長編小説の1話あたりの更新の分量
「読者さんにとっちゃ、これが最後に読む話かもしれない。連載形式のWeb小説は、買ったからにゃあ最後まで読んだる、が通じないっすからね。
そゆわけで毎回キリよく終わらせつつ、ヒキを入れる感じで更新話書いてるんすけど」
まさかね。
まさか1話で10000字超えると思わなかったんですよね……。
「あー内政むっずい……。盛り上げポイントを雑に配置できないし切りどころもねえーってなる。なった」
「ああ。政治に正解はないからな」
「そこなんすよね……。独裁制だってトップが優秀なら意志決定が最速の政治体制ですし、メリットデメリットはどんなものにもあると思うっす。というか、可能な限り政治的に中立でありたいですし。わたしノンポリっす」
筆者は創作物の影響力を信じている。
すなわち、翻ってそれは、あらゆる表現は潜在的に他者を傷つけうるものであり、他者に悪影響を与えうるものでもあるということ。
そんな創作物の中に、政治体制やら社会情勢なんかへの自分の意見を混ぜ込むのは、なんというか、フェアではないと思うのだ。一応、そこに配慮しながら文字を出力している……つもりである。つもり。
でも、どれもこれも思想は濃く出ちゃっている気がする。投稿ジャンルSFのやつなんかは特に濃厚で出汁の煮凝りみたいになってるような気がする。
「まあ、それはともかく。Web小説の読書形態を考えるに、1話あたり文字数は多ければ多いほど良いか?って問われるとそんなことないよなって思うんすよね」
「その心は?」
「許容しやすい文字数ってだいたい5000字くらいまでな気ぃするんすよね。5000でも多い気がする。どんな風に読むのか、って問題っす。電車とかおふとんで横になったりしながら読んでて、次の話への切り替えは栞として使ってるんじゃないかなーって。少なくともわたしは割とそんな感じに読んでますし……ハッもっと真面目に読めって思われてそう! それはそう!
……で、そうなると、1話あたり文字数が多すぎることは不便なんすよね。ややこしいものやってる自覚があるので、こういうフレームの部分では読者さんに優しくありたいんすよ。あっこの台詞に他のひとの作品に対する批判の意図は一切ないっすかんね!」
「免責は大事ですねえ。不用意な表現は他のひとを傷つけちゃいますからねえ」
「それぞれにスタンスってありますからね。色々考えた上でこれこれこーゆースタイル取る、それは作家性って呼ばれるものだと思うっす。そゆわけで、文字数も自分の中で意識はしてたんすけど……。5000字オーバーて。5000字て。これはこれで推敲足りてねえんすよね」
「『われはロボット』」
「そうなんだよな。これ仮にわたしが過渡期のAIなら逸脱行為に走ってんだよな」
自分の中で定めたルールa『キリよく、この話で読み終えられてもよい』とルールb『文字数は限度があるよね』とが、それぞれ抵触している。
まさしく早川がテロップのように掲げているロボット三原則と同じだった。……つまり破られるために存在してるルールであり、そのくせ破るとぐああって自我にダメージがあるやつだった。
「はー、シンギュラリてぇー。ダメージ受けたくなくなりてぇーす」
「『シンギュラリティは近い』」
「どうだろう。確かにマテリアルズインフォマティクスなどの分野でAI技術を利用した更なる発展が見込まれるが果たして現在語られている既存の産業構造のほとんどを空洞化させるほどの影響があるとは──」
「ややこしいややこしい! 思いつきに対してそういう知識のひけらかしやめましょう! 醜いっ!!
シンギュラリてぇーっ!!」




