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師弟。

クレープをどんどん焼く俺と影、同時進行でホイップしたクリームと切り分けた果物を置き巻いていくシャル…シャルは俺の助手として、実に楽しそうだ。

しかもありとあらゆる分野で天才的な才能を開花させるので、うっかりすると俺の料理の腕まで追い越してしまうのでは?と思えるほどだ。

本当、こんなハイスペックな奴、なんでゲームに出てこなかったんだろう?

もしかして俺が助けなかったら…俺がいなかったら……背筋がぞくっとして考えそうになった最悪の場合を振りきった。

まぁ、ココでは幸せに元気なシャルなのだ。イフなど考える必要はないだろう。

コジーィとロジーィは出来たての甘いクレープに齧り付いて表情を緩めた。

最初は彼らも自分で果物やクリームを包もうとしたのだが、甘い物に目が無いせいか…どうしても欲張ってしまい、皮を破くやクリームを溢れ零すやらで大変なことになったので、シャルに任せた。

俺はユーニに、野菜や肉を巻いたクレープを大量に用意してやった。

最初はお粥とかがいいかな?とか考えたが、とにかく魔術師体質は食えば何とかなる…のだ。

最初に汁物を食わせたし、今も夢中で出来る端から食べ尽くす勢いで貪っているので大丈夫だろう。

王族ぇ……

ユーニはその立場と危険性から、王族ではあるけれど付き人も警護もいない。

つか

「後見人は何やってんだ?」

まだ独立してない愛されし子には付いてるはずだろ?

ゲームではすでに一流魔術師で、独立してたからなぁ…そういえば、いるはずだろう?と聞いてみると

「あ」

と、ユーニは口を開けたまま止まった。

「師にも、ご飯」

「ちょっ、まさか」

何とか回復したユーニの先導で、食べ物を抱えて部屋に通されると外見は美少女のような雰囲気のちょっと影の薄そうな青年が、紙とペンを抱えたまま幸せそうな表情で気絶していた。

…と、いうか瀕死直前だった。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

慌ててリュウに貰ってお守り袋に入れてた魔宝石を、彼の口の中に突っ込んだ。

うん。ナイス判断だったと後日褒められたよ。

本当にもう少し遅かったら、塔で初の餓死者が出る所だったらしい。


ユーニの後見人の名はスファーロ…水の魔術師としては超のつく一流者なのだが、聖魔術おたくで研究者。寝食を忘れるタイプだった。

そしてあまり友人、知人のいないタイプ

権力関係の興味はすっぱり無く、新しく見つかった資料とかには目が無いけれど、金銭にも興味無し。

研究費用は塔が負担してくれるしね…

それでユーニの後見人に選ばれた所もあるのだろうけど……

「ご、ゴメンね?凄い発見をして、それの解析をしてたら夢中になっちゃって…」

えへっと小首を傾げる様子は可愛いが、おいおいである。

「あ、そーだ、ユーニほら見てっ、解析できたよっ」

「凄いです師よ、次は魔法陣に書き起こすのですねっ」

キラキラと輝く二人……ゲームだと淡々と自分の研究に打ち込んでいるタイプだったけど、今のユーニは趣味仲間ときゃっきゃっしている少女のようだった。

反省も後悔もしてやがらねぇ……

注意しても無駄そう……さっきまでリラックやサフルに、カンカンに怒られてたのによぉ…

「に、似た者師弟…」

「こいつら放置したら、また餓死すんじゃね?」

「……確かに」

「…リュクヤ…」





それから俺らは…最低でも二日に一回は差し入れを持ちこんで、彼らの口に突っ込むことにしたのだった。


ゲームキャラ・ユーニ

無口な召喚者。主人公を召喚した魔法陣を書いた人物だが召喚中に地震で罅が入って、本来とは違う効果をもたらしたらしい。俗世に興味はなく主人公の保護者となったはずなのに、すぐに世話を焼かれる方へとなってしまう。

外見は包帯お化け。実は秘された王弟で、その容姿を隠している。


ユーニ・水の精霊に愛されし子

愛されし子だということが分かって、権力争いの旗頭にされないよう塔へと預けられた。兄王に大切にされてたし、預けられる訳などもちゃんと説明されてるので捨てられたとは思っていない。兄上大好きでちょいブラコンぎみ。後見人とは馬が合って、師と慕い、研究者の道にのめり込みつつある。


スファーロ・ユーニの後見人

超一流の水の魔術師で、ユーニの師。俗世に興味の無い研究者で寝食を忘れるタイプ。外見は美少女のような雰囲気をもっていて可憐だが、妙に影が薄く性格的に残念な所がある。ゲームではうっかり餓死してたが、その死に顔があまりに、我が人生に一片の悔いも無し…という表情だったので、ユーニの傷になる所か死ぬ時はこうありたいものだと思わせた、ある意味偉大な人物(笑)

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