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社畜の邪術  作者: 初永姚
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社畜の職業

文字数増やすのが難しくてワロタ。


文章の指摘ください。

様々な強大な軍事国家があちこちに点在している大陸、魔導大陸。


その中心部に当たる部分に存在しているのが、巨大軍事国家、エリシュ王国である。人口二千四百万人の中でおよそ二割が戦うことのできる者であるというこの国の首都、エヌマ。


軍事国家には見えないようなのどかな田園の中に半径十五キロの円の形をした壁を築き、壁に囲まれたその中でさらに堀に囲まれて威風堂々と立っている王城や活気のあふれた市場などで有名な都市で、王城に住まう王子が設計したという中世風の街並みは、多くの建築家が脱帽したほどの美しさを放っている。


ギラギラと太陽が輝き、それに晒された人々が大量に汗をかきながらも不平を零すことなく一生懸命働いているある日の夏。


エヌマの上空に、人が一人入るかどうか、といった程度の大きさの穴が開いた。


穴は真っ黒で、なにであろうとも飲み込めそうな純粋な黒色をしている。


ビー!ビー!


穴が蠢いて少し歪んだ途端にエヌマの中に大きな警報の音が鳴り響く。


「うおっ!警報か!?」


「どこかの国が攻めてきたのかも!」


口々に今の警報への考察を言い合いながらも市民は一斉に王城を円状に囲っているマンホールを外して中に入っていく。


『市民の皆様。シェルターに避難してください。』


市民にシェルターの中に入るように促す警報が響き渡るが、それに応じる市民は誰もいない。もうすでにマンホールの中に広がっているシェルターの中に入り終わったからだ。


放送を流してから三十秒後、シェルターに走っていく市民が全員シェルターに入ったのを確認して王城から馬に乗り、中世の騎士のような鎧と兜をギッシリ着込んだ兵が王城の橋を渡って一斉に打って出る。


その中では異質な軽い装備だけを纏った二十歳ほどの金髪の男、この国の王子であるアクス=エリシュは黒い穴を見上げて怪訝な顔をする。


「いかが致しましたか、アクス王子?」


アクスの隣で馬を走らせる騎士がアクスに問いかける。


アクスは無言で黒い穴を指差した。


「ああ、あの黒い穴ですか。アレがなにかはわかりませんが、アレがこの騒ぎの元凶であることは間違いなし。であるならば、正体など探らずにとっとと消滅させるのが最善策では?」


騎士の言葉にゆっくり首を振ってアクスは答える。


「いや、アレがなにか、ではない。」


「はっ?では、なにが気になるので?」


騎士のわけのわからない、という響きの言葉を聞いてアクスはもう一度黒い穴を指差し、それにつられて騎士もその方向を見る。


「あそこ、あの穴の中を見てみろ。」


「は…。普通の黒色しか見えませんが…」


騎士の言葉にため息を吐きながらもアクスは答える。


「あそこ、人間の頭らしき物が出てきているように見えないか?」


アクスに言われて騎士はさらに目を凝らして穴の中を凝視する。騎士の目には、朧気ではあるが、確かに人の頭らしき物が映った。


「おお、確かに!」


「現在王城から打って出ている十五の小隊全てに通達しろ。穴の中に人影らしき物あり。この現象の主犯の可能性もある為、できるだけ攻撃は禁止。被害が出そうであると判断した瞬間に攻撃することを許可する。」


「は。かしこまりました。」


隣の騎士が伝令をしに馬を走らせていくところを見送りながら自分は馬を少し休め、アクスはその目に少し手を当てる。


「視力、また少し良くなったかもしれないな…」


一キロ以上離れているにも関わらず簡単に穴の中からはみ出している人の頭らしき物を発見して見せたことには誰も驚くことはない。そのことに少し苦笑いをしながらもアクスは穴を見上げ、再び馬を走らせた。



「ちょ、なんだコレ!?」


黒い穴から首だけを出しながら、ライトは柄にもなく狼狽していた。


それも当然と言えば当然なのだろう。


常人なら自分の足元から光が出てきて魔法陣のような物を描き、それに飲み込まれるなどということが起きれば混乱すること間違いなしである。


俺TUEEEEできるかもしれないという淡い希望と好奇心でようやく落ち着いたと思えばいきなり自分の首だけが空中に浮いていたのだ。混乱しない方がおかしいだろう。


混乱しているライトの視界の端に、自分が浮いている場所の真下に向かって馬を走らせる鎧武者の団体が目に入る。


実際はエリシュの王城が突然現れた黒い穴を警戒して、危険な物であった場合即刻排除するように放った騎士であるのだが、今の混乱したライトには自分を助けに来てくれた勇敢な兵隊にしか見えない。


「おーい!助けてくれぇぇぇ!」


昼間に会社で飲んだ缶コーヒーくらいしか水分を取っていない掠れた喉で精一杯助けを求める。


ライトは優秀な兵たちがごく普通の一般人である自分に気づいてすぐに助けてくれると思い込んで勝手に安心していたが、実際にはライトは怪しい黒い穴から頭だけを出している物凄く怪しい男にしか見えない。


当然、騎士たちがライトの言葉に反応して優しい笑みを浮かべながら助けに来る、なんてことにはならなかった。


「おい!あの男がこちらに呼びかけてきているぞ!」


「気を付けろ!あんな高密度の魔力の塊みたいな穴を生み出せるほどの男だ!下手に手を出したら逆にこちらがやられるぞ!」


口々に警戒の言葉を叫びながら兵たちはライトに弓を向けて威嚇する。もしもライトが圧倒的な力を持つ実力者だったりしたら慌てずに穴から抜け出して誤解を解くなりなんなりとしただろうが、生憎とライトはただの一般人である。当然、ライトに冷静な判断ができるわけではない。


「ちょ、なんだよコレ!?なんでアンタらは俺に弓なんて向けてんだ!?お、おかしいだろ!俺は一般人だぞ!?なんでこんな目に合わなきゃいけないんだよ!?」


実際ライトの言葉は事実なのだが、兵たちにとってはライトは自分たちの日常を脅かす害悪でしかない。


「黙れ!この王都を襲おうとしておいて、よくもいけしゃあしゃあと!」


「なっ…、襲おうとした?この街を?俺が?」


そこでようやくライトは騎士たちが誤解をしていることがわかる。その瞬間ライトの熱くなっていた頭はどんどん冷めていき、ライトは自分の今の状況を正しく理解する。


「あれっ…。もしかして、俺、この変な黒い穴の中にいる、のか…?」


自分の体がその黒い穴の中に入っているせいで自分がこの穴を生み出して目の前の都市を襲おうとしているただの悪者にしか見えないことを悟り、ライトは誤解を解こうとする。


「ちょ、待ってくれ!この黒い穴は、俺が作ったわけでもないし、俺は好きでこの中にいるわけじゃない、ましてや俺はこの街を襲おうとしてるわけじゃないんだ!」


「ならばお前はなぜそんなところに入っているのだ!」


騎士の声に拒絶の色が混じっているのを聞いて自分の話を信じてもらえないであろうことをなんとなく感じながらもライトは一生懸命弁解する。


「信じてもらえないだろうけど、俺は普通の一般人で、普通に道を歩いてたらいきなり足元に光が現れて、その光に飲み込まれて気づいたらこんなところにいたんだ!」


誰でもわかるような簡潔な言葉で自分の今までをまとめたライトだが、騎士たちはそんな言葉に耳を貸そうともしない。


「そんなわけがあるか!」


「つくのだったらもう少しマシな嘘をつけ!」


そんな中で、ふと騎士たちが誰かに道を開けるように一斉にライトから距離を取って道を作る。そして、その道の中から出てくる馬に乗った人影があった。


「アレだな、黒い穴の中の人間は?」


「は!その通りです、ラクス王子!」


ラクスである。ラクスはチラリとライトを見た後に自分のすぐそばの騎士に問いかける。


「奴は自分のことについてなにか言っていなかったか?」


その騎士はラクスの言葉に少し首を傾げた後に丁寧に口真似をしながら答える。


「はい。『俺は普通の一般人で、普通に道を歩いていたらいきなり足元に光が現れて、その光に飲み込まれて気づいたらこんなところにいたんだ!』と。まぁ、信憑性は限りなく低いですが。」


騎士の言葉にしばらく考えるように顎に手を当てた後、ラクスは自分の上から見下ろしてきているライトに問いかける。


「今の話は本当なのか?」


「ああ。信じてくれるとありがたいんだが…」


その後しばらくライトとラクスはお互いの目の中を見つめ合う。


三十秒が経過し、先に折れたのはラクスだった。


「ハァ…。いいだろう。おい、アイツを開放してやれ。」


ラクスの言葉を聞いて騎士たちがざわめく。


ざわめきの中、一人の中年の兜を外した騎士がラクスに問いかける。


「ラクスさま。それは、その男の言うことを信じるということで?」


「ああそうだ、ヘイネル騎士長。お前も私の有能さは知っているだろう?見たところ、奴は大したことのないようにしか見えないし、嘘をついている様子も見受けられない。ならば、別に放してやっても構うまい。」


他の兵士のようにラクスの妙に説得力のある言葉に怯むことはせずにヘイネルはラクスに詰め寄る。


「しかし!あの者はいずれ我らに危害を加えますぞ!」


ヘイネルの言葉に微かにため息を吐いてからラクスは言う。


「それはお前たちのような強硬派が一々怪しいというだけで脅しだの拷問だのをするからだろうに…」


ラクスの言葉に若干怒りで顔を赤くしながらもヘイネルはその鍛えられた肉体で石畳を思い切り踏みつけて罅を作る。


「ほう…。王子はそういう意見をお持ちで…。しかし、そんなことを言っているといずれ私たちが敵に回るかもしれませぬぞ?」


若干脅しの色を滲ませながらヘイネルが言った言葉にどうでもよさげにラクスは返す。


「フン。どうせライオネルにでもそそのかされたのだろうな…。」


「ソレが…」


どうした、と後に続く言葉を言うことはヘイネルにはできなかった。ラクスの心底どうでもいい、と言いたげな氷のような瞳に気圧されたからだ。


「なにか文句でも?ヘイネル兵士長?」


「…いえ、特になにもありませぬ。」


渋々、といった感じでヘイネルは頭を下げて引き下がる。そんなヘイネルを見て一つ頷いてからラクスはもう一度ライトに向き直る。


「よし。これからお前を解放しよう。しかし、完全に自由の身にする前に、王城で取り調べをさせてもらうぞ。」


「…」


「返事は?」


「おっ、おう!」

騎士長であるヘイネルと王子であるラクスの仲の悪さを呆けて見ていたライトは、嫌な予感を感じながらも穴の中に首より下を突っ込んだままおとなしく返事をする。


「この都市のお偉いさんって、思った以上にドロドロした感じなのかなぁ…?」


幸いにも、その呟きはラクス以外には拾われることはなかった。


「ドロドロ、か…。昔はこんな感じではなかったんだがな…」


「えっ?」


そしてまた、ラクスの呟きも、ライト以外に拾われることはなかった。



王城シャム城は、軍事大国エリシュの名に恥じない壮大で荘厳な建築物である。


外から見ると真っ黒でダークなイメージしか想像できないが、その内装は外とは違って金色で覆われている。深紅のカーペットと黄金のシャンデリア、王族、エリシュ家の龍の家紋があちこちに設置され、まるで神話の世界にでも迷い込んだかのような神秘的な色のコントラストと装飾の物語を生み出している。


さらに、一階の歓迎の間、二階の食事の間、三階の財宝の間、四回の裁きの間、五階の占いの間、六階の戴冠の間、七回の寝室の間の七階ある王城の全ての階にそんな装飾が施されていて、特に神秘的な虹色の装飾を持つのは王城の五階に位置する占いの間である。


「スゲェ…」


五階の占いの間に連れてこられたライトは、その人工的ながらも神秘的な虹色の装飾を見て思わず感嘆の声を上げる。


ライトの声を聞いてラクスは満足そうに微笑む。


「フ。そうだろう。占いとはこの国では最も重要な文化のうちの一つだからな。占いで貴族から物乞いに落ちぶれる者もいれば、物乞いから貴族に伸し上げる者もいる。」


まあ、ほとんどの民は占いなどめったなことでもない限り受けられないのだがな、と呟いてラクスは未だに装飾に見惚れているライトに向き直る。


「なんだよ?」


装飾に見惚れていると言っても自分の近くにいる者からの視線にも気づかないほどではないのだろう。ライトは装飾から目を離し、装飾に浄化されてほんの少し濁りの取れた目をラクスに向ける。ラクスは向けられた濁った眼を見て苦笑いしながら思わず呟いた。


「今までにそれなりに多くの人間を見てきたが、お前のような濁りきった目を持つ奴を見るのは初めてだよ…」


「うっせぇよ。そんなことを話したいんじゃないんだろう?とっとと本題を話してくれないか?」


社畜だったころに散々向けられた自分を試そうとしているような視線にその視線を少しだけ鋭くしながらもライトはラクスの目を見る。


「やれやれ、わかっている。お前をここに連れてきたのは、他でもないお前に占いを受けてもらいたいと思ったからだ。」


ラクスの言葉にライトは怪訝そうな顔をする。


「なんで俺なんかが占いなんて受けなきゃいけないんだ?」


ライトの言葉にその目を厳しい物に変えながらもラクスは答える。


「私はお前が一般人であることを信じている。だが、お前が一般人であってもお前があの黒い穴から出てきたし、しかもお前をあの穴から引っこ抜いた瞬間にあの穴は消えた。それで、お前が重要参考人であることは確かなんだ。お前がどんな職業であるかを確かめさせてもらう。占いとは、個人個人の選職(せんしょく)を司る物だからな。」


ラクスの言葉にまたライトは怪訝そうな顔をする。


「その選職ってのはなんなんだ?」


ライトの言葉にラクスはしばらくキョトンとして固まった後、呆れたように言う。


「あのな…。一般人と言っても、さすがに選職を知らないとは思わなかったぞ。」


自分がなにも世間のことを知らないことに呆れられているのに気づいたらしい。若干ライトは恥ずかし気にしながらもラクスに頭を下げる。


「その…、手をかけるようで悪いんだが、選職について教えてくれないか…?」


「ハァ…。いいだろう。いいか、よく聞いて忘れるなよ。」


呆れたようにため息を一つ吐いてからラクスは子供に言い聞かせるように言う。


「選職を説明する前に、まず職業、という物から説明するぞ。

職業とは個人個人が持っている資格みたいな物で、それを魂に刻み付けることによってそれを身に定着させる物だ。基本的には自分の職業を決めることでそれぞれの職業に適応するために体が強化される。そのため、戦争には基本的に「兵士」の職業の物が出た方が効率よく戦争を進められるし、強力な職業を持つ者一人で戦況がひっくり返されることも…、オホン。まあ、戦争のことはともかく、まあ、個人個人の超能力みたいな物だと思ってもらった方が良いだろう。実際に職業を定着させる方法が発見されるまでは、職業を持ったものは超能力者扱いされていたらしいしな。

まあ、職業とはそういう物だ。後、職業は自分の才能によってそれぞれ選べる物が変わってくるから、どんなに持ちたい職業があっても、才能がなければそれを身につけることはできない。」


ラクスの言葉を聞いて納得したように一つ頷いてからもう一つライトは質問する。


「それじゃあ、その職業を掛け持ちすることはできるのか?」


ライトの質問に微かに目を見開いて驚いたような表情をした後にラクスは答える。


「いや、できないことはないが、それをすると魂に何回も職業を刻み付けることになる。そんなことをしてしまったら普通の人間は耐えられないし、成功したとしても廃人にでもなるだろうな。」


「うわ、怖っわ。」


そう呟いて腕をさすっているライトにラクスは問いかける。


「しかし、そんな危険なことを思いつくとはな。どこでそんなことを習ったんだ?」


ラクスの鋭い目付きに気づかずにライトは言う。


「いやー、日本…、俺の故郷では魂に刻み付けるだとかそういう方の職業は無くてさ、普通の仕事を掛け持ちして働く奴も結構いたからな。だからこっちでもそういうことができるんじゃないかなー、なんて思っただけだよ。いやー、でもそんな怖いことならできないなぁ…」


そう呟くライトを見て安心したように微笑みながらラクスは言う。


「今お前は自分の故郷、と言ったが、どんなところだったんだ?少なくとも魔導大陸の中では職業の定着もできないような国はとっくのとうに滅んでいるはずだが…」


まさか自分は異世界から来た、などと言うわけにもいかず、ライトは思わず誤魔化す。


「いや、俺の故郷は大陸からも物凄い遠いような田舎の島国だったからさ、職業を魂に刻み付けるなんて技術はなかったんだよ。」


誤魔化すように笑うライトをラクスは鋭い目で見ながら問いかける。


「なら、どうやってお前はこのエリシュ王国まで辿り着いたんだ?ここは大陸の真ん中だぞ?船で運よく大陸まで辿り着けたとしても、どこかの戦争にでも巻き込まれて死ぬだろうし、ましてやあの黒い穴から出てきたんだ。それでは聞こう。お前は光に飲み込まれて気づいたらここにいたんだな?」


「ああ。」


ライトが頷くのを見てラクスは目を細めて聞く。


「それなら、光が現れる前に、お前、なにをしていた?」


ラクスの問いにライトは暗い通りでやった中二病な行動を再現する。いくら中二病の頃が懐かしいと言っても、やはりそれを他人の前でやるのは恥ずかしいのだろう。その顔は若干恥ずかしそうだ。


「腕に適当に文字を書いて、こうやって手を顔に手を当てて、えーっと、『我が身に宿りし闇の力よ!我が呪文と魔力に反応し、それを贄として我が願いに答えよ!』って言った後に、異世界…、別の場所に行きたいって言ったな。」


ライトの言葉を聞いて目を見開いた後にラクスは目を見開いてから声を響かせる。


「おい、誰か手の空いている占い師がいたら、ここまで来い!」


声が響いた後数秒してから紫のローブを羽織ったいかにも占い師、と言った感じの老人が走ってきた。


「おい、こいつを占え!」


「は、はい!」


焦ったように叫びながら占い師はその手に持っている水晶をライトにかざす。


水晶の中には、黒い炎が映った。


「じゃ、邪術師でございます!」


占い師の悲鳴にも近い叫び声が五階に響き渡る。


「なんだなんだ!なにがあった!?」


五階の入り口にいたヘイネルが叫びを聞きつけて走ってくる。その後ろからは他の占い師もついてきていた。


「え?俺、そんなに優秀な職業だったのか?」


戸惑ったように、しかし嬉しさを乗せてライトは呟く。しかし、ラクスは全く嬉しそうな顔をしていなかった。


「おい、お前、名前はなんだ?」


「ん?そういえば言ってなかったな。俺はライト。朝日ライト、いや、どうもこっちでは名前を先に言うみたいだから、ライト・アサヒだ。」


ライトの名乗りを聞いてラクスは冷たく告げる。


「そうか。では、ライト・アサヒ。お前はこのエヌマから追放だ。」


「へ?」


ライトの顔が、呆けた物に変わった。

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