目覚め
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拙い文章ですが、ゆるりと御覧下さいませ。
結論から言うと、先生は一回目の異世界のリューオーだった。
ただ何で気づけなかったのかというと、幾分年を重ねていたようだったし、何よりあまりリューオーを見なかったというのもある。
同じ名前を偶然聞いたなあと思うだけで、二度目の異世界トリップ……バロック調の屋敷から体育館のようなところにいきなり行ったんだ、トリップいわずして何と言う!……で、まさか同じ人物だとは思わないだろう。
さてさて気絶したとはいえ若干寝ていたということもあり(変な夢を見ていた)、あたしはすぐに目覚めることはない。
春眠暁を覚えず、と中国の詩人は言ったけれど、あたしは年中暁を覚えず。
ぼんやりまどろんで、ごろごろする。
たまらない、しあわせ。
……たまに二度寝をやらかしてお母さんに怒られるけれどねーなんて、思ったところで気づく。
最初に違和感を感じたのは、匂いだった。覚醒。
女の子のほわほわした感じじゃなくって、男!って断言する匂い。
お父さんや兄ちゃんのきつい香水より断然いいかも、なんて目を開けた。
大きなベット。
広い部屋。
新聞で、ときたまあるマンションの広告のような配置でおかれた家具や電化製品(全く生活感がない)。
「う、うわあああッ!」
びっくりして慌てて思わず叫ぶ。
こ こ ど こ で す か !!
混乱しているために、トリップして云々と今まで過去のできことを思い出す。
最終的に自分自身が、どこに住んでた誰それで、家族は何人で、どこの高校に通っていた何歳ということを確認するかのように思い出し。
そういえば皆川くんとやらに「悪魔」と呼ばれて先生が何かしましたね、と思いだしてだんだん腹が立ったところで、見計らったかのように丁度よくドアが開いた。
「ああ、起きたようですね」
低い声の主は、あたしに何かした先生……もといリューオーだった。
このときはまだリューオーだとは思わなかったため、力ある?親切そうな先生という印象。
「……体は大丈夫ですか?」
何ともないので頷いた。
リューオーは、ほっととした様子で胸をなでおろす。
微笑み、あたしに言った。
「とりあえず食事をしましょう、食べながら話をしますから」