第56話 ゼノンの不正を暴け
「「「悪霊退治、成功!」」」
見渡すと、ファントムが消えたために薄暗さはなくなっている。
その時、心地よい音色が聞こえ始める。
テレテレッテッテッテー♪
「「「レベルアップ!」」」
▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼
名前・アルト
職業・レジェンドテイマー
レベル・12
攻撃・210(レベルアップによる能力値上昇+10)
防御・210(レベルアップによる能力値上昇+10)
敏捷・210(レベルアップによる能力値上昇+10)
魔力・210(レベルアップによる能力値上昇+10)
技能・性質変化
レジェンドの眼光
レジェンドの御手
耐性・レジェンドの証
契約・あり
名前・スラマロ
職業・イータースライム
レベル・12
攻撃・120(レベルアップによる能力値上昇+5)
防御・120(レベルアップによる能力値上昇+5)
敏捷・120(レベルアップによる能力値上昇+5)
魔力・270(レベルアップによる能力値上昇+5)
技能・大食い
武器化
耐性・毒耐性
契約・あり
名前・ゴレスケ
職業・エレメンタルゴーレム
レベル・12
攻撃・105(レベルアップによる能力値上昇+5)
防御・105(レベルアップによる能力値上昇+5)
敏捷・105(レベルアップによる能力値上昇+5)
魔力・175(レベルアップによる能力値上昇+5)
技能・精霊の加護
防具化
アーティファクト化
耐性・麻痺耐性
契約・あり
▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲
レベルアップに関しては、ノーコメント。
手抜き?
しょうがないでしょ、変化はないんだから!
「戦利品は、人質の三人?」
「ショボくないっすか」
「戦利品は、別だと言いたいんだろ」
「苦労したんだから、いいものが欲しいっすよね!」
元の姿に戻ったゴレスケは探し回っている。
「アニキ、石!」
「また、石?」
ゴレスケの示した先には、黒い石。
「それは、 魔石ですね」
「魔石ゲーノー?」
「どこの闇ギルドですか?」
「真の闇は、ヨシモットギルドだろ」
「ダーリン、闇のイーリエに消されますよ!」
心配するスラマロ。
「魔石は、魔力の補給に使います」
「俺たちは、魔法を使わないよな?」
「ダーリン、『性質変化』を始めとした能力は、魔力を消費してるんですよ」
「それでも枯渇しないのは、全員の魔力の数値が高いためか!」
俺たちの魔力は、優に100を超えている。
その数値は、熟練の魔法使い以上だ。
そのため、戦闘特技を連発できるらしい。
「いずれにしても、魔石は役に立ちますよ」
「今のところ、役に立ちそうな場面はないのに?」
「長期戦なら、話は別です。それに、売ればいいお金になりますよ」
「そういうことなら、貰っておこう」
俺は久しぶりのまともな戦利品を回収する。
「アニキ、オレを囮にした理由はあるんすか?」
「ファントムに、金のロザリオを与えたくなかったからさ」
「渡したくなかったんじゃなく、与えたくなかった?」
「金のロザリオを与えると、ファントムがパワーアップすると感じたんだ」
「力を抑えるどころか、力が上がるんすか!」
「だから、ごまかすことにしたんだよ」
なるほど、とゴレスケに限らず、スラマロも頷いている。
「こいつらを叩き起こしたら、みんなと合流しよう」
俺は仲間を両肩に乗せると、三人組に歩み寄る。
「おい、起きろ、朝だぞ!」
三人組の頬をぺしぺしすると、揃って目覚める。
うーん、と背伸びしたことから、大丈夫みたいだ。
事情を理解できないらしく、きょろきょろしている。
「君たちは、悪霊の人質になっていたんだよ」
「助けてもらってなんだけど、どうして助けてくれたんだ?」
「君たちの罪はそんなに重くないし、他の連中が頭を下げたからだよ」
「あんた、若いくせに器がでかいな? それに比べて、俺たちは……」
不正を悔やむ三人組。
「ちょっと前までは、俺もそっち側だったんだぜ」
「ギルド連盟にも名前を知られる、スター冒険者が底辺だった!」
「仲間との出会いによって、変わったんだよ」
胸を張るスラマロとゴレスケ。
「ダーリンの右腕、スラマロ!」
「アニキの左腕、ゴレスケ!」
「立ち位置、逆だよな?」
突っ込む俺。
「そいつらは、そんなにも優秀なのか?」
「二人とも優秀だけど、それよりもきっかけだね」
「俺たちに必要なのは、自分を変えるためのきっかけ?」
「案外、俺との出会いによって、今後の人生が変わるかもしれないぜ」
「……いろいろすまなかった、それにありがとう」
謝罪と感謝をする三人組。
「それじゃあ、みんなと合流しよう」
外を目指して、俺たちは歩き出す。
「どうして、不正に手を染めたんだ? そういうタイプには、見えないぜ」
「恥ずかしながら、冒険者として追い詰められたからさ」
「もしかして、冒険者としての資格を失いそうになったのか?」
「今回の不正を踏まえると、俺たちの冒険者資格は剥奪さ」
自嘲する三人組。
「それは、ギルド連盟からの通達ですか?」
声のしたほうを向くと、事務局員を始めとした居残り組。
「大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ。襲ってきたゴーストは、全部消えちゃったから」
「スラマロの懸念は、正しかったのか!」
「悪霊を退治したんでしょ? 親分を失って、子分は逃げ出したんだね」
勘のいいエリス。
「無事でよかった!」
お互いの無事を喜んだ後、建物を後にして馬車を目指す。
「それよりも、あなた方の話は本当なのですか?」
「本当です。ギルド連盟の関係者から、そう教えられました」
「問題を起こさない限り、最低評価でも冒険者資格を剥奪されませんよ」
否定する事務局員。
「冗談でしょう? 何度も、言われました!」
「あなたたちは、その人に騙されたのです」
「そんな馬鹿な……」
呆然とする三人組。
「ダーリン、今回の不正を企んだのはゼノンですよ」
「都合のいい相手を用意するために?」
「ダーリンを罠にはめたように、彼らを罠にはめるために」
「御前試合に勝利した上、対戦相手の不正を暴くつもりだったのか!」
ゼノンの本当の目的に、俺は憤然とする。
あいつは、本物の悪党だ!
「今回の不正に関しては、同情の余地がありそうですね」
「俺からも、彼らへの配慮を頼みます」
「アルトさんは、ゼノンと顔見知りなのですか?」
「因縁の相手ですよ。もっとも、俺からの一方的なものですけど」
「興味深い話ですね。不正の解明のためにも力を貸しましょう」
助力を約束する事務局員。
「共同戦線ですね? よろしくお願いします!」
ゼノン、御前試合を楽しみにしていろよ?
その時、お前は自身の罪と向き合うことになるぞ!
お読みいただき、ありがとうございます。
ゼノン編の折り返しに当たります。
次回は、王都に向かって旅立ちます。




