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第44話 決戦・変態聖職者グレアム

 振り返ると、無傷の大司教。

 ただし、パンツ一枚のままだ。

 その周囲は、陽炎のように揺らいでいる。


「やっと確信できたよ、お前は色ボケのプリーストこと、グレアムだろ!」


「なぜあなたはごく一部の者しか知らない、私の洗礼名を知っているのです?」


「俺は、お前の罪を知る者だからだ」


「それなら、余計帰せませんね」


「接待してくれるのかよ?」


「死んだ後に接待しましょう」


 グレアムは、聖職者らしいブラックジョークを放つ。


「俺は、このまま帰る。その後、お前はソドム監獄行きだ」


「もしかして、私を脅しているのですか?」


「世間を騒がしている連続強姦未遂事件の犯人は、お前だろう!」


「ふはははははっ、その通りです!」


 グレアムの宣言に、少女たちから悲鳴が上がる。


「嘘でしょ!」


「冗談よね?」


「あたしたちも……」


 動揺する少女たちに、安心させるように笑みを向ける。


「みんな、心配するな! 君たちは、俺が無事に家に送り届ける!」


 俺の宣言に、少女たちは一安心する。


「私に勝てると思っているのですか?」


「私じゃなく、私たちの間違いだろ」


「なぜそのことを知っているのです?」


「ゲルドと強欲のデーモンを倒したのは、俺なんだぜ」


「そもそも、あなたは誰です?」


「お前たちに生贄にされた、荷物持ちのアルトだよ!」


 予想に反して、グレアムは首をひねる。


「お前も、覚えていないのかよ!」


「くっ、あなたを見ていると、気分が悪くなる!」


 グレアムは頭を押さえる。


「邪魔者なのは間違いないでしょう。デーモン、敵を葬りましょう!」


「ヒャッハー、獲物だぜ! グレアム、ミンチにしてやろう!」


 反応したのは、アッパー系のデーモン。


 同じ異界のデーモンでも、性格は異なるらしい。

 それどころか、能力も異なるに違いない。

 その証拠に、グレアムを白いヴェールが覆っている。


「グレアム、外で戦おうぜ? お前も、そのほうがいいだろう!」


「少女たちを心配しているのですか? いいでしょう、楽しみは後です!」


 俺たちは頷き合うと、外に向かう。


「アルト君、必ず勝ってね!」


「アシュミー、生き残ってね!」


 エリスとナンナに呼びかけられると、


「必ず勝つから、一緒に帰ろう!」


 俺は勝利宣言する。


「ダーリン、負けフラグですよ?」


「アニキ、死亡フラグっすよ?」


「お前ら、やる気を失わせるなよ!」


 仲間の冗談に、平常心を取り戻す。


「さぁ、始めようぜ!」


「さぁ、始めましょう!」


 かくして、戦いの幕は上がる。


「やりさない、デーモン!」


 グレアムの周囲に、白いヴェールが浮かぶ。

 それが、朝日のように光り輝く。

 そして、光の玉を撃ち出す。


「行くぜぇ、グレアム!」


 ピュッ! ピュッ! ピュッ!


「マナスラッシュ! マナスラッシュ! マナスラッシュ!」


 ザシュ! ザシュ! ザシュ!


 敵の攻撃は、的確かつ強力。

 戦闘特技によって防いだものの、本当にギリギリだ。

 数を増やされたら、押し切られる。


「今度は、俺の番だ!」


 次の手を打たれないように、こっちから仕掛ける。


「マナスラッシュ!」


 ザシュ!


 手ごたえはあるのに、刃はグレアムに届いていない。


「大口を叩いたのに、この程度なのですか?」


「舐めるな!」


 手ごたえはあったため、再び攻撃を仕掛ける。


「マナスラッシュ! マナスラッシュ! マナスラッシュ!」


 ザシュ! ザシュ! ザシュ!


 すべて手ごたえはあるものの、一度も刃はグレアムに届いていない。


「その程度では何百回攻撃しても、私には届きませんよ!」


 グレアムは、手を突き出す。


 緩慢な動作。

 そのくせ、危機感を覚える。

 反射的に戦闘特技を放っていた。


「マナスラッシュ!」


 ガキン!


 押さえられない衝撃によって、数メートル後方に吹っ飛ぶ。


「どうして、攻撃が効かないんだ!」


「ヴェールによって、受け止められてますね」


「全部?」


「自動防御です。グレアム自身の身体能力は、かなり低いですよ」


 スラマロの指摘はもっとも。


「私の一撃を耐えた……? 単なる馬鹿ではないということですか!」


「お前の忠実な部下を討ち取った、売り出し中の冒険者だ!」


「秘書のことですか? 亡くなったとしたら、惜しいですね」


 言葉とは裏腹に、グレアムは楽しげだった。

 お読みいただき、ありがとうございます。

 我ながらとんでもないタイトルです。

 決着は、次回になります。

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