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貯蓄。

塔入り初日は、リラックの教員部屋のシャルのベッドで一緒に寝た。

まぁ、子供相手だし、気にするようなことはなかった。

…風呂も一緒に入ったがな。

俺がまだ幼すぎるからか、リラックも一緒だったがな……

リラック自身もシブい顔をしていたが。けどやっぱり子供の世話に慣れてるのか、はしゃぐシャルを宥めてさっくり洗い上げてた。

朝起きて、リラックによる魔術や術式の基本の質問にいくつか答えると、リラックはカラ笑いを零した。

「リュクヤは基礎知識に関しては、まったく問題ないな。シャルと同じクラスに転入出来る」

「本当っ」

シャルは表情と雰囲気を煌めかせた。

ゲームの中では、基礎クラスは全五組ある。それぞれのレベルに合わせて変動するので人数は一定ではない。

何も分からない状態であると五組、最高クラスの一組に上がれると応用クラスへの昇格試験が受けられる。応用クラスは三組…そしてその上になると一組しかない。

一流魔術師になる人数の少なさが分かるだろう。

「ただ普通の術式運用は初心者だから、昇格試験は受けられないがな」

シャルは目に見えてショボンとした。

「もしかしてシャルはもうすぐ昇格試験?」

「ああ、来月頭の試験で昇格は確実だな」

本当にシャルは凄いなと思う。俺はずっと塔に行くために勉強していたから、知識だけはある。シャルは塔に来るまで、魔術師の知識はほとんどなかったのに…

…ん?と、いうことは俺が入るのは一組ということか……結構簡単な質問だったんだけどいいのかな?

「そういえば、リュクヤはどうして後見人がいるの?」

「あー…そうだな、お前にも教えておくか。リュクヤはな、通常の術式とは違う系統の術式を使えるんだ、その威力は凄まじい…リュクヤが暴走した時にはお前が、お前が暴走した時にはリュクヤがしか、止めることは叶わないだろうな」

「そうなの?」

ふーんという感じで聞いていた俺達に、リラックは深々とため息をついた。

「あのな、お前らは自分達の凄まじさを、ちゃんと自覚しろ。シャル、お前は精霊二種に愛されている上に塔でも上位の魔力貯蔵量の持ち主なんだぞ、はっきり言って、今の段階でも塔の一級魔術師全員と戦って引き分けられるんだ」

おー、すげぇ…と、思いつつ習ってない段階でも協会を半壊させ、影蛇の結界を展開させてたものなと思い出す。マジでアクラスと対抗出来る人材だろう。

「で、リュクヤ、そんな奴と対抗出来るだろうが、あの術式はっ!魔力貯蔵量だって魔宝石三十八個分以上って規格外」

リラックはぴたりと口を閉ざした。

「まほうせき…さんじゅうはっこ?」

思わず棒読みで発音してましたよ…

「…ここだけの話にしといてくれ、お前…死にかけただろ?その時に騎士リュースが、提供してくれたんだよ。リュウから貢がれてた魔宝石を…リュースはリュウのために貯蓄してたから構わないって、平然としてたけどな…」

リラックは何だか遠い眼差しで俺を見た。

「ま、それだけの貯蓄量があったから、なんとか助かったんだろうけどな……」

「あはは…どうしよう…」

俺は半泣きだった。まさかそんなに魔宝石を消費してまで助けてくれていたとは、思わなかったのだ。

更に誕生日に、リュウから二個貰ってるし…ね……

「お前にバラす予定はなかったから、気にするな。なんかリュウにとっては魔宝石、あんまり珍しくないドロップ品らしいしな…」

リラックは、こんど孤児院に寄付をするようせびるか…と、呟いていた。



俺が授業を受けるのは、明後日になると言われた。

学力知識、実技など、正確に把握するために明日テストをするらしい。それまでは昨日の掃除の続きである。

…兄さん、なんか魔宝石のちっちゃいやつが二・三個発掘されましたが……

とりあえず、リビングと寝室は使える状態に、お風呂も同様に。そして台所を磨き上げた。

塔には大量の食糧が貯蓄されている。

時の精霊の力と、サフルの魔法陣で、食糧は時を止められた状態なのだ。

部屋持ちの台所にはソコと魔法陣で繋がっている箱がある。

冷蔵庫みたいな物で、欲しい食材を念じながら魔力を通せば…貯蔵庫から該当する食材が転送されここに収まる仕組みだ。

蓋の開け閉めが停止の魔術の切り替えになっているので、開けっ放しはよくない所も冷蔵庫みたいだ。

まずは調味料各種を取り寄せて、取り出して仕舞った。

取り寄せて部屋で貯蓄する食材は、箱の中の棚に並べ置く。

カラッポだった箱を、ちゃんと冷蔵庫っぽく整えて…なんとか一息つけた。

埃まみれだったので、シャワーを浴びて早速ちょっと遅いお昼ご飯にする。

オムレツとトマトスープに、パンを切った物。そしてドレッシングを作ってサラダも用意した。

まだまだ手足が短いからなかなか苦労したけど、久しぶりな味に歓喜である。

「やばい、すっげー美味い」

自画自賛してしまう…早く成長して、もっと楽に調理できるようになりたいものだ。

椅子じゃなくて踏み台欲しいな…いちいち移動させるのも面倒だし、台所仕事を楽に出来るようベンチっぽい…と、思う。

後でリラックに聞いてみよう、リラック孤児院で日曜大工とかしてそうだしな…




貯蓄・サフルが塔の最高責任者となったのは、食糧を溜めこむシステムを開発したからである。魔術師にとって、いかに食糧が大切か分かることだろう。

魔力量などもよく貯蓄と表現されるのは、このシステムからきてたりする。

その年に大量に収穫された物や、狩られた物を大量に買い取るので、市場価格の安定にも貢献してたりする(笑)


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