風呂場
4度目のトリップは4時間強。
長く見積もってもせいぜい半日だったことだろうと思う。
リューオーに会って、2,3分といったところか。
こういうこともあるんだなあ、と慣れた自分がいて怖い。
次で終わることを祈るけれど。
リューオーは8回もトリップしたと言っているのだから、あたしも8度体験することになるんだろう。
元に戻れる日はいつ?
……そういえば結局あの、男の名前はわからなかった。
また会うってどういう……
もしかしてあの男が黒幕とか……
ぐだぐだと、長く考え悩む。
そんな暇があるほど、しばらく暗い闇の中に、あたしはいた。
海のような、広く深い水の中にいる感覚。
ふよふよとただよう、あたし。
ここは、なんとなく寂しいところだと思った。
やがて浮き上がる感覚がした。
そして、気づけば風呂の中だった。
な ぜ だ
案の定、服はびしょびしょに濡れている。
さっきまで乾いているような感じだったような気がしたけれど……え、今まで本当に水につかっていたの?
いやいや水に浸かっていたとか、漂っていた感覚はあったけれど、あくまでもあれは、暗いが広いところだった!
こんな、狭い、風呂場に沈んでなんかないよ!!
……んん?
それは見慣れた風呂場だった。
定位置に置かれている、姉は気に入っているのに家族に不評のシャンプーとリンス。
しんぷるいずべすと、な両親が使っている石鹸と、金属で作られたひつじの石鹸台。
香水や体臭が気になるという、妙に鼻が鋭い兄が嫌々使わなければならないというボディーソープ。
妹の、入浴剤の中に入っているおまけのおもちゃコレクション。
そしてなにより。
あたしの、へちまたわしが!!
……。
ここは、あたしの実家なのでしょうか?
間を開けてしまいました(・ω・`)
へちまたわし→最初痛いものですが、だんだん水になじんでくると、やわらかいスポンジになり泡がたくさんあっていいんですよ、泡が。