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関係
告白されて日常が変わると思ったら、そんなことはなく平凡な日々を送れていた。
(告白とはなんだったのか…)
波乱が起きるかと思って覚悟していただけに肩透かしだった。平凡万歳だけど。あの『好き』はなんだったのか考えてもよくわからない。勘違いだと気づいたのだろうか。それとも罰ゲームか。小さくため息を吐く。
ちらりと斜め先に目をやる。目線の先には人だかりが出来ていて中心には相変わらず爽やかな笑顔で対応している彼がいた。運動も出来るし、勉強も出来るし、爽やか青年だし、容姿だってカッコイイいわゆるイケメン。これは誰にもモテるわけだ。
(なんで僕だったんだろう)
改めて自分を思い返してみる。床屋に行くのもめんどくさくて長めの黒髪、視力も悪いから黒ぶち眼鏡。背だって前の方に並ばせられる。どこにでもいるような地味なやつだきっと。たまにクラスメートから背のことでからかわれるくらいでだいたい一人でいるし。隣のクラスの山田くんは別として。
もやもやしたまま、視線を読みかけの本にやり、ざわめくクラスの雑音をぼんやりと聞きながらお昼休みを過ごした。