兄姉妹
5度目のトリップをむかえて、今のあたしは4度目は半日?ということもあり3度目の世界の衣装を着ている。
上半身は浴衣。
帯は子供用のシワ加工されているような長い布で、花や色とりどりのひもで装飾してあるものだ。
それから下はチャイナドレスのようなきれこみがあり、ブルマー?のような短パンをはいているという格好。
そこの土地は、基本的に原色が好まれる文化のようで、和服とチャイナドレスをかけあわせたその服は赤い色だった。
それだから。
浴室の扉が開いて、思わずびくりと体が震えた。
「……何やってんの?ハナちゃん」
吹雪お姉ちゃんが怪訝な顔をして、あたしを見ているのは、仕方がないかもしれない。
「んー……コスプレ、なのかな? でもねハナちゃんいくらイベントが1年に1回あるかないかの田舎だからって一人遊びした挙句に、お風呂に飛び込むことはないと思うの」
姉の言葉を聞いて、色々言いたいことがあったけれど。
それを言う前に、タオルと服を用意してくると言い残して姉は出ていった。
昨日の残り湯だろう、お風呂の中は水いっぱいで。
寒いし、水に濡れた服は重いし……なんかだるいし。
溜め息をついた後、のろのろと服を脱いだ。
洗濯の仕方が、まるでわからない。
綿100パーセントかな、これ??
うんうん唸っていると兄、宵星と、ばったり出くわす。
……ちなみにあたし裸ですが、兄は平気な様子で。
「ああ、ごめん」
「……お、お姉ちゃんは?」
「お前、今それ言うことかボケ」
ぴしゃりとドアが勢いよく閉められた。
……兄は平気なフリだった様子で。
こっちも平然としなくちゃいけないのかなあと思ったけれど、お互い気まずかったらしい。
扉越しから、どたどたと勢いよくリビングあたりに行こうとする音と話が聞こえる。
『お兄ちゃん、顔赤いけど』
『うっさい何もない』
『もしかして』
『違う、見てないから』
『……まだ何も言ってないんだけどー?』
そんな言葉と共に洗面所の扉が開かれた。
妹の百々季が、にやにやしながらタオルと下着、服を持ってきてくれた。
「はいこれ、吹雪ちゃんに頼まれたやつ」
「ど、どうも……何?」
「いんや~?じゃあ、まったねー」
妹が出ていくと、ふんふん鼻歌が聞こえてくる。
なつかしい、調子っぱずれのアニソンだった。
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