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テスト最終日の話

「はあぁぁぁぁぁ… これでようやく二科目か… まだまだ先は長いな…」


テスト2日目、今日の科目は外国語だ。俺はセレンちゃんの故郷の言葉でもあるルーシラン語を選択している。


「それにしてもセレンちゃんみたいな留学生はいいよな。外国語の試験は免除だもんな。」


「でも、語学の試験が私たちが感じているのに比べて相当難しいですよ。セレンちゃんたちからしてみればこれは外国語ですし。」


「それもそうだな。留学生といえど不利な面はあるってことか。」


ふと窓の外を見ると、グラウンドには一人もいない。テスト期間だから部活も休みなのか。


「それにしてもイリアス君がルーシラン語ができることが驚きですよ。セレンちゃん言ってましたよ?ネイティブ並に話してるって。」


「別に大したことじゃないよ。ガルディック家がルーシランのある貴族と縁があってな。あの家に生まれた者だけじゃなく、使用人や従者なんかもみんな覚えさせられるんだ。」


「なるほどー。それでペラペラに。」


ちょうどそこへ日直の仕事を終えたフリージアちゃんがセレンちゃんを連れて帰ってきた。


「あらぁ、誰もいない教室で男女が二人。何をしてたのかしらぁ?」


「べ、別に何もしてませんよ!そんなやましいことなんてするわけないじゃないですか!」


普段はあんなにおっとりしてるのに、その手の話になると饒舌になるのがフリージアちゃんの魅力の一つだと俺は勝手に思ってる。


「おいフリー。男女が二人そろうと何が起こるんだ?やましいことなのか?」


あれ、セレンちゃんってこんなキャラだっけか… そういえば、エッチな話が大好きなフリージアちゃんもセレンちゃんの前でそういうこと言うのを聞いたことないな…


「ちょっとフリーちゃん?セレンちゃんの前ではそういうこと言わないでって何度も…」


「まぁまぁいいじゃないのぉ。17歳にもなってそういう知識に疎いのはどうかと思うわぁ。」


「そうは言ってもですね… とにかく、これ以上セレンちゃんの純情を汚さないでください。」


はーいと言いながらも唇の端から舌を覗かせてるあたり、反省してないな。前科があるみたいだし、またいつかやらかすだろう…


「二人とも、何をこそこそ話してるんだ? 私の質問に答えてくれよ。………わかった。ねぇイリアス君?さっきの質問、君が代わりに答えてくれないかなぁ?」


「お、俺に聞かれてもな… それと急に声色を変えるな。何故か罪悪感が…」


「ちょっとセレンちゃん!イリアス君を惑わさないでください!私の立場無くなるじゃないですか!」


「別に誑かすつもりなんてないぞ。ただ、男性に頼み事をする際にはこういう風にすると良いって本にも書いてあってだな…」


「イリアス君、こんな騒がしい二人なんて放っておいてぇ、私とデートしましょぉ?」


「「抜け駆けなんてズルい!!」」


まったく… 何に対してこんなに執着しているのやら… やっぱり女は俺らとは完全に違う生き物なんだな。




テスト3日目、4日目も無事に乗り切った。魔道史学はそこそこいいと思うが、歴史の方は微妙だな。さぁ、最後の難関は今日の数学だ。これさえ終われば俺は晴れて自由の身だ!


「今日で最終日だ。気合い入れていこうぜ!」


「おぉ… 数学を前にしているというのにイリアス君がやる気に満ち溢れてるなんて…」


「他の四科目は半分捨てたも同然だからな!その分を全部数学に充てたんだ。悪い点数なんて取るはずがない!」


ちょうどそこへリナちゃんが起きてきた。定期テストの間8年生は自由登校だとは言え、完全に生活リズムが崩れてるな。


「おはよ… イリアス君の話聞いてあたし思ったんだけどさぁ…」


「なんだ?どう思ったんだ?」


「去年までの自分を見てるみたいだなーって。あはははは!まぁあたしと一緒だったら君の成績は…」


「今日はやけに溜めるな。もったいぶらずに教えてくれよ、なぁ。」


「無事に進級できてるんだから察してよ。赤点は取らないってことさ。」


なんか今までで1番安心できる言葉な気がする!その言葉を胸に俺は、最大の敵が待つ教室へと向かった。




「はぁ、もうだめだ。死のう。」


「イリアス君!?心の声が漏れてますよ!?」


「これはダメだわー。もうおしまいだわー。赤点確定だわー。留年だわー。」


「あまりのショックに口調まで変わってるわねぇ。見ていて退屈しないけどぉ。」


「なになに、どうしました?おっと、イリアス君珍しく落ち込んでますねー。」


この声はユキちゃんか。悪いけど俺今誰にも会いたくない気分なんだ。むしろ俺自身の存在さえ消したい。


「実は、数学の出来が相当悪いらしくて… 赤点だー、留年だーって…」


「なんだそんなことですか!赤点取ったくらいでくよくよしないでください。たかが中間テストごときで留年するわけないじゃないですか。」


「えっ!?そうなの!?」


「もちろんですよ。まぁ再試はあると思いますが。」


「留年しなくて済むだけましだよ!あー心配して損した。さっきまでの時間返せっての… ん?じゃあもう数学勉強しなくてもいいんじゃないか?」


「再試でも悪い点数なら留年も有り得ますよ。」


「え。」


俺たち4人が人も少なくなった教室で喋っていると、放送が入った。


「えー、7-A イリアス=ガルディック君。至急生徒会室まで来てください。繰り返します。7-A イリアス_____」


「なんだ?生徒会に呼び出されるなんて…」


「イリアス君まさか… 何かしでかしたんじゃ…」


「怖いこと言うなよ。とりあえず行ってくるよ。遅くなるかもしれないからみんな先に帰っててくれ。」


そう言い残して俺は生徒会室へ向かった。

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