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第17話 スラマロの逆襲

 落ち込んでいるスラマロとは違い、ゴレスケは盛り上がっている。


「バッシュは、簡単な攻撃に対しては効果的っす!」


「それ以外は、効果的じゃないのか?」


「下手すると、味方を巻き込むんすよ!」


 適当に打ち返すのだから、その危険性は高いだろう。


「ダーリン、上から飛んできたのに、横に打ち返しましたよね?」


「スラマロ、細かいことを気にするなよ」


「気にしますよ、大切なことですから!」


 食い下がるスラマロ。


「難癖だろ?」


「どう考えても、おかしいですよね!」


「そんなこと言ったら、戦闘特技の全般が胡散臭いだろ」


 戦闘特技はスキルの一種なのだから、胡散臭いのもわかる。


「アネキ、勘違いしてるっすよ」


「マロの勘違い?」


「矢はいろいろな方向に、打ち返されてるんすよ」


 勘違いを指摘するゴレスケ。


「たとえば?」


「たとえば……あっ、アネキの頭にも!」


「マロの頭……えっ、刺さってる!」


 左肩を見ると、スラマロに一本の矢が刺さっている。


「ダーリン、引き抜いてくださいよぉ」


「下手に引き抜くと、まずいだろ?」


「表面に刺さってるだけですから、大丈夫ですよぉ」


「それなら、引き抜かなくてもいいだろ?」


「このままだと入り込みますから、引き抜いてくださいよぉ」


 スラマロの懇願を受けて、俺は慎重に矢を引き抜く。


「スラマロ、大丈夫か?」


「大丈夫です、マロの肌はプルンプルンですから!」


「それより、どうして刺さったんだ?」


 スラマロの場所は左肩だから、バッシュによるものじゃない。


「売り飛ばすために、矢を拾おうとしたためですね、てへっ☆」


「ホシマークいらねえよ!」


「今回マロの活躍が少なかったから、面白かったでしょ?」


「お前……」


 スラマロの主張に、俺は呆れる。


「ちなみに、オレは防具にしかなれないっすよ」


「防具なら、好きなものになれるんでしょ?」


「種類はともかく、素材は限られてるっす。今だと、ブロンズとゴールド」


「その二つなのは、レベル1だから?」


「レベル依存じゃなく、アネキ依存っすね」


「マロ?」


 驚くスラマロ。


「アネキの食べた鉱物に、依存してるんすよ」


「マナリンクですね!」


「マナリンク?」


「契約により、魔力が通ります。その通り道を、マナリンクと言うんですよ」


「アネキ、物知りなんすね!」


 喜ぶゴレスケ。


「要するに、マロのおかげ?」


「もちろん、アネキのおかげっす!」


「ニヤリ、さすがマロ!」


 立ち直るスラマロ。


「うん? 二人とも、注意しろ!」


 オークの死体の山を割って現れたのは――

 

「ブヒィィィィィィ!」


 皮の鎧を着込み、剣と盾を構えた強そうな無傷のオーク。


「ノーマルオークのまとめ役の、オークソルジャーですね!」


「オーク軍曹かよ?」


「ブヒヒ軍曹ですよ」


「訴えられるから、やめろ!」


 確認の間も、オークソルジャーは迫っている。


「ブヒィィィ!」


「マナバッシュ!」


 攻撃に合せるものの、合わない。

 カウンターし損なった一撃を受けて、手が痺れる。

 盾抜きの戦闘は、大変そうだ。


「そう長くは変身できないから、オレの変身が解ける前に片付けて!」


 反撃を進言するゴレスケ。


「主役の出番ですね!」


「お前の出番、終わっただろ?」


「主役の場合、ギャグとシリアス、出番は二回あるんですよぉ」


 胸を張るスラマロ。


「行くぞ!」


「ほーい!」


 息を合せる。


「「『性質変化』!」」


 次の瞬間――


 スラマロが変化したのは、ブロンズハンマー。


「ダーリン、協力技を使いましょ」


「手早く片付けるためか?」


「そうしないと、ゴレスケが持ちませんからね」


 俺たちは頷き合う。


「ヘヴィ――」


「インパクト――」


 ドゴゴゴォォォン!


「ブヒィィィィィィ――」


 ヘヴィインパクトによって、オークソルジャーを装備ごと叩き潰す。


「さすがアニキとアネキ、頼りになるぅ!」


 歓声を上げるゴレスケ。


「返り討ちだな?」


 見渡すと、すべてのオークが死んでいる。


 その時、心地よい音色が聞こえ始める。


 テレテレッテッテッテー♪


「「「レベルアップ!」」」


▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼


 名前・アルト

 職業・レジェンドテイマー

 レベル・5

 攻撃・140(レベルアップによる能力値上昇+10)

 防御・140(レベルアップによる能力値上昇+10)

 敏捷・140(レベルアップによる能力値上昇+10)

 魔力・140(レベルアップによる能力値上昇+10)

 技能・性質変化

 耐性・レジェンドの証

 契約・あり


 名前・スラマロ

 職業・イータースライム

 レベル・5

 攻撃・65(レベルアップによる能力値上昇+5)

 防御・65(レベルアップによる能力値上昇+5)

 敏捷・65(レベルアップによる能力値上昇+5)

 魔力・215(レベルアップによる能力値上昇+5)

 技能・大食い

    武器化

 耐性・毒耐性

 契約・あり


 名前・ゴレスケ

 職業・エレメンタルゴーレム

 レベル・5

 攻撃・70(レベルアップによる能力値上昇+20)

 防御・70(レベルアップによる能力値上昇+20)

 敏捷・70(レベルアップによる能力値上昇+20)

 魔力・140(レベルアップによる能力値上昇+20)

 技能・精霊の加護

    防具化(防具に変化できる、性質変化の派生スキル)

 耐性・麻痺耐性

 契約・あり


▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲▲


 順調なレベルアップと、着実な能力上昇。

 俺とスラマロのみならず、ゴレスケも含まれている。

 そのくせ、引っ掛かるのはなぜだろう?


「ゴレスケも、レベル5なんですね?」


「それだ! 普通、レベル2だろ?」


 俺とスラマロの違和感は、一致する。


「二人は、パーティのレベル差を気にしないんすか?」


「すごく気にするぞ」


「とっても気にしますね」


「それなら、同じレベルなのはいいことっすよね?」


 ゴレスケの指摘は、正論そのもの。


「ゴレスケ、新人が来たら同じ気持ちを味わうぞ」


「アニキ、そういう機会はしばらくないっすよ」


 微笑する俺と、苦笑するゴレスケ。


「それより、戦利品回収しましょ?」


 スラマロの一言により、戦利品の回収を始める。


「ダーリン、干し肉のカタマリがありましたよ!」


「アニキ、銅貨の入った袋があったすよ!」


「食べ物とお金、戦利品としては十分だな?」


 俺たちは戦利品の回収を済ませると、地上に向かって歩き出した。

 お読みいただき、ありがとうございます。

 今回は、スラマロ大活躍の話です。

 次回は、いよいよゲルドとの決戦です。

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