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第7話 冒険者試験

 食事をしたものの、宴会はお預けになった。

 時間的に余裕があるため、次の行動に移ったんだ。

 もちろん、冒険者ギルド加入のための試験だ。


「ダーリン、そんなに冒険者になりたいんですか?」


「それもあるけど、冒険者になればあの少女を保護できるからだよ」


「今も、保護してますよね?」


「ギルドの保護は、一時的なものだ。対して冒険者の保護は、永続的なものだ」


 具体的には――


 前者はギルドに留まる必要があるけど、後者はギルドに留まる必要がない。


「好き勝手には動き回れないけど、町を散策することは可能なんだ」


「ははぁ、好感度上げのデートイベントを狙ってるんですね?」


「誤解するんじゃない!」


 少女次第だけど、自由にさせたい。

 そうしないと、息苦しくなる。

 マスターに保護されたころの俺みたいに。


「マスターに、保護されたころ?」


「俺はマスターに保護されるまでは、各地を転々としていたんだ」


「この町に流れ着いたんですか?」


「それからは、冒険者未満の仕事をこなしていたよ」


「下積みの経験があるからこそ、今のいい流れがあるんですね!」


 スラマロらしい前向きな発想だ。


「見当たらないな――」


 地図を頼りに森の周辺に来たものの、ウルフの群れは見当たらない。


「ダーリン、記号が逆ですよ?」


「その場合……後ろか!」


 振り返ると、十メートルほど後方には魔物の群れ。


「単なる狼じゃないんだな?」


「ウルフは、狼の魔物ですよ。正式名称は、バトルウルフ」


「捕獲レベルは、高そうだな」


「討伐レベルは、低いですよ」


 ウルフは普通の狼に比べると、一回りほど大きい。

 さらに、その爪と牙は鋭く尖っている。

 何より、闇夜のような真っ黒い色をしている。


変異種(へんいしゅ)を除いたら、冒険者ギルドの加入試験としては、申し分のない敵ですね」


「お前はギルドの関係者かよ……変異種?」


「突然変異的に、力を得た個体の呼び名です」


 スラマロの言葉は、不吉に聞こえる。


「強いのか?」


「元の個体の戦闘力にもよりますけど、強いですね」


「混じっていないよな?」


「混じってたら、一目でわかりますよ。見るからに、大きいですから」


 ウルフの群れの中に、目立つ固体は見当たらないから、心配無用のようだ。


「それより、囲まれましたね。一度、逃げます? それとも、戦います?」


「逃げるのは面倒だから、このまま戦う!」


「そうだと思いました!」


「行くぞ!」


「ほーい!」


 息を合せる。


「「『性質変化』!」」


 次の瞬間――


 スラマロの変化した、ブロンズソードを構える。


「先手を打つぞ!」


 ウルフが様子見している隙に、距離を詰める。


「マナスラッシュ!」


 スカッ!


 予想に反して、攻撃を避けられる。


「避けられた……? それなら、もう一度!」


 逃げたウルフに、追いすがる。


「マナスラッシュ!」


 スカッ!


 再び、攻撃を避けられる。


「相性が悪いですね」


「相性?」


「ソードのスラッシュは、汎用性重視なんです」


「使い勝手がいいんだろう?」


「逆に言うと、動きの速い相手に対しては、分が悪いんですよ」


 今度は、ウルフの群れから距離を取る。


「動きの速い相手に効果的な、武器と特技はないのか?」


「もちろん、あります。ダーリン、『性質変化』を使ってください」


「わかった、『性質変化』!」


「へーんしん!」


 次の瞬間――


 俺の手というよりも、拳に収まっていたのはブロンズナックル!


「ナックルの戦闘特技は、ラッシュですよ」


「ラッシュ? マナラッシュだろ」


 確認を済ませると、跳びかかってきたウルフを迎え撃つ。


「マナラッシュ!」


 ドコッ!


 ウルフを打ち倒す。


「一瞬かよ!」


「一瞬ですよぉ!」


 驚く俺と、喜ぶスラマロ。


「一気に片付けるぞ!」


「宴会まっしぐら!」


 ウルフの群れに、突っ込む。


「マナラッシュ! マナラッシュ! マナラッシュ!」


 ドコッ! ドコッ! ドコッ!


 あっという間に、ウルフの群れを壊滅させる。


「楽勝だったな」


「ダーリン、油断は禁物ですよ?」


「足をすくわれる相手もいないだろ……来る!」


 草木を割って出てきたのは――


 群れのボスと思われる、見るからに大きなウルフ。


「「変異種!」」


 予想外の事態に、顔を見合わせる。


「ウォォォン!」


 遠吠えに込められた敵意に、威圧される。


「ダーリン、避けて!」


 ゴロン!


 地面を転がって、ウルフリーダーの突進を避ける。


「スラマロのアドバイスがなかったら、食らっていたぞ……」


「守りに入ると、やられます。ここは、攻めてください!」


「わかった、攻めまくる!」


 立ち上がると、構える。


「マナラッシュ!」


 ガシッ!


 俺の拳は、ウルフリーダーによって受け止められている。


「マナラッシュ、マナラッシュ、マナラッシュ」


 ガシッ、ガシッ、ガシッ。


 いずれの攻撃も、受け止められる。

 マナラッシュだと、威力が足りないんだ。

 かといってマナスラッシュだと、速度が足りないんだ。


「どうする?」


「ダーリン、協力技を使いましょ!」


「ナックルでも可能なのか?」


「マロとダーリンが力を合せれば、不可能も可能になります!」


 相棒の言葉に、自信を深める。


「行くぞ!」


「ほーい!」


「ビースト――」


「ラッシュ――」


 ドコッ、ドコッ、ドコッ、ドコッ、ドコッ、ドコッ――


 まさに、滅多打ち。


「ウォォォン――」


 ビーストラッシュによって、ウルフリーダーを打ちのめす!


「倒したぞ!」


 見渡すと、いずれのウルフも死んでいる。


 その時、待望の音色が聞こえ始める。


 テレテレッテッテッテー♪


「「レベルアップ!」」


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


 名前・アルト

 職業・レジェンドテイマー

 レベル・3

 攻撃・120(レベルアップによる能力値上昇+10)

 防御・120(レベルアップによる能力値上昇+10)

 敏捷・120(レベルアップによる能力値上昇+10)

 魔力・120(レベルアップによる能力値上昇+10)

 技能・性質変化

 耐性・レジェンドの証

 契約・あり


 名前・スラマロ

 職業・イータースライム

 レベル・3

 攻撃・40(レベルアップによる能力値上昇+5)

 防御・40(レベルアップによる能力値上昇+5)

 敏捷・40(レベルアップによる能力値上昇+5)

 魔力・190(レベルアップによる能力値上昇+5)

 技能・大食い

    武器化(ブロンズ製武器)

 耐性・毒耐性

 契約・あり


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 二人とも順調にレベルアップして、着実に成長している。


「ダーリン、戦利品!」


「今回は、素材中心だな?」


 ウルフの素材を入手していく。

 その中には、レア素材も含まれている。

 特に変異種の牙は、高値がつくだろう。


「それじゃあ、町に帰ろう!」


 俺たちは、町に向かって歩き出した。

 お読みいただき、ありがとうございます。

 戦闘特技は、剣士タイプの魔法と考えてください。

 本来、連発できないのですが、二人が規格外のため連発しています。

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