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第58話 王都到着

 決戦の地に到着だ!


「行くぞ」


 俺は胸の高鳴りそのままに城門をくぐろうとして、呼び止められる。


「魔物を連れた少年、許可がないと中に入れないから、審査の列に並びなさい!」


 地元とは違い、通行許可が必要らしい。

 俺は素直に列に並ぶ。

 審査を待ちながら、城門を見上げる。


「この門をくぐると、叡智の賢者の後継者になれるそうですよ」


「俺、一応後継者だぞ?」


「ダーリンの場合、ランクアップですよ。ハーイ、テイマー!」


「呼び名じゃなく、呼ばれているだけだろ!」


 会話の間に、審査は終わる。


「本当の意味は、区切りだろ。今からでも遅くないから、成り上がろうぜ!」


 巨大な城門をくぐった俺は、


「すんげぇ!」


 間の抜けた感想を漏らす。


 小型の竜に乗っている騎士。

 異種族の使節団らしき一行。

 そう、多種多様な人々が集まっているんだ。


「人が、多いな!」


「町が、広いっすね!」


 興奮する俺とゴレスケ。


 何しろ、ここは――


「オットットは、おいしいですねぇ」


「お菓子じゃねえよ!」


「駄菓子?」


「そういうことじゃなく、お、う、と!」


 心配げなスラマロ。


「ダーリン、大丈夫ですか?」


「どうしてお前じゃなく、俺が心配されるんだよ?」


「吐きそうなんでしょ?」


「嘔吐じゃなく、王都!」


 そう、ここは国の中心、王都なんだ。


「オットーは、元気してますかねえ」


「まだボケるつもりかよ!」


「ボケじゃないですよ」


 息の合ったやり取りに、


「アハハハハハッ!」


 行き交う人々は爆笑する。


「スラマロは、興奮しないんだな?」


「これぐらいの規模の町は、見慣れてますから」


「そう言えば、いいところのお嬢様だったよな?」


「お嬢様じゃなく、お姫様ですよぉ」


 強固に主張するスラマロ。


「アニキ、それよりも、これからどうするんすか?」


「先に到着した、エリスたちと合流しよう」


「合流後に、事務局員と接触っすね?」


「それじゃあ、合流地点の宿に向かおう」


 王都と地元との一番の違いは、人々の反応。

 仲間を両肩に乗せていても、まったく目立たない。

 観察した通り、異民族はもちろん異種族も珍しくないからだ。


「いろいろあって、面白いな」


 ギルドを始めとした施設も、変化に富んでいる。

 人間用はもちろん、魔物用も見かける。

 その中には、魔物のギルドも含まれている。


「リッチのギルドは、まずいだろ?」


「ダーリン、魔物差別ですかぁ」


「お前らの種族は、貶していないだろ」


「マロは、博愛主義者なんですよぉ」


 茶化すスラマロ。


「ゴブリンはともかく、オークギルドはないのか?」


「嫌われ者のイメージが強いから、細々と生きてるんすよ」


「あいつらも、案外大変なんだな」


「あの干肉は、うまかったすね!」


 思い出すゴレスケ。


 宿への道すがら王都観光を楽しんでいると、耳寄りな情報に行き当たる。


「今日、黒き閃光のゼノンの戦いが見られるんだぜ!」


「御前試合は、明後日だろ?」


「その前哨戦をやるんだよ!」


「見たいけど、チケットを取れないだろ?」


 大っぴらに言っているから、本当に試合が組まれているんだろう。


「ダーリン、これはチャンスですよ」


「ゼノンの戦いぶりを知るための?」


「ゼノンの秘密を知るための」


 言い換えるスラマロ。


「ゼノンの力の源は、異界のデーモンだろう?」


「異界のデーモンに頼っていたら、観客にモロバレですよ」


「他の力があると、言いたいのか?」


「正確には、他の力に見せかけた異界のデーモンの力があります」


「同じだろ」


「違います。その場合、力の源を特定すれば勝利は確実ですよ」


 言い換えると、力の源を特定しない限り、ゼノンに勝利できないんだ!


「もっとも、そのためには貴重なチケットを入手する必要があるな」


「ダーリン、事務局員を頼りましょう。救助依頼の報酬、貰ってませんよね?」


「いいところに気づいた!」


「ニコリ、さすがマロ!」


 得意げなスラマロ。


「よし、到着。中に入ろうぜ」


 目的の宿は、思った以上にいいところだった。

 御前試合に参加するため、ギルド連盟が用意してくれたんだ。

 万一の事態に備えて、セキュリティなどは万全だろう。


「アルトちゃん、ちょうどよかったわ、試合を見に行かない?」


 宿の出入り口には、見覚えのある二人。

 もちろん、エリスとマスター。

 エリスはともかく、マスターは忙しげだ。


「もしかして、ゼノンの試合ですか?」


「知っていたの? それなら、話は早いわ。私の代わりに行ってきて」


「マスターは、これから用事?」


「ギルド連盟の会合。それじゃあ、私の分も楽しんできてね」


 そう言い残して、マスターは外出する。


「アルト君、試合を見に行く?」


「もちろん、行く。ゼノンに関して、調べたいことがあるんだ」


「それじゃあ、あたしが案内するよ。一通り観光したから、道を覚えたの」


 部屋に荷物を置いて身軽になると、模擬戦の行われる闘技場に向かう。


「人気の試合なのに、よくチケットを取れたね?」


「ギルド連盟の、あの事務局員さんが渡してくれたの」


「王都観光のために?」


「もちろん、ゼノン攻略のために」


 微笑むエリス。


「あの事務局員、何者だよ?」


「出世コースに乗ってる、ギルド連盟期待のエリートらしいよ」


「マスターとは、顔見知りなんだろ?」


「お嬢様と呼んでたから、マスターの実家関係の人らしいね」


「マスターが、お嬢様? ぷぷっ、どんな世界だよ!」


「アルト君、マスターに聞かれたら、怒られるよ」


 たしなめてくるエリス。


「スラマロもゴレスケも、おとなしいな?」


「マロ、ペコペコ……」


「オレ、ネムネム……」


「言われてみると、動きっぱなしだな? 闘技場に着いたら、一休みしよう」


 闘技場に着くと、屋台で食事を買い求める。

 本命の試合までは時間があるため、木陰で昼食を取る。

 スラマロはパクパクと食べて、ゴレスケはクゥクゥと眠っている。


「到着、遅かったね?」


「馬車は山賊に襲われるわ、街道は倒木にふさがれているわ、一苦労だったよ」


「それ、ほんとに偶然?」


「偶然じゃないとしたら?」


「ゼノンの仕掛けた罠じゃないの」


「言われてみると……あの悪党!」


 ゼノンらしい陰険な罠だ!


「ほんとにそうだとしたら、気をつけたほうがいいよ」


「これぐらいの問題、切り抜けてみせる!」


「敵の目的は、アルト君の精神をすり減らすことだよ」


「ゼノンの狙いは相手の出場辞退じゃなく、自分の確定勝利かよ!」


 ゼノンの行動に、俺は激しい怒りを覚えた。

 お読みいただき、ありがとうございます。

 実は、王都に向かう際の珍道中を描くつもりでした。

 ただ、心身ともに優れないため、またの機会にしました。

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