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翅
五線譜に囚われた空の下
小鳥の影は音になる
詩集の栞を捨てながら
僕は白のカップを口にする
胸の内を蹂躙するような痛み
呼吸を捩じ伏せる圧力に追われ
毎日の終始はベットの上
真っ青なシーツを天井に広げ
真っ白なペンキを打ち付ける
僕の知る空はそんなもの
この世界がどれだけ広かろうと
僕が知りたいことは変わらない
この世界がどれだけ狭かろうと
僕が手を繋ぎたい人は変わらない
視線が翼になって翔けるとき
胸のつかえも拭われるように
また空が遠くなったとき
胸のなかみが報われるように
ときどき痛くなる君の笑顔も
ときどき強くなる君の言葉も
全部捩じ伏せて僕の一部だから
浮いて通り過ぎる僕の名前は
身体と一致しないことが多い
ただ香る 琥珀の液体に
指を馴染ませ赤い舌でしゃぶる
そろそろ
翔んでいってしまいそうだ