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警護。

俺の目の前には、俺の護衛として雇われた少年達がいた。

年齢は十五歳…金髪で、長めの前髪は瞳を隠しているが、………設定通りなら、緑色の目と青緑の目があるはずだ。

若いけど、すぐに分かった。

双子の暗殺者…ゲーム攻略キャラである。

「コジーィ」

「ロジーィ」

互いを指さして、名のった彼らに、ぺこりと頭を下げて名のり返す。

「リュクヤです。よろしくお願いします」

「ああ、とくによろしくする気はねぇから」

コジーィが面倒そうに手を振る。

「依頼されたから受けたけど、三か月契約だし、俺ら本業は冒険者だから。警護には二人で交代でつく。分かったか?」

俺は頷いた。

依頼人相手でも、彼らの初期の態度はこんなものだ。金の切れ目が縁の切れ目で、冒険者としてパーティを組む相手としては信頼出来る…お金さえ払えば。

元魔術師の塔出身者で、塔の授業料を稼ぎながら一流魔術師を目指していたが、親に自分達の稼いで溜めていたお金を持ち逃げされ、塔を辞めざるおえなかったのだ。

ある意味、安全な相手達だ。

依頼料さえちゃんとしてれば、二人相手に性奴隷ごはんがわりなバッドエンドにはならない。お金は塔から払われるし。

あれ?もしかしたら、彼らはまだ…塔所属なんだろうか?

「そうそう、試験結果は予想通り。こいつらと同じクラスだから」

リラックの言葉に双子は、ぎょっとしたみたいだった。

「嘘だろ、こんなちみっ子が」

「本当ですか、先生」

おぉ、滅多に喋らない設定のロジーィがリラックに問いかける。

やっぱまだ塔所属だったんだ。

「そ、だから、警護依頼が受講の弊害にはならないから、安心しな。こいつは三歳から、親に娼館に売られる予想を立てて、それを回避するために塔所属になろうと勉強してきた規格外だから」

「三歳から…」

「……つーか、それどうゆう親だよ」

コジーィが吐き捨てるかのように言う。

「おい、おめぇ、親を始末したかったら俺らに言えよ。特別に三割引きで受けてやるから」

コジーィの言葉にロジーィまで頷く。

おいおい割引って、いきなり友好的になったな…ゲーム設定では、彼らの言う割引は分かりやすい好感度の数値だった。もしかして、親に裏切られて間もない…のか?

まぁ、もう両親はいないってことを、簡単にリラックが説明して、俺の頭に手を置いて心話を繋げた。

『後でこいつらには詳しく話しておくがいいか?』

『はい。どうぞ、リラックの判断に任せます』

頭で伝えたいことだけを、魔力にのせ、送る。心話は魔術師体質で、コントロールが良ければ操れる簡単な、術式のいらない魔術だ。簡単だけど難しい。

どんなに距離が離れていても、相手が目の前にいなくても声を届けることができるのはリラックくらいだ。

初心者やコントロールの苦手な魔術師だと、簡単に周囲にも声が伝わってしまう。

コジーィとロジーィにも伝わってしまったみたいで、二人の肩がピクリと揺れた。

リラックはククッと笑って、二人に視線を向け…

それから俺の頭をぐりぐりと撫で、「あとで特訓だな」と言って出て行った。

たぶん二人に視線を向けた時、心話を送ったのだろう。

このやりとりに関して、彼らが尋ねることはなかった。

よろしくしないと言った手前もあるだろう。

「さて、それじゃあ食堂行くか。飯食うの久しぶり♪」

「ああ、そうだな」

そういやこの二人、食費を浮かせるために兄弟で…してた…っけ…

「あの、ご飯は俺が作りますよ?」

俺専用のキッチンは使いたい放題なのだ。調理の様子は魔術で記録を取られるが。



シャルとなぜかサフルも合流した食事の席で、コジーィとロジーィも…当初の皆と変わらない反応で、ご飯を平らげてくれた。

個人で貯蓄量が違うから、なるべく多めに作って、それぞれに分け…残りは御代り自由とした。

何だか余韻に浸っている二人に、サフルがニヤニヤと笑う。

「どうする?」

取り出したのは契約書。

「「…」」

二人は顔を見合わせ頷いた。

「分かった。サフル様の言ってた一年契約、してもいいぜ」

「この食事を無料で食べさせていただけるなら、授業料や部屋代以外の現金での報酬も払わなくていい」

「いやいや、報酬は塔からゆえ、ちゃんと現金も払うぞ?食事に関してはリュクヤの好意ひとつじゃからの」

二人は俺を見て、いきなり頭を下げてきた。

「わりぃ、前言撤回する。これからよろしくしてくれ」

「こんな美味しい物を作り出した貴殿を尊敬する」

いきなり背筋を正したような彼らに、俺はちょっとびびってしまった。

前言撤回とか、尊敬するって言葉は、ゲームの好感度でもかなり高くなってからでないと出ない発言なのだ。………俺の料理って、それほどか?

まあ、ギスギスしたのとか、仕事意識オンリーで守られるよりも、過ごしやすくはあるだろうから。

俺は笑って頷いた。

「これからよろしくお願いします」

と。




それからサフルの差し出した契約書の、期間を延長訂正し、改めてサインをした二人は俺の警護として塔に雇われ…俺の隣の部屋に引っ越してくることが決定して、ちょっと(?)シャルの嫉妬を買ったのだった。



ゲームキャラ・コジーィ

金髪で、長めの前髪は瞳を隠している、緑色の目。

双子の暗殺者で、元塔の魔術師。才能はあったが、親が二人の稼いだ金を持ち逃げ、塔の授業料を払えなくなり辞めざるおえなかった。冒険者として名が売れてるが本業は暗殺者。親を始末するために、暗殺者となった。親は始末済み。口調は荒い。甘党でいつも飴を舐めてる。

ゲームキャラ・ロジーィ

金髪で、長めの前髪は瞳を隠している、青緑の目。

双子の暗殺者で、コジーィの弟。あまり喋らないが口調は丁寧。甘党でいつも飴を舐めてる。


コジーィとロジーィ

冒険者としての名は売れ出しているが、まだ暗殺者にはなっていない。親に金を持ち逃げされて間もない。支払い期限が近く、持ち逃げされた後の稼ぎでは払い切れなかったが、今回の警護依頼により塔に居続けることが出来ることとなった。食事代わりにえっちをしてたが、あくまで食事代わり。互いに兄弟愛以外の感情はない。


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