本を読んでいる。


「ほら、変な人とか言わない! 噂だけどバロン様の婚約者らしいから」


 リンにデコピンをする。全く……。


「あらま、リンさん今の聞きましたか?」


 カーシュがふざけながらリンに話しかける。


「ええ、聞きましたわ。魔王様をバロン様って」


 リンもそれに乗ったようだ。


「これは何かありましたわね」

「ええ、これは聞き出さなければ……」


 リンは持っていた本を仕舞うと両手の指を少し曲げながら、こちらに近づいてくる。


「ちょ、リン? 何やろうとしてるの?」


 なんか怖い。てか、嫌な予感がする。


「さあ、リンさん! やっておしまい」


 カーシュが悪の幹部のようなことを言うとリンは「了解しました」と飛びかかってきた。


「ちょっ、やめ、やめてぇぇぇ!」


 リンは私の脇を(くすぐ)り始めた。


「おっと、優しい盾(ソフトシールド)


 カーシュが魔法を放つと地面にに大きなベッドのような柔らかさの盾が現れる。


「カーシュナイス」


 リンは擽りながらカーシュに礼をする。

 倒れ込んでしまった。


「にゃ、にゃめろぉ!」


 ちょっと、笑いすぎて語彙がおかしくなってにゅう。


「じゃあ、何があったか言う?」

「言うからぁ、言うかにゃ、やめてぇ」


 そう言うとリンは擽るのを止めた。

 はぁーふぅー。


「あ、あれは昨日、弟と買い物してた時……」


 カーシュとリンが唾を飲み込む。


「バロン様とたまたま会って、呼び方はバロンでいいって……」


 2人はため息をした。なんで!?


「それだけか?」

「それだけだけど?」


 するとリンの目が光った。


「弟くんは魔王様に何か言ったの?」


 つい、もじもじし始めてしまう。


「これは何かあったな」


 カーシュが顎に手を当て、考える。


「これだけは……」

「そうか、ならしょうがないか」


 良かった、これだけは知られたくはないからね。

 こんなとこで寝っ転がってないで早く立たないと……。


「リン、やってあげて」

「了解」


 リンがまた擽りをしようとした時だった。


「失礼するのだ!」


 メイラ様が城門へやって来た。


 た、助かった。ナイスタイミング!

 心の中でそう思いながら、メイラ様の前に出る。


「はい、メイラ様ですね。お手をいいですか」


 メイラ様が手を出す、その手に触れ魔法を使う。


検索(サーチ)


 魔法を放ち、目を閉じる。

 隠蔽魔法……なし。変身魔法……なし。

 薬物及び爆発物……なし。


「はい、本人ですね。どうぞお入りください!」


 確認し終えるとカーシュとリンは門を開き、メイラ様を城に招き入れた。


「うむ! ありがとうなのだ!」


 メイラ様は笑顔で城に入って行った。


「さてと、さっきの続きを……」


 リンが言いかけた時だった。


「すみません。魔王様に会いに来たんですが……」


 ピンク色の髪の少女が訪ねて来た。


「面会のお約束をいたしましたか?」

「いいえ、してないです」


 今度は隣に居た金髪の少年が答える。


「今すぐには無理なのでご予定を決めるため後日でいいですか?」


 丁寧に説明すると2人は「はい」と答えた。


「こちらにお名前の記入と髪を1本ずつにお入れ下さい!」


 すると少女はシン、少年はハルと記入し、袋の中に髪を1本ずつ入れた。


「なんで髪の毛が必要なんですか?」


 ハルと記入した少年が尋ねる。


「この髪で通信魔法を使うためです!」


  そう言うと納得したようだ。


「予定が決まり次第、お伝えします!」


 そう言うと2人は「ありがとうございました」と言ってその場を去った。


「ん〜!」


 ひと仕事終えたので背筋を伸ばす。


「で、終わったなら……」

「これからバロン様にご予定をお伝えに行ってくる!」


 逃げるように走って城へ入って行った。

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