新たな参加者の話
授業も終わったことだし、さっさと片付けて科学室に行くかね。お?教室の入り口で誰か俺のこと呼んでる… あれは、セレンちゃんか?
「やあ、セレンちゃん。何か用事でも?」
「カノンから聞いたぞ!イリアス君、銃を作ろうとしてるんだって!?」
「んー?何のことー?」
カノンちゃん… 他言無用だって伝えたのに言いやがったな。
「とぼけるのが下手くそね。あ、カノンのこと怒らないであげてね。言うの渋ってたのを無理やり教えてもらった私が悪いんだし。」
「まぁセレンちゃんならまだ… それはそうと、銃がどうしたんだ?」
「あっ、そうだった。私実は本物を見たことがあってさ。何か役に立てばってね。」
「本物を?遺物が何個か見つかってるくらいだし、それも全部博物館行きだぞ。まさか博物館で見たとか言わないよな。」
「違う違う。実は私のパパ…お父さんのコレクションの中にあってね。時間の停止魔法がかけられた箱の中にあったから風化してないんだよ。」
「時間停止の魔法?そんな魔法が使えるのはリディア家の人間くらいだ。なんでまたそんな物が…」
「そこには突っ込まないで… でね、何回か撃たせてもらったこともあるんだよ!すごいでしょ!」
「結局君は自慢しに来たのか?」
「違うってば!だから私も手伝わせてもらえたらなーって…」
「んー、まぁそういうことならいいよ。これから行くところだから、一緒に行こうか。」
「やったーーー!」
合流したカノンちゃんとミロクちゃんも連れて科学室へ向かった。道中、情報を漏らしたカノンちゃんに小言を言ったから、科学室に着いた後もしょげていた。
「おおー!初めて来たが、やっぱり噂通りすごいなぁ!」
「イリアス君、今日は何すんの?」
「今日からは銃の機構部分を作る予定だ。材料の金属は近くの村の鍛冶屋から買い上げてきたから死ぬほどあるぞ。」
「えっ!?そんなお金どこから…」
「依頼主は王国管理局だぞ?忘れたのか?と言うことは、使える金も国家予算並ってわけだ。」
「そのお金で砦でも建てればいいんじゃ…」
セレンちゃんの無慈悲な一言に、みんな後に続く言葉が出てこなかった。
「で、どうやって加工すんの?」
「魔道士らしく魔法でも使うか。………そい!これで握力が桁違いに上がったはず。カノンちゃん、そこにある金属の塊を握ってみてくれ。」
「もう怒ってませんか…?」
「だぁぁぁ!もう怒ってないから!そんな捨てられた子犬みたいな目で俺を見るな!」
「イリアス君ってばチョロいです。」
騙しやがったなこのやろう。
「えーっと、これですか?えいっ!おお、手形が付きましたよ!」
「これでおおまかな形を作ってくれ。各パーツの細かい設計図は俺が昨日書いておいたから、それを参考に。」
「でも指だけじゃどうにもならないところはどうすればいいんですか?私指が太いのが悩みで… もっとスラッとした指になりたいです…」
「カノンちゃんの悩みは知らないが、そういうところはナイフで細かく仕上げていけばどうにかなるはずだ。」
「えー!もっと親身になってくれたっていいじゃないですかー!」
「指の太さなんてそんなに重要じゃないさ。気にするのだって指輪を買う時くらいだろう?」
「指輪… 結婚… えへへ、なんだか照れますね。」
「カノン… ちょっとキモいよ… あとさ、あたしが言うのもなんだけど、そんな大雑把で大丈夫なのか?」
「試し撃ちはお前らにやってもらうから、ミスってたら手が吹っ飛ぶぞ?」
「誠心誠意頑張らせていただきます。」
4人でパーツごとに分かれて、金属を削ること3時間、とりあえず1丁分の部品が揃った。筋力増強だけじゃなくて、機敏化の魔法もかけておいて正解だったな。それでも1丁にかかる時間は一人で12時間か… どうにか量産体制を整えないと。
「ああぁぁぁ… ようやく終わったぁぁぁ…」
「みんなお疲れ様。仕上げは俺がやるから、次にみんなに手伝ってもらうのは火薬の材料が届いた後になるかな。」
「こんな細かい作業したの久々だよー。」
「本当ですね。久々に肩こりが…」
みんな完全に疲れきってるな。何か疲れの取れそうなものは無かったかな…
「あ、ちょっと待ってろ。すぐ戻るから。」
えーっと、コーヒーの瓶はどこにあったっけか。お、あった、これだ。
俺はコーヒーを入れたカップを4つお盆に載せ、もといた部屋まで戻ってきた。
「おまたせー… ってみんな寝てるし。」
俺が戻る頃には、3人とも机に突っ伏して眠りに落ちていた。
「こんな大変なことを手伝ってくれてありがとな。」
明日は休みだし、このままここで寝かせてもいいだろう。冷えるとまずいから、毛布でも探してくるか。




