表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王さま、働いてください!!  作者: 沢山 綱政
第2章 魔王を辞めたい

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/51

15話 〜母の願い〜

「まあ、家に入りな」


 母さんは家に戻り、扉を開け手招きしていた。

 中に入ると大きめのソファーが2つとテーブルが1つ、他には生活用品などが並んでいた。


「とりあえず、そこに座りな」


 母さんはソファーに指を向ける。

 セアとメイラは「失礼します」と小声で言い座る。


「今、家にはこれくらいしかないんだ」


 母さんは俺たちに暖かい紅茶を差し出し、ソファーに腰掛けた。


「ありがとうございます」

「ありがとうなのだ」


 セアとメイラは緊張しているようだ。


「そんなにカチカチにならなくてもいいぞ」


 俺はと言うと我が家かのようにゆったりしている。てか、別荘みたいなもんだからな。


「そうそう」


 アモネもぐったりしていた。


「2人は緊張感がなさすぎなのだ」


 メイラがそう言うと扉の開く音した。


「ただいまなのじゃ……」


 木の杖を地面に突きながら、ぐったりと倒れ込んだ。


「どうせ、転移魔法で帰って来ただけでしょうが」


 トーグを見下している。


「最近皆の態度が酷いと思うのじゃが」


 トーグが冷蔵庫の中を見ながらそう言う。


「てか、いつの間にこんな家建てたんだ?」

「数ヶ月前に城の者に手伝ってもらったのじゃ」


 トーグは平然と言う。ああ、なるほど〜って。


「アモネに教えたのはお前か!」


 勢いよく立ち上がり、トーグに指を向ける。


「ん、大人の真似をすれば大丈夫って誰が言ってたから」


 アモネが冷蔵庫から勝手に出したチョコをほうばりながら言った。


「そ、そんなこと誰が教えたんだよ!」


 そう言うとアモネは俺の方を凝視した。


「お兄ちゃん、だよね?」


 アモネから目を逸らす。


「そ、それよりもアモネは用事あったんだろ?」


 無理矢理話題を変えるとアモネは母さんの方へ歩いて行った。


「お母さん、これ欲しがってたやつ」


 母さんにラッピングされた四角い包を手渡した。


「ほんとかい! ありがとだ」


 母さんはアモネの額に唇を当てる。

 アモネは少し照れているようだ。


「それと、セアちゃんとメイラちゃんには話があるんだ。少し時間いいかい?」


 2人に尋ねると2人は頷いた。


        ▽▲▽▲▽


「2人とも悪いねぇ」


 家の周りを歩きながら歩く。


「いや、大丈夫なのだ!」

「大丈夫です」


 少し緊張してしまいましたがミマ様の目を見ながら言った。


「それで話って言うのはうちのバロンのことについてだよ」


 ミマ様は止まるとベンチの方へ指を向けた。


「そこに座ろうか」


 ミマ様が言うと3人は腰を下ろした。


「あの子だけど恐らくだけど、ろくに仕事してないだろう?」


 ミマ様は私たちの方へ向き、苦笑いする。


「はい、それはもう全くやってくれなくて」


 つい、ため息気味に言ってしまった。


「あれは自由気ままでね、全く誰に似たんだか」


 脳裏でトーグ様の顔を思い浮かべる。


「だけどその分、親しい人や国民が危険になると必ず助けに来てくれる、そんな人なんだよ」


 ミマ様は家の方を向いている。


「私が守ってもらいたいことはこれだけだよ」


 すると立ち上がり、私たちの前で膝をつく。


「あの子がもし無理するようだったら全力で止めてあげてくれるかい?」


 声はとても真剣だ。そしてとても優しい母親の声。


「約束します」

「約束するのだ」


 真剣な顔で頷いた。


「そうかい、こんないい子に好かれてるあの子は幸せ者だねぇ」


 ミマ様は立ち上がり、手招きをする。


「そろそろ戻らないとあの親子が来ちゃうねぇ」


 家を見ると扉が開き、バロン様とトーグ様が出てきていた。


「では、戻りましょう」

「戻るのだー!」


 3人は家へと戻って行った。

 バロン様とトーグ様は盗み聞きしようとしている事がバレて怒られていましたが……。


         ▽▲▽▲▽


「そうだ、バロン、アモネ」


 全員で一斉に母さんの顔を見る。


「実はバロンとアモネの血は繋がってないんだ」


 母さんは平然と言ってのける。

 へぇー、俺とアモネは……。


「え、それって」


 アモネがブツブツ言っている。

 どうやら自分の世界へ行ってしまったようだ。


「じゃあ、母さんは?」


 慎重な様子で尋ねる。これは超重要事項だからな。


「アモネと繋がってると言ったら繋がってるねぇ」


 えっと、どうゆうことだ?


「アモネは私の妹の子供でね。両親はアモネを置いてどこかに行ったっきり行方意不明なんだよねぇ」


 母さんは困った顔で言った。ああ、そういうことか。


「まあ、本人はなんとも思ってないようだけどな」


 アモネの顔を見ると困惑どころかどこか喜んでいた。


「……ここで思わぬ伏兵ですか」

「むぅ、余計難しくなったのだ……」


 2人は誰にも聞こえない声で何かを呟いていた。


「今日はもう帰った方がいいと思うぞ?」


 トーグが窓を指差す。


「もう、空が橙色(だいだいいろ)になってますね」


 窓の近くにいたセアが反応する。


「じゃあ、帰るわ。またな」


 素っ気なく言う。


「お父さん、お母さん、またね。」

「トーグ様、ミマ様、本日はありがとうございました」

「お2人ともまたなのだ!」


 3人ともしっかり挨拶すると転移魔法を使い、城へと帰った。


        ◆◇◇◆


「さてと、少し早いがご飯にするか」


 転移した場所は魔王城の食堂だった。


「バロン様、私が……」

「いいから座ってろって」


 セアの言葉を遮り、強引に座らせた。


「で、リクエストはあるか?」


「オムライス!」

「ハンバーグなのだ!」

「私はおまかせでいいです」


 全員の意見を聞くと台所へ考えながら向かった。


        ◐◓◒◑


「とりあえず、こんなの作ってみたぞ」


 3人の前にオムライスのようなものを置いた。


「あと、これだな。」


 3人の前にチキンライスを出す。


「なんでチキンライスなのだ?」


 メイラの質問に答えるかのようにオムライスのようなものをふたつに割った。


「ハンバーグ、ですか?」


 セアがそう聞くとバロンは頷いた。


「いっその事、こうしてしまおうかなと」


 アモネとメイラの顔を見ると今すぐ食べたそうだった。


「じゃあ、食べるか。いただきます」

「いただきます!」


 俺に続くように3人もそれに合わせるように言った。


 食べながら3人の顔を見ると満足そうだった。


「ごちそうさまでした」


 4人が同時に言う。


「バロン様、少し経ったらし……」

「食後の運動してくるわ」


 そう言って席を立ち、扉へ向かった。


「アモネ様!」

「うむ!」


 メイラは聖剣を出し、地面に突き刺した。


転移(ワープ)


 しかし、魔法は発動しない。


「んなっ」


 こうなったら仕方ない走って扉へ向かおう。


「させません!」


 セアは俺の足下に手を向ける。


地割れ(クラーク)


 足下に小さな穴ができる。


「うわっ」


 当然転んだ。カーペットが柔らかくて痛くはなかったが。


「これでもう逃げられませんよ」


 転移は出来ない、となれば……。


 地面を思いっきり叩く。叩いた弾みで前回りをした。


「これで……」

「逃げられると思った?」


 扉を見るとアモネが仁王立ちしていた。


「さあ、観念するのだ!」


 メイラが剣から手を離し、近づいてくる。っておや?


「今すぐ剣に手を……」

「転移ぃぃぃ!!」


 転移魔法を使い、城の外へ出た。成功だ。


「す、すまないのだ……」


 メイラが肩を落とす。


「それよりも早く追いますよ!」


 セアがメイラの肩を上げる。


「ほら、早く掴まって!」


 アモネが自ら2人に近づく。


「転移!」


 3人は追跡魔法を使い、追いかけ始めた。


      第2章 〜完〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ