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お出かけ-予定の話

「あ、ようやくぴったりのサイズが見つかりました… 今度は大丈夫です…」


さっきのことを警戒してるのか、やけにゆっくりとカーテンを開いたな… それにしてもこの水着の素材、布でも皮でもなさそうだがいったい何だろうか。


「それにしても、やっぱり魔獣の毛は不思議ねぇ。編んでるのに水を弾くだなんてぇ。」


「この水着、魔獣の毛でできてるのか?」


「そうよぉ。狩られた魔獣は骨まできっちり加工されるわぁ。これもその一種ねぇ。」


「じゃあ食べられる部分もあるのか?」


「肉は基本家畜の餌だからねぇ。どんな味かは知らないけどぉ、あんまりおいしくないんじゃないかしらぁ。」


「よし、じゃあ週末になったら調達してくるから、誰か調理よろしく。」


「はぁ?何言ってるの?魔獣の肉なんてどうやって用意するつもりなのよ。」


「申請さえすれば外泊できるだろう?野宿でもしながら狩ってくればいいさ。だって魔獣の肉だぞ?セレンちゃんだってどんな味か気になるだろ?」


「全然。それに、もしイリアス君の身に何かあったら… だからやめて、お願い。」


「…わかったよ。ちぇー、食べてみたかったんだけどなー。」


「魔獣の肉ならありマスよー?100gあたり20ギリデス。買っていきマスか?」


「おお、案外安い… って俺今金持ってないんだよな… 水着はタダで支給されるって聞いてたから…」


「じゃあ私が立て替えておきますよ。ついでに調理も任せてください。これでも料理には自信ありますから。」


ちょうど試着室から出てきたカノンちゃんがリボンを直しながらそう言った。


「え!いいのか!?」


「当たり前じゃないですかー。はい、20ギリです。」


「ちょうどデスねー。まいどアリー!私も食べたことないんで味は保証できマセんけどねー!」


「ちょっとカノン!物で釣ろうなんて卑怯じゃないのよー!」


「ふーんだ。だいたい後から来たのはそっちじゃないですかー。私の方が長い付き合いなんですー。」


まるで2人の間にバチバチと火花でも飛んでるみたいだな… それに、付き合いの差なんて1日も無いよな確か…


「はーい2人ともぉ、ケンカはそこまでよぉ。用事はもう済んだんだしぃ、帰るわよぉ。」


「またのお越しをー!」




半ば引きずるようにして2人を連れ出して俺たちはとりあえず寮の前まで戻ってきた。


「あ、そう言えば。」


「どうしたんですか?」


「前に私が病んでた時、イリアス君『みんなで遊びに行こう』って言ってくれたよね?」


「ああ、そんなこと言ったな。」


「まだ週の初めだけど、今の内に予定立てとかない?どこ行くー、とかさ。」


「じゃあ私たちの部屋に行きましょう。リナもたまには息抜きしなきゃですし。」


部屋ではリナちゃんが必死の形相で論文を書いていた。なんでも提出期限が明日なんだそうだ。


「あー、リナー?ちょっといいー?」


「んー… ちょいまち……… ん、何?」


「近々みんなで遊びに行こうって話しててね。いつだったら都合いい?」


「あー、そうねー。明日提出して、明明後日までは泊まりがけで最終チェックだからー… 今週末は無理かなー。疲れてそれどころじゃないと思う。」


「じゃあ再来週?」


「おっけー。そこは空けとくから予定が決まったら教えてね。」


「今はリナさん忙しいみたいだし、私たちの部屋に行かない?ここにいたら迷惑かけちゃうよ。」


「そうだな。俺たちだけならまだしも、4人も集まるとうるさいだろうしな。」


2人の部屋に来ると、フリージアちゃんはお茶を入れに行った。残された俺たち3人はとりあえずどこに行きたいかを話し合うことにした。


「俺は都市部に行ってみたいな。親父が辺境伯だから俺は田舎で育ったんだ。街中がどんなところかずっと興味あったんだよなぁ。」


「私も街がいいかなー。ジプレクスの王都は国際的だからねー。私みたいな外国人がいても目立たないし。」


「私は美味しいものが食べられればどこでもいいですよ。あ、さっき買った魔獣のお肉は保冷庫に入れておきましたからね。」


「ああ、ありがとう。じゃああとはフリージアちゃんの意見だな。」


「お待たせぇ。何か進展はあったぁ?」


「私とイリアス君の希望は街なんだけど、フリーはどこか行きたいところある?」


「台所まで聞こえてたわぁ。私も田舎育ちだからぁ、街は興味あるわねぇ。」


「よし、じゃあ行き先は街で決定だな。それで次は何を決めなきゃいけないんだ?」


「誰を誘うか、とかですかねー。別に私たちとリナの5人でもいいと思いますけど。」


「あ、そうだ。ミロクちゃんも誘っていいかな?色々手伝ってもらったし。」


「私たちは別にいいけど、フリーは面識ないよね?」


「私も別にいいわよぉ。人見知りする質でもないしねぇ。ああ、代わりにと言っちゃなんだけどぉ、私も1人誘ってきていいかしらぁ?」


「誰を誘うの?私たちの知ってる人?」


「うふふ、秘密よぉ。でも3人とも知ってる人だから安心してぇ。」


「えー、教えてくれたっていいじゃん!」


「まだ来てくれるかわからないからぁ、来るって言ってくれたら教えるわぁ。」


俺も知ってる人なのか。誰だろう?


「再来週が楽しみですね!」



それからの二週間、俺たちはその話題で持ちきりだった。実のところ俺たちの中に街まで行ったことがあるやつはいないし、身近でもユキちゃんくらいしかいなかった。そういう訳でユキちゃんも誘って計8人で行くことになった。


「いよいよ明日だな。」


「ええ、リナも無事に論文が完成しましたし、これで心置きなく行けますね。」


「結局行くのは何人だっけ?私たち4人とリナさん、ユキちゃん、ミロクちゃん。あ、あとフリーが誘うって言ってた人はどうなったの?」


「彼女も行くって言ってたわぁ。結構渋ってたんだけどぉ、イリアス君が相手してくれるって言ったらコロッと態度変えちゃってぇ。」


「おい今なんて…」


「実はねぇ、今外にいるのよぉ?入ってきていいわよぉー!」


入ってきたのは意外な人物だった。確かに俺が相手をすれば喜びそうな相手だが…

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