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見つけたものの話

26話 見つけたものの話


ガウス博士の埋葬には、俺や学園長を含めた数人だけが参加した。もちろん、当時手伝いに来ていた3人もだ。


「イリアス君、ガウス博士の最期を看取ってくれてありがとうございました。彼の最期の言葉、君がいなければ僕には伝わってなかったでしょう。」


「誰がガウス博士を殺したのか突き止めるまではお礼なんて言わないでくれ。犯人は必ず見つけてみせる。」


「犯人は風の魔法を使うみたいです。博士の遺体には切り傷がたくさんありましたから。」


「風の… わかった。」




それからの科学室の管理は俺に任されることになった。少なくとも後任が決まるまでは。


「今日も… あそこに行くんですか?」


「俺にはまだ仕事が残ってるしな。それにもう一度襲撃されたとしても、俺ならある程度は対応できるから心配しないでくれ。」


「本当に気をつけてくださいね?イリアス君がいなくなったら私…」


「俺がカノンちゃんの前からいなくなったりすると思うか?信じてくれ。」


「でも私、不安なんです。あの時科学室にいた4人の中に犯人がいるんじゃないかって… もしかしたら私が容疑者扱いされてるんじゃないかって…」


「それだけは絶対にない。俺が保証してやる。」


「ごめんなさい引き止めてしまって。無事に帰ってきてくださいね。」


カノンちゃんと分かれてすぐ、今度はミロクちゃんと出会った。こっちも、今にも死にそうな顔をしてるな。


「ミロクちゃん、大丈夫か?」


「あ、イリアス君… あたしは、大丈夫だよ!不安なんかこれっぽっちもないし!」


「空元気なのがバレバレだぞ。そんな沈んだ顔してるくせに何も無いわけないだろう。」


「う… ほんとのこと言うとね、みんながあたしのこと人殺しだって疑ってるんじゃないかって思っててさ… 疑心暗鬼になっちゃいけないってことはわかってるのに… どうしようもなくて…」


「カノンちゃんと同じこと言ってるけどさ、2人とも心配しすぎなんだよ。そんなことは絶対にないって俺が断言してやる。だから… そんなに疑り深くなっちゃだめだ。」


「イリアス君… ありがとう、ちょっと元気が出たよ。ところでさ、今から研究に行くの?」


「ああ、そのつもりだけど。」


「あたしも何か手伝おうか?」


「ありがとう、でもあんまり多くないから大丈夫。それよりも、カノンちゃんと2人でセレンちゃんの部屋に行ってくれないか?今日授業に出てないみたいなんだよな。ちょっと心配でさ。」


「わかった。でも、あたしたちじゃあの子をどうにもできないかも… 犯人が風魔法の使い手だって聞いて、一番ショック受けてたからね…」


「セレンちゃんの適正って確か風だったよな。だから疑心暗鬼に陥ってる可能性が高いわけか。俺も後で行くから、じゃあよろしく。」




科学室に入ると中はガランとしていた。ガウス博士が殺された部屋は一応はきれいにしてあったが、まだ机の上には書類が整理されないまま散らばっていたりする。

そういえば、ガウス博士最後になんて言ってたっけか。『守ろうとした』…?何を守ろうとしたんだ?しらみつぶしに探すしかないか。

戸棚や保管庫の扉はもうほとんど開けたかな。中には割と普通の研究資料くらいしか入ってなかったし。あと探してないところといえば… あれ?ガウス博士がよく座っていた椅子の下に何か落ちてる。試験管か?でも中に紙が詰まってるな。なになに…


【魔装兵器シンの開発、運用について】


学園長が長年研究してたのってこれか?それにしてもやたら細かく戦闘データが取ってあるな。言うなれば即席魔力生成機ってところか。魔導師じゃなくても魔法が使えるなんてすごいな。これがガウス博士が最後に守ろうとしたものなら、学園長に届けた方がよさそうだな。セレンちゃんの部屋に向かう前にでも寄っていくか。




よし、これでパーツの仕上げも終わったし、あとは黒色火薬の材料さえ入手できれば銃の完成だな。じゃあまずは学長室に例の資料を届けに行くか。


「イリアスだ、入るぞ。学園長はいるか?科学室でこんなもの見つけたんだが。」


「何を持ってきてくれたんですか?」


「研究資料だ。ガウス博士が最後に守ろうとしたらしいから一応持ってきたんだが。」


学園長は俺の手から資料を受け取ると一通り目を通し、いつになく真剣な表情になった。


「イリアス君、これ読みましたか?」


「いや、タイトルだけちらっと見ただけだが…」


「そう、それならよかったです。ここに

書いてある知識は僕が長い時間をかけて調べてきたものですから、そうやすやすと他人の手に渡すわけにはいかないんですよ。」


「まぁ俺は興味無いし、あんたが何調べてようと勝手だからな。じゃあもう俺は行くぞ。」


「ええ、さようなら。わざわざ届けてもらってありがとうございました。」


俺が読んでないと答えた時に一瞬、学園長がニヤリと笑った気がしたが、それは情報が漏れてないことへの安心感か、それとも…

いちいちそんなことを気にしてるわけにもいかないか。よし、次はセレンちゃんのところだ。2人ともまだいるかな?確かセレンちゃんとフリージアちゃんの部屋は俺らの部屋とは真反対だったよな。


「こんばんはー。誰かいるー?セレンちゃんの顔を見に来たんだけどー。…おじゃましまーす。」


一応外から呼びかけておいた。誰も出てくる気配がなかったから扉を開けてみると、中からは返事の代わりにすすり泣く声だけが聞こえてきた。

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