05話 〜魔王、逃亡〜
〜あらすじ〜
メイドが来たり、妹の裏の顔がチラ見えしたり、許嫁の勇者を知ったり、波乱万丈な1日を過ぎ、このちょーイケメンな魔王はその3人から逃げたのでした〜。
はい、嘘です。顔は普通だと思います。
逃げてる理由はモテるからじゃなくて単純に仕事を押し付けられそうだからです☆
「やっとお兄ちゃんを捕まえられた」
そう呟いた少女は妹のアモネだ。ちなみになぜか先回りされてた。ミステリアス!
「まったく、往生際が悪いですよ」
ため息をつきながらそう言った女性はメイドのセアだった。食後の運動って結構キツいよね。
「なんでいる場所がわかったんだよ……」
「お兄ちゃんに追跡魔法かけたんだよ?」
アモネはにっこり笑ってそう答えた。怖ーよ!?
「いつの間に!?」
「それよりも早く仕事してください」
セアは少し怒ったような声でそう言った。これ以上はキツいか。
「……わかったよ」
観念しても2人は腕を掴んだままだった。信頼無さすぎだろ……。
◆◇◇◆
2人は仕事部屋に着くと残念そうに腕を離した。
「では、早く仕事を――」
セアが何かを言おうとした瞬間だった。
「バロン! 今日も来たのだ!」
そう元気にメイラが部屋に入ってきた。
「なんでここにいるの?」
アモネが不思議そうに言う。
「それはバロンと会う約束をしたからだ!」
メイラは元気に言った。ナイスタイミング!
「そ、そうだったな。とりあえず、転移!」
メイラを掴んでそのまま城下町へ転移した。
◆◇◇◆
「とりあえず俺に魔法解除の魔法剣を使ってくれ!」
転移した瞬間にメイラにそう頼んだ。じゃないとすぐ見つかるからね。
「わ、わかったのだ」
少し驚きながらメイラは目の前に剣をだし、剣の樋で軽く叩いた。
「これで多分魔法が解けたはずだぞ?」
「ありがとうな」
「どういたしましてなのだ!」
メイラは誇らしくそう答えた。
「とりあえず話があれば聞くが」
今の俺は機嫌がいい、少しくらい聞いてやろう。くらいの発言だった。
「昨日の続きでバロンと結婚したいのだ!」
そう答えるとメイラから目を逸らす。
「む? バロン?」
メイラが近寄ってくると話題を無理やり変える。今はちょっと……。
「そういえば昨日も急にその剣が目の前に現れたけどその剣はなんだ?」
そう尋ねるとメイラは残念そうにした。
「これは聖剣だ。聖剣は念じれば目の前に現れるのだ!」
メイラは誇らしげにそう言った。
「な、なるほど……」
「それよりもだ! 昨日のはな……」
メイラがそう言ったとき、2人の人影が目の前に現れた。2度も同じ技は効かんわ!
「ちょっとやばいからとりあえずじゃあな」
そう言うとメイラを置いて転移魔法を使った。仕方ないよね☆
「ば、バロン?」
何が起こったかわからずに放心していた。(ような声だった)
「一足遅かったですか」
「やっぱり魔法で敵わない」
突然現れた人影――セアとアモネは残念そうにそう言った。
「何が起こったのだ?」
ただ1人メイラだけが何が起こったか理解できていなかった。
◆◇◇◆
「さすがに今のはやばかったな」
ため息をしながらそう言った。あと1秒でも遅ければ捕まってたな。
「今度、メイラに謝らないとな」
もちろん、その日に結婚の申し込みをしなければだが……。
今、子供の頃に作った秘密基地にいた。逃げようとしたらふとこの場所が浮かんだのだ。
「ここ、久しぶりに来たな」
秘密基地とは言ったがたまたま見つけた廃墟だ。壊されないように隠蔽魔法を覚えて使ったっけ? 穴が空いている箇所は手に入った木材などで塞いだり、補強した。
壁に背中を預けると昨日の疲れが取れなかったのか気づくと眠ってしまっていた。
****
「ここは……?」
気づくと部屋の中にいた。
目の前には昨日、夢で見た幼い頃の自分と少女が座っていた。て、言っても今思い出したが。
「バロン! 今日は何して遊ぶ?」
少女が元気にそう尋ねた。
「そうだな……――はやりたい遊びはないのか?」
なぜだか、少女の名前だけが思い出せない。
「うーん、じゃあトランプで遊ぼ!」
元気に少女はそう言う。
「ああ、トランプで遊ぶか!」
2人は仲良くトランプで遊び始めると目の前は真っ白になった。またいいとこでぇ!
****
起きると時刻はお昼すぎだった。
通りでお腹が少し空いてる訳だ。
「少しお腹空いたな」
そう思って立とうとした時、後ろから声をかけられた。
「まさか、こんなところにいるとは……」
後ろを見るとセアが立っていた。
「な、なんでここがわかった……?」
ここにいることに驚きながらセアに尋ねる。
「そうですね……それはいつかわかると思いますよ」
セアは儚い笑顔でそう答える。今にも崩れそうな笑顔だった。
「とりあえず、仕事の話は後にしてお昼食べませんか?」
「ああ、そうだな」
そう答えるとセアと一緒に魔王城へ転移した。
◆◇◇◆
バロンはセアに「食堂へ転移してください」と言われたので食堂へ転移するとアモネとメイラが座って待っていた。
「お兄ちゃん、どこに行ってたの!」
アモネが怒鳴っている。反射的に「ごめん」と答えた。
「むう、私は置いてけぼりにされたのだ……」
メイラは寂しそうにほう言った。
「ごめん、ごめん、今度出来る限りお願い聞くから」
よし、これで謝った。本日のノルマは達成!
「じ、じゃあ、私と結婚し……」
「それとこれとは話が別だ」
メイラの言葉を無理やり遮った。これだから謝りたくなかったんだよ……。
すると、アモネがメイラに向かって殺気を放った。
「お兄ちゃん、結婚って?」
アモネは顔は笑っているが声が全く笑っていない。これ、背中――いや、全身に防護魔法かけた方がいいかな? 新しく覚えなきゃだけど。
「それは……」
「結婚って?」
アモネは言い寄ってくる。誰かー助けてぇー!!
「それよりもとりあえずご飯を食べませんか」
そうセアが言うと目の前にスパゲッティを置いた。
どうやら、話している間に作ってくれたようだ。
この恩は忘れない……。
「セア、ありがとな」
感謝の言葉を言うとセアは照れながらに一礼した。
「いただきます!」
声を合わせて言うと食べ始めた。
◎○◎○◎
「ごちそうさまでした!」
全員、満足そうにそう言った。
「お粗末さまでした」
セアは少し照れくさそうに言うと全員のお皿を片付け始めた。
「セアがやらなくても俺がやるのに」
少し申し訳ない気持ちになってくる。
「いえ、これくらい大丈夫です」
セアはお皿を片付けながらそう言った。
「それとめっちゃ美味しかったぞ」
笑顔でそう言うとセアは「ありがとうございます」と嬉しそうに答えた。
「わ、私より料理が上手……」
アモネが落ち込んだように小さ声で呟いた。
アモネが料理が大の苦手で、3日寝込んだこともあった。正直に言うと料理が一般レベルになるまでは食べたくない。だって色が紫なんだよ? その時は頑張って完食したんだよ?
「そういうことで、束縛」
セアはいきなり魔法を放ち、俺の身動きを封じた。
「やっと捕まえましたよ」
「ここまで半日もかかった」
セアとアモネの2人は文句を言ってくる。ちょっとグザグサくる。
「め、メイラ、助けてくれ」
バロンがメイラに助けを求めるとメイラはそっぽを向いた。
「さっきは私のことを置いてけぼりにしたくせに、そもそも仕事はしないといけないのだ!」
周りに味方がいないので嫌々、仕事部屋へ行った。ちなみに心のHPは0になった。
ふとその時、頭にある考えが浮かんだ。
「なあ、国民の生活について知るのは魔王の仕事だとは思わないか?」
「確かにそうかもしれないのだ」
メイラは意見に同調した。よし!
「そう言ってまた逃げるつもりですか? ニート様?」
セアが見下している。とりあえず全力で否定しておこう。
「……仕方ないですね、アモネ様とメイラ様に留守番を頼みます。」
セアは諦め気味にそう言った。勝ったな。
「なんで私が……」
そうアモネが言うとセアはアモネの耳元で小声で離した。
「こっそり、書類の承認をアモネ様がすればバロン様の好感度が上がりますよ」
アモネは「それなら……」と承諾した。
「わ、私は……」
セアはメイラの耳元でアモネと同じように話した。
「バロン様のことについてお城の皆さんから知ることが出来るかもですよ」
メイラも「う、うむ」と引き受けた。
俺は全く聞こえませんでした。まじでなんで言ったの?
「では、バロン様。行きましょうか」
セアは笑顔でそう言った。
「ああ、行くか」
そう言うと2人で転移魔法で城下町へと転移した。サボれるぞぉぉぉ!!




