片手剣使いの少年が盗賊のアジトを襲う話
一人の十才くらいの少年が盗賊のアジトに現れた。
「お前、ここを何だと思っている。」
「盗賊のアジトかと思ってたけど、中にいるのはゴリラみたいだな。」
「フンッ!生意気なガキだな。ここは子供の来る所じゃない。サッサッと帰りな。」
「確かに子供の来る場所ではないかもな。でも、ゴリラがが来る場所でもないと思うぜ。」
「ガキの分際で生意気な!」
「そうカッカするなって。寿命が縮むぜ?まっ、お前はもうすぐ死ぬんだけどさ。」
「お前… てめえらそのガキを殺せ!」
「「おおっ!!」」
という声とともに成り行きを見守っていた屈強な男達が武器を構えた。
少年もゆっくりと腰の剣を抜く。
「掛かれっ!」
という声を合図に男達が武器を振るった。
しかし、振るわれた武器は一つとして少年を捕らえることはできなかった。
突如、アジトの奥で弓を構えていた男の首が血しぶきをあげてとんだ。その直後、隣で同じく弓を構えていた男の肩口が鮮血を散らした。
盗賊の中で一際大きな男が振るった大剣を、少年はひらり躱わし、男の首を落した。
「おおぉぉ!」
と、少年は雄叫びをあげ、十二人の屈強な男を僅か三秒程で斬り倒した。
周囲の男達が驚愕で目を見開く。
「恐れるな!やれぇぇ!」
と、初めに少年と言葉を交わした男が叫ぶ。
しかし、男達が武器を振るう前に少年は風のように走り叫んだ男の首筋に剣を突き付けた。
「さあどうする?金さえくれれば命は助けてやるぜ。」
「フンッ!ガキにやる金なんてない。」
「本当に愚かなんだなお前は。」
と、少年は呟くと
「はあぁぁぁ!!!」
と、巨大な雄叫びをあげ光のような速さで屈強な男達を切り刻んだ。
これが後に王国最強と言われる片手剣使いの誕生の瞬間だった。