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瓦解
「おはよう」といって起きれること
「おやすみ」といって眠れること
相手がいることの幸せを
私は十分には理解できていない
「ありがとう」といって笑うこと
「ごめんなさい」といって泣くこと
感情で生きることの大切さを
どこかで失くした私がいた
個人の感情はときに誰かの妨げになる
「うるさいな」という怒りを表に出しても
誰が得するわけでもない
怒りは心の奥に積もらせて閉める
はらり、はらり
欠片が降る音がする
「好きだよ」といえば全てが壊れる恋があった
誰が得するわけでもない
愛慕は心の奥に積もらせて閉める
はらり、はらり
欠片が降る音がする
静かに戸を引いて背を向ける
深呼吸して感情に背を向ける
はらり、落涙の音
はらり、欠片の音
最後の一片は火熱の一片
高く積み上がった感情は流れる
戸の隙間に風を感じた、刹那
戸は開け放たれた
閉ざした私自身を残して
欠片は暴風に舞う
桃色の花弁に染まる
私の中を風が抉る
心の隙間に張り付くは桃色
止まらないものは涙
忘れていた感情を抱きしめて
心は開け放たれた
閉ざした私自身を変えて