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第19話 さらなる覚醒からの大勝利

 突破口は、ステータスの確認だろう。


「私のステータスを確かめようとしているのか? 無駄なことを!」


「無駄とは限らないだろ!」


「無駄だ。デーモンの力に、お前程度では打ち勝てない!」


「デーモンの力は、そんなにも魅力的かよ?」


 次の手を打つための時間を稼ぐ。


「魅力的だ。なぜなら、やりたいことをやれるのだ!」


「やりたいこと?」


「無能の首を飛ばせる! 弱者から金を奪い取れる!」


「その強欲さが、ゴレスケたちを苦しめたのか!」


 俺は怒りを爆発させる。


「無能な人間を苦しめて、何が悪い? 馬鹿な魔物を苦しめて、何が悪い?」


「無能も馬鹿も、お前の思い込みだろ!」


「私の夢を阻むものは、全員、無能と馬鹿だ!」


 ゲルドは嘲笑する。


「無能な上に馬鹿なのは、お前だよ! 俺は、お前に打ち勝つ!」


 俺は深呼吸すると、迫り来るゲルドを睨みつける。

 すると――

 ステータスの靄が、徐々に晴れていく!


「どうして?」


 苦境に屈しない強い意志によって、成長したんだろう。

 実際、俺のステータス欄には、見慣れないスキルがある。

 それは――


 『レジェンドの眼光』。


「二人とも、突破口を探してくれ!」


 仲間に協力を呼びかける。


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 名前・ゲルド

 職業・デーモンウォーリア

 レベル・100(プラス補正)

 攻撃・500(プラス補正)

 防御・500(プラス補正)

 敏捷・500(プラス補正)

 魔力・500(プラス補正)

 技能・強欲の証(パラメータープラス補正、引き換えに精神汚染)

 耐性・キラキラアーマー(物理無効、引き換えに電撃特攻)

 契約・あり(強欲のデーモン)


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 自分の目を疑う。


「レベル100? 能力値オール500? 見間違えだろ!」


「ダーリン、現実逃避は駄目ですよ」


「おかしいのは、現実のほうだろ。見たことも聞いたこともない数字だぞ?」


「今のゲルドの能力は、英雄クラスですね」


「ゲルドが英雄クラス? 何の冗談だよ!」


 俺は苦笑いになる。


「数字的には、それぐらいという話です」


「引っ掛かる物言いだな?」


「ゲルドは、ドーピングコンソメスープを飲んでますね」


「インチキしているのか!」


 当のゲルドは勝ち誇っている。


「異界のデーモンの力を借りてるんだから、インチキの極みです。ただ――」


「ただ?」


「まずいですよ」


 スラマロの言葉は、不吉に聞こえる。


「アネキ、そんなにまずいんすか?」


「ゴレスケ、本当にまずいですよ。その証拠に、ゲルドの力は膨れ上がってます」


「言われてみると、その通りっすね!」


 実際、敵対した時よりも、今のほうがゲルドの力は上がっている。


「このままだと、国を揺るがす騒動になりますよ」


「ゲルドが、国を揺るがすんすか?」


「ゲルドの不正を暴こうとした面々は、マロたちを含めて皆殺しにされます」


「皆殺し……!」


 絶句するゴレスケ。


「それどころか追い詰められたゲルドは、派遣された軍隊と激突します」


「その場合、どうなるんだ?」


「今すぐなら、軍隊の勝利ですね。後々なら、軍隊の敗北ですね」


「マジかよ……」


 息を呑む俺。


「ゲルドは、ドーピングの副作用によって狂い始めてます」


「精神汚染か!」


「悲劇の連鎖を食い止めるためには、絶対に勝たないといけないんです」


 そう、絶対に負けられない戦いが、ここにあるんだ!


「アニキ、オレの力を使えば、キラキラアーマーを突破できるっす!」


「ゴレスケの力?」


「属性の付加っす」


「防具だけだろう?」


「アニキを介して、オレとアネキの力は共有されてるんすよ?」


 要するに、スラマロも属性を扱えるということ!


「ゴーレムの力? そんなものは、金の力の前では無力だ!」


「本当に無力なのは、お前のほうだよ」


「私が、無力?」


「金のないお前には、誰も救いの手を差し伸べないんだよ!」


 俺の指摘に、ゲルドは呆然とする。


「行くぞ!」


「ほーい!」


「あーい!」


 心を合せる。


「「「『性質変化』!」」」


 次の瞬間――


 左手にゴールドガントレット、右手にゴールドソードを装備する。


「アニキ、これなら属性を扱えるっすよ!」


「ダーリン、ゴールドソードに電撃属性を与えて、金ピカを突破しましょ!」


「よし、『レジェンドの御手(みて)』発動!」


 『レジェンドの御手』によって、電をまとったゴールドソードを構える。


「お前の夢を、滅ぼす!」


「私の夢は、滅びない!」


「行くぞ、サンダーブレイク!」


「来い、ゴールデンボンバー!」


 俺は、落雷数百発分に匹敵する威力の雷の刃を放つ。

 対してゲルドは、古竜のブレスさえ防ぐ黄金の鎧によって迎え撃つ。

 常人の限界を超えた二つの力は引き寄せ合う。


 激突――


 耳をつんざく轟音。

 爆発の余波に、俺は吹き飛ばされそうになる。

 辛くも踏みとどまった俺は、勝負の結果を待つ。


 果たして――


 サンダーブレイクは、キラキラアーマーを断ち切る!


「「ぐはっ!」」


 ゲルドとデーモンは苦悶の声を上げる。


「我が滅んでも、人の貧しさへの恐怖は滅びないぞ――」


 その言葉を最後に、『強欲』のデーモンは消滅した。

 お読みいただき、ありがとうございます。

 次回は、本題の「ざまぁ」です。

 過激さよりも爽快さを目指しましたから、その点はご了承ください。

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