09話 〜アモネのドキドキ計画始動〜
「てか、なんでこんなに嫌な予感がするんだ?」
そう思いながら立ち上がると誰かが扉をノックした。
「お兄ちゃん、お迎えに来たよ!」
アモネが元気に扉を開けた。スカートに上着を着ている。
「お、おう。じゃあ、行くか」
そのまま2人で裏庭へと向かった。
◆◇◇◆
「なんだ、これ?」
裏庭に着くと大きな建造物が建っていた。
こんなの俺、知らないけど?
「これは露天風呂だよ!」
アモネがドヤ顔で言うと俺の手を引いて露天風呂へと近づいた。
「これ、どうやって作ったんだ?」
「お城で働いてる人に手伝ってもらったんだよ?」
アモネはなんでもない顔でそう言った。
アモネ……
「でもこれ、どうやって登るんだ?」
露天風呂の周りには梯子や階段は見当たらない。
「それは私の仕事ですね」
セアは魔法を唱える。
「飛行」
そう唱えると4人の体を空中に浮き、露天風呂の上へと移動した。
「今のって……」
「風の刃と移動の合わせ技です」
かなり難しいことをしているはずなのに平然な顔をしていた。
なにここ、天才の集まりかなんか?
「そんなことはともかく桜林浴を始めよ!」
アモネは元気にそう言うと風魔法を使い、桜の花びらを集めた。
「これで準備完了!」
そう言うと同時にアモネは上着を脱ぎ捨てた。
セアとメイラも上着を脱いだ。
どうやら既に全員が水着に着替えていたようだ。スカートじゃなくて水着だったのか。
「ほら、お兄ちゃん早く!」
アモネが俺の手を引き、露天風呂へと入って行った。
「ふぅ……結局いいなこれ」
綺麗な桜を見ながらお湯に浸かった。
すごく綺麗で癒される気がする。
「でしょ!」
アモネが元気に反応するとアモネは抱きついてくる。
「ドキドキさせると言ってもどうすればいいのだ?」
メイラはなにかを悩んでいる。が、思いつかないようだ。何を考えてるんだ?
「……今回は諦めますか」
セアはゆっくりお湯に浸かり、桜を見始めた。
その後、何事もなく40分経過した。
体感では4分くらいなのにな。
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「そろそろ出ないと逆上せるな」
そう思い、出ようとした時だった。
「お兄ちゃん……」
アモネは見るからに逆上せていた。
「しょうがないか」
アモネを抱えた。まあ、お姫様抱っこと言うやつだ。
アモネを抱えた瞬間、アモネは飛び上がった。
「うわっ!」
アモネが飛び上がった勢いで転んでしまった。
背中は痛いがアモネは無事だからおーけ。
「アモネ……?」
アモネに押し倒されているような体制になっていた。
「お兄ちゃん……」
湿った吐息がバロンに当たる。
アモネはそう呟くと眠ってしまった。
「むっ! あれは……」
「アモネ様が……」
2人はその様子を見てより1層、アピールが激しくなることをこの時俺は知らなかった……。
まあ、言ってみたかっただけだが。
「……とりあえず、アモネのメイドに着替えさせてもらうか」
アモネをメイドに預け、アモネが着替え終わるまで更衣室の前で待っていた。
「バロン様、アモネ様をどうぞ」
アモネのメイドがそう言い、アモネを引き渡した。
どうやらアモネを部屋に送り届けろということらしい。
「まあ、いいか」
独り言を呟くとアモネを抱えて、アモネの部屋へ向かった。
▽▲▽▲▽
……あれ? 私、寝ちゃてた?
目を少し開けると目の前にバロンの顔があった。
えっ? なんで私の目の前にお兄ちゃん顔があるの?
少し混乱すると状況を確認する。
今、私はお兄ちゃんの腕の中、天井を見えるから恐らく私かお兄ちゃんの部屋に向かっているはず……。
するとだんだん恥ずかしくなってきた。
そう言えば今日凄いお兄ちゃんにくっついてた気が……。
そう考えていると顔がどんどん赤くなっていくことを自覚した。
でも、やっぱりお兄ちゃんとしても……でも好きだな。
心の中なのになぜか言葉を濁しまった。
仕方ないよね。
「ん? 何が好きなんだ?」
お兄ちゃんが唐突にそう言うととても焦ってしまう。
まさか、声に出してた!?
恥ずかしさで頭が痛くなってきた。
「夢の中でも卵料理、食べてんのかな」
お兄ちゃんがそう言うとほっとしたが、少しイラつきもした。
この鈍感兄……。
そう思っているとどうやら目的地に着いたっぼい。
お兄ちゃんが扉を開けるとベッドまで行き、そこに私をそっと置いた。
毛布をかけるとそのまま部屋を出ていった。
「お兄ちゃん、大好き」
お兄ちゃんが部屋から出たあと、私にしか聞こえない声でそう呟いた。
▽▲▽▲▽
「さてと、もうすぐ10時か」
時計を見ると短針が10に近づいていた。
「恐らく今戻ると仕事させられるだらうからな……」
そう思い、逃走を選んだ。
◆◇◇◆
「どうやらバロン様は転移したようですね」
セア殿がそう呟いた。
「どうしてわかるのだ?」
「追跡魔法でわかるようになりました」
セア殿はなんともないような声でそう言った。
昨日、アモネに教えてもらった魔法らしいのだ。
「なんだと! 私も追跡魔法を使うことはできるか?」
飛び跳ね気味にセア殿に尋ねた。
「いえ、風魔法の適正がないので無理だと思います」
「そうか……」
「とりあえず、一緒に探しに行きますか?」
「ああ、私も行くぞ!」
咄嗟にセア殿の質問に返事をし、2人は飛行でバロンの元へと向かったのだ。
◆◇◇◆
スケルトンを倒したダンジョンの下層へと来ていた。
「さてと、やることもないし武者修行でもするか」
アイテムボックスから漆黒の剣を取り出し、身体強化の魔法でA~SSランクの魔物を倒して行った。
よゆーよゆー。
「討伐の証を結構集まったな」
そう呟くと後ろから矢が飛んできた。
「誰だッ!」
矢を避けるとできるだけ威圧感のある声で威嚇した。
「العدو」
人狼のような姿の魔物は話しているような気がした。
「استبعاد」
人狼型の魔物がそう唸るととてつもないスピードで近づいてきた。
「は、速すぎる!」
受け流すので精一杯だ。
目で見えねぇ。
「ダークボ……」
「لهب」
魔法を唱え終わる前に魔物が魔法を唱えた。
すると、目の前に炎が立ち上がった。
「熱っ! たが、離れられた!」
魔法の準備をし始めた。
「こんなこともあろうかとエンペラースケルトン戦の後、魔法を創り出したとっておきだ!」
右腕を後ろに下げる。
「暗黒拳!」
魔法を唱えると右腕に闇が集まる。集まった闇を打ち出すかのように勢い良く腕を魔物に向かって打った。
「……」
砂煙が上がり、魔物の方からは音がしない。
しばらくして砂煙が消えると魔物の姿はなかった。
「倒したのか……? それとも逃げたのか」
そろそろ帰ろうと後ろを向こうとした時。
「バロン様、こんなところでなにをしているのですか?」
背中にとてつもない負の圧が突き刺さる。
「バロン! ようやく見つけたぞ!」
メイラは大きな声でこっちに指を向ける。
「転移!」
後ろを振り返り魔法を唱えたが魔法は発動しなかった。
あ、やべ。魔力切れだわ。
「さあ、バロン様。仕事しましょうか」
セアはそう言うと襟を掴んだ。




