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第20話 最初のざまぁ、悪代官ゲルドの末路

「「「完全勝利!」」」


 俺たちは勝利の雄たけびを上げる。


 その時、心地よい音色が聞こえ始める。


 テレテレッテッテッテー♪


「「「レベルアップ!」」」


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


 名前・アルト

 職業・レジェンドテイマー

 レベル・6

 攻撃・150(レベルアップによる能力値上昇+10)

 防御・150(レベルアップによる能力値上昇+10)

 敏捷・150(レベルアップによる能力値上昇+10)

 魔力・150(レベルアップによる能力値上昇+10)

 技能・性質変化

    レジェンドの眼光(ステータス隠蔽無効、性質変化の派生スキル)  

    レジェンドの御手(属性の付加と強化、性質変化の派生スキル)

 耐性・レジェンドの証

 契約・あり


 名前・スラマロ

 職業・イータースライム

 レベル・6

 攻撃・70(レベルアップによる能力値上昇+5)

 防御・70(レベルアップによる能力値上昇+5)

 敏捷・70(レベルアップによる能力値上昇+5)

 魔力・220(レベルアップによる能力値上昇+5)

 技能・大食い

    武器化

 耐性・毒耐性

 契約・あり


 名前・ゴレスケ

 職業・エレメンタルゴーレム

 レベル・6

 攻撃・75(レベルアップによる能力値上昇+5)

 防御・75(レベルアップによる能力値上昇+5)

 敏捷・75(レベルアップによる能力値上昇+5)

 魔力・145(レベルアップによる能力値上昇+5)

 技能・精霊の加護

    防具化

 耐性・麻痺耐性

 契約・あり


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 レベルアップしたけれど、1のみ。

 強敵に勝利したから、2以上レベルアップすると思っていた。

 ただ、嬉しいことに変わりはないから問題ない。


「戦利品は?」


「ダーリン、ざまぁですよ!」


「アニキ、石ならあるっすよ!」


 呆れる仲間をよそに、俺は黄色い石を拾う。


「強敵からの勝利は、格別だな!」


 勝利を噛み締める俺たち。


 一方のゲルドは――


「デーモンが消えてしまったら、私の夢はどうなる……」


 高価な服はボロキレみたいに破れ、体は電撃により傷だらだけだ。


「ゲルド、お前の夢は幻だったんだよ」


「お前は……あの時の小僧!」


「やっと思い出したの? 頭ゲルドなんだね!」


「お前のせいで、お前のせいで、お前のせいで――」


 ゲルドは悔しそうに地面を殴りつける。


「私の破滅は、お前のせいだぞ!」


「自分のせいでしょ」


「お前のせいだ――」


 俺に突っかかってきたゲルドは、地面に倒れる。


 ベキッ!


 元の姿に戻っていたゴレスケに、顔を殴り飛ばされて。


「今のは、苦しめられたみんなの分! オレは、アニキほど優しくないっすよ?」


「うっ……!」


 鼻の骨が折れたらしく、滴る鼻血を抑えるゲルドの顔は苦痛に歪んでいる。


「ゴレスケ、ありがとう」


「アニキ、礼には及ばないっす」


 嬉しそうなゴレスケ。


「それじゃあ、こいつを兵士に突き出そう」


「証拠は十分ですから、揉み消されませんね」


 楽しそうなスラマロ。


「小僧、私を見逃してくれ!」


「見逃す?」


「私は、このまま姿をくらます!」


「その場合?」


「一生遊んで暮らせる金を払うぞ!」


 ゲルドの浅ましい提案に、俺たちは呆れ返る。


「なぁ、頼むよ、元仲間だろ? 一度でいいから、助けてくれよ!」


「下手に逃げると、処刑されるぞ」


「このままだと処刑されなくても、厳罰を与えられるんだぞ!」


「元仲間だからこそ、不正を見逃せない」


「くそっ……」


 ゲルドはがくりとうなだれる。


「私は、こんなところでは終わらない!」


 一瞬の隙を突いて、ゲルドは屋敷の中に逃げ込む。


「逃走は、無駄ですね!」


「逆転は、無理っすね!」


「それでも、追いかけるぞ!」


 鼻血と思しき血痕をたどる。

 ほどなく、ゲルドを見つけ出す。

 そこは、金の延べ棒が積み上げられた大広間だ。


「金さえあれば、やり直せる! やり直して、夢を叶えられる!」


「お前の夢は、終わったんだよ」


「お前は、私から夢さえ奪うのか?」


「ゲルド、悪夢から目を覚ませ」


「悪夢……?」


 ゲルドはふらふらと夢遊病者みたいに、金の延べ棒の山に寄りかかる。


 ガラッ!


「ゲルド、金から離れろ!」


「これは、私のものだぞ!」


「崩れるぞ!」


「か、金が押し寄せてくる……うおおおおおおおお!」


 崩落が収まった時、そこには――


「あっ、ああっ……」


 ゲルドの手足は、壊れた人形みたいに折れ曲がっている。

 それどころか、肉やら骨やらはみ出している。

 そう、ゲルドは強欲らしい天罰を受けて、苦しみ抜いている。


「ゲルド、聞きたいことがある」


「何だ?」


「お前の契約した相手は、本当に異界のデーモンなのか?」


「異界のデーモン……!」


 絶句するゲルド。


「知らなかったのかよ?」


「知らなかった。私に限らず、他の二人も知らないはずだ」


「単なるデーモンだと思っていたのかよ?」


「デーモンに、そう教えられたのだ」


 ゲルドの返答は、言い訳には聞こえなかった。


「そう言えば、どうして遺跡は崩壊したんだ?」


「他の連中に力を渡してはならないと、デーモンに脅されたからだ」


「それなら、死体は? 顔の潰れた三体の死体は、お前たちの仕業か?」


「死体は、元からあったものだ。顔を潰したのは、提案者のデーモンだ」


「それじゃあ、追放された四人目がお宝を持ち去った噂は?」


「それも、デーモンの提案だ。全部、正体を隠すための偽装工作だろう」


 答え合わせは終わった。


「ゲルド、言いたいことはあるか?」


「私は、助からないのか? 金を捨てても、本当に助からないのか?」


「助からない」


「……そうか」


「ただし、このままだと」


「助かる方法があるのか!」


 見開いたゲルドの目に、希望の光が宿る。


「スラマロ、ゴレスケ、元仲間に救いの手を差し伸べてもいいか?」


「あえて生かして、罪を償わせるんですね!」


「勝ち逃げは、腹が立つから大賛成っすね!」


「二人とも、ありがとう」


 かけがえのない仲間に向かって、感謝の笑みを向ける。


「俺のことを元仲間だと思っているのなら、お前は助かる――『性質変化』!」


 瀕死のゲルドに、俺は『性質変化』を与える。


 果たして――


「うおおおおおおおお!」


 傷ついたゲルドの体は、見る見るうちに治っていく。


 実際――


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


 名前・ゲルド

 職業・ウォーリア

 レベル・25

 攻撃・50

 防御・50

 敏捷・50

 魔力・10

 契約・なし

 備考・精神汚染除去、人体損傷完治


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 ゲルドは、異界のデーモンの影響から完全に逃れたんだ!


「……私は、助かったのか?」


「命は、助かったよ。その代わりに、命以外を失うのさ」


「罪に等しい罰を受けるんだろう?」


「そう、生きて罪を償うんだ」


「ふっ、お前は厳しいな」


 ゲルドは苦笑する。


「アルト、頼みごとがある。他の二人も、異界のデーモンから救い出してくれ」


「自分たちは異界のデーモンにそそのかされた、被害者だと言いたいのか?」


「もちろん、加害者だ。それでも、仲間だから救って欲しい」


「わかった、あの二人のことは任せろ」


「すまない、後を頼む」


 ゲルドは深々と頭を下げる。


 その後――


「代官ゲルド、汚職を始めとした罪により、お前を逮捕する!」


 俺の通報により駆けつけた兵士に、ゲルドは素直に連行されていく。


「「「スカッとしたざまぁ、達成!」」」


 俺たちは喜びを爆発させる。


「一度、宿に寄ろう。エリスも、心配しているはずだ」


 俺たちはゲルドを見送ると、エリスのいる宿に向かって歩き出した。

 お読みいただき、ありがとうございます。

 本来、ゲルドは死ぬ予定でしたが、生き残りました。

 迷ったためにアルトに委ねたところ、助ける道を選んだからです。

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