06話 〜魔王、冒険者になる〜
「ああ、行くか」
そう言って仲良く手を繋いで城下町へと向かったのでした〜。
嘘です。ごめんなさい。
◆◇◇◆
2人が転移した場所は路地裏だった。
「バロン様が魔王だとバレないようにこれをどうぞ」
そう言うとセアは黒いフードのパーカーと仮面を手渡した。なかなかにかっこいいじゃない。
「ああ、ありがとうな」
そう言うとそのパーカーを羽織り、仮面を付ける。フィットする〜。
「では、行きましょう」
2人は路地裏から出て、表の街へ向かった。
「とりあえず、ギルドから行くか」
セアにそう尋ねるとセアは「そうですね」と同意し、ギルドへと向かった。
ちなみにセアはさすがに普通の服を着ていた。
━━━━━━━ギルドについて━━━━━━
久しぶりかな? ティクだよ!
前回は出番がなかったけど今回はしっかりあるよ!
今回はギルドについてだよ!
ギルドの役割は主に5つあるよ。
1つ目は新人の冒険者の育成だよ!
冒険者は危険な魔物を討伐したり、薬の材料などの採取を依頼をするとそれを引き受けてくれる人達だよ!
2つ目は依頼の危険度の査定をしたり、依頼を出したりする仕事だよ!
危険な魔物が確認されたら、ギルドで危険度を判断してSSSからFの危険度を設定するよ!
3つ目は魔物の鑑定だよ!
魔道具や薬の材料になる物を鑑定して買い取るよ!
4つ目は魔道具の査定だよ!
作った魔道具の価値をはかり、そのまま売る事ができるよ!
5つ目は冒険者登録とパーティー登録だよ!
これは当たり前かな?
今回はここまで! またね〜!
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ギルドへ入ると中はとても賑やかだった。てか、朝からお酒飲んでるやついるし。
それは無視して、真っ直ぐ歩き受付の女性に話しかけた。
「初めての方ですね! 冒険者登録ですか? それとも依頼ですか?」
受付の女性は笑顔でそう尋ねる。コミュ力高い系だな。
「冒険者登録でお願いします」
そう答えたのはセアだった。
「はい、冒険者登録ですね。ここにお名前と年齢、得意な魔法か剣術を書いてください!」
そう言いながら紙を2枚出し、目の前に置いた。
さすがにバロンってのはダメだろうからな……。
そう思い、バロンは名前の欄をバランにした。自分でも適当だと思う。
年齢は15、得意な魔術は闇魔法にした。
セアの紙を見ると、名前の欄はセアになっており、年齢は15、得意な魔術は風魔法になっていた。ほぼ事実だけなんだな。
「はい! ありがとうございます! 少しお待ちください!」
受付の女性は登録用紙を受け取ると笑顔でそう答えた。
「こちらが冒険者としての身分証になります! 紛失した時はかなり面倒なので絶対に紛失しないでくださいね!」
受付の女性は笑顔でそう言い、説明を続ける。
「初めはFランクからです! 依頼を一定以上こなし、試験をクリアするとランクが上がります! 1番上のSSSランクを目指して頑張ってくださいね!」
受付の女性が元気にそう説明し終えると「ありがとう」と言ってから受付から離れた。
「なあ、セア。これからどうしようか?」
「とりあえず、依頼でも見てみますか?」
セアは今にもため息をつきそうな声でそう言った。
依頼の掲示板へ行こうとすると後ろから声をかけられた。
「おいおい、新人。かなり可愛い子を連れてるなぁ」
身長が2mを超えているだろう男からそう話しかけられた。
「なぁ、貸してくんねぇか?」
「嫌だな」
「ああん?」
男は怒ったようにそう唸った。
ちょっとウザイ。
「どうやら、先輩への口の利き方もなってないようだなぁ!」
男はそう言うと殴りかかってくる。
しかし、男の攻撃が当たる前に男のみぞおちに掌底を打っていた。
そのまま男は崩れ落ち、意識を失った。
ごめん、正直に言うと弱い。弱すぎる。
「て、てめぇ! 兄貴に何をしやがったぁ!」
倒れている男の子分(?)の男が短剣で斬りかかってくる。
「暗黒の爆裂弾」
短剣が闇の球体に覆われると球体が破裂し、短剣の刃は消滅していた。
「は?」
男が動揺している隙に男の懐に入り、掌底を打った。
男が気絶し、倒れるとギルドは静まり返っていた。
「バロ……バラン様、さすがにやりすぎです!」
セアは名前を言い直し、叱るようにそう言ってくる。
「こうしないとセアが怪我したかもしれないだろ?」
そう言うとセアは服に顔を隠し、「そ、それはありがとうございます」と小声で言った。その時、セアの耳はとても赤かった。
すると受付から先程の女性とガタイのいい男が出てきた。
「な、何事ですか!?」
男が2人倒れているところを見て、女性は驚いていた。
「詳しく話を聞いてもいいか?」
ガタイのいい男は話しかけてくる。威圧感をそんなに出さないで欲しい。
「はい、分かりました」
そう答えたのはセアだった。
◆◇◇◆
「そこに腰をかけてくれ」
男がそう言うと2人はソファーに座った。
「俺の名前はジョンだ。ここのギルドマスターをしている。そして、受付のあいつはアスリだ。」
ジョンという男性がそう言うと受付の女性――アスリはお辞儀をした。
「では、本題に入ろう。なぜ2人が倒れていたのか聞かせて貰おうか」
ジョンはそう言うと俺を睨んでくる。眼光が見えそうで怖い。
「殴られそうになったので避けようと思いましたが、後ろに彼女がいたので応戦しました」
セアを見ながら丁寧に話した。我ながらなかなかの演技だと思う。
「……嘘偽りはないな?」
ジョンはそう言い睨んで来る。
「はい、ありません」
まあ、話し方はいつもと違うが嘘ではないはず!
ジョンはアスリの方を見た。
アスリが首を横に振るとジョンは立ち上がった。
「疑って悪かった。非があるのはあの2人のようだ」
そう言うとジョンは深々と頭を下げた。
「頭をあげてください。仕事をするのは当然ですから」
セアは『仕事のするのは当然』というところを俺を見ながら強調している。ちょっと、俺の方を見ないでくれますかね?
「俺たちはもう行ってもいいのか?」
「ああ、もう行ってもいいぞ」
ジョンがそう言うと2人は部屋を後にした。
◆◇◇◆
「今度こそ、依頼を見ようぜ」
そう言うとセアはため息気味に話した。
「仕事にもそれくらいのやる気があればいいんですけどね」
「それは無理だ、諦めてくれ」
少し笑うように本気の声でそう答えた。
「これやってみようぜ」
面白そうな依頼の紙をズボンのポケットに入れてからギルドを出て、路地裏に入ってから街の外へセアと転移した。
無駄に動作が多い気がするがそこは無視しておこう。
◆◇◇◆
2人はとても暗い洞窟のようなところに転移していた。
「ここって、バロン様が逃げて来た場所じゃないですか!」
セアが驚き気味にそう言う。
「ここ、実はダンジョンの下層なんだよね」
少し躊躇しながらセアに言った。ここならあまり人いないし丁度いいかなって。
「なんてところに帰り……」
「とりあえず行ってみよー!」
セアの言葉を無理やり遮り、ダンジョンの奥へと進んだ。
セアは諦めたようについてきてくれた。
下層のボス部屋の近くの別れ道を迷わずに進み、討伐対象と思われる魔物を発見した。
「まさか、あの骸骨と戦うんですか?」
セアは呆れ気味にそう言う。
「ああ、今回の討伐対象はあの骸骨、エンペラースケルトンだ」
2人は声を潜める。
「それじゃあ、俺が前衛でいくからセアは後衛でサポート頼むぞ!」
アイテムボックスから愛剣の漆黒の剣を取り出しスケルトンへと斬りかかった。
てか、漆黒の剣って適当すぎるよな。




