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掃除と食事。

「ここが基本、お前の部屋になる」

そう言ってリュウはドアを開けた。

「俺は家から通っているから、好きに使え」

「……凄い、ね」

部屋の中は…腐海だった。

物凄く散らかっているのだ。

……そういえば、ゲームの中で主人公がリュウの部屋に招待されて、まずしたことは大掃除だった。

騎士リュースが亡くなってからは、ほとんど塔の部屋で過ごしていたリュウは、部屋を片付けられない人種だったのだ。

「片付けてもいい?」

「ああ、別にここは物置き代わりだったし、好きにしていいぞ」

「うん」

「俺はこれから講義を受けに行くが…」

「じゃあ、俺は早速片付けをしてるね」

……たぶん、一日じゃ無理だろうが……


掃除用具を発掘するのも大変だった掃除が一息ついて、俺は腐海を見渡して少し気が遠くなった。

部屋は四部屋あって、入ってすぐのリビング・その横にはキッチン・小さなお風呂・寝室…であった。

それらはそれなりに広く、ベランダまであるようなんだが…そこにはまだ辿りついていない。

というか、片付けないと窓が開けられないのだ。

口元をタオルで巻いているが、早く換気が出来るようにせねば…病気になる。

魔術師体質でも、病気にはかかるのだ。

しかし、今夜からここで寝るのか?

一応リビングの床は見えてきたので、寝室から毛布を発掘洗濯して、最悪ここで寝るか…と、考えていると講義を終えたリュウとシャルとリラックが連れだってやってきた。

「おー、すげー頑張ったな」

「リュクヤ、ご飯食堂に食べに行こう」

「……その前に、その格好を何とかしないとな」

リュウの言葉に自身を見下ろしてみる。

…当然埃まみれで汚れている。

しかしお風呂の部屋は、まだまだ手をつけていない。

まったく使ってないのだろう。本やら書類やらが積み重なっているのだ。

「あー…俺らの部屋に来い。片付け終わるまで、泊めてやる」


ざっとシャワーを浴びて着替えて、皆で大食堂に向った。

塔に部屋持ちの講師や、一流魔術師の部屋にはキッチンが完備されてるが、シャルは勿論、リラックもリュウも料理は出来ない人だった。

食堂はバイキング方式だ。

さて、今更なことだが、言っておこう。

この世界の料理……実は雑だ。

塩も砂糖も胡椒、醤油・味噌も、ちゃんと存在するのに、大抵は煮たり焼いたりしたものに、後から自分でつけて食べたりするのがほとんどだ。

スープも出汁をとったりしないので、しょっぱいお湯っぽいものが多い。

せっかく味噌があるのに、溶かしたりとかはしないのだ。

これまで小さかったし、人目のある台所で食材をいじるようなことは出来なかったので料理に手を出せなかったが…片付ければ、あの部屋の台所は俺の物である。

俄かにやる気が沸いた。

これまで食べる量を我慢できたのは、料理の味がアレだったからということもある。

フランスパンっぽいパン(基本パンはほとんどこれ。味は普通に美味しい…パンだけは…)を山盛りにして、スープ(なぜか米っぽい穀物が入っている)とサラダ(ドレッシングやマヨの類はない…ようは、ただの生野菜)、肉(ちょっと焼きすぎ?)を取り席につく。

シャルと隣あって座ると、周囲が少しざわめいた。

俺が首を傾げると、リラックが苦笑して説明してくれた。

「シャルは今、塔で一番話題の人間だからな」

ああ、二種の精霊に愛されし子は初なんだろうし、当然だろう。

「こいつがまた、俺やリュウ以外と喋ろうともしなくてな」

「リラックっ」

ちょっと頬を赤くして、シャルは恥ずかしそうにリラックを睨んだ。

なるほど。

人見知り満載状態が通常だったシャルが、嬉しそうに楽しそうに俺の側にひっついているのに注目を受けたらしい。

「なんつーか…最初に言っておくか、心構えはあった方がいいだろうし…あのなリュクヤ、シャルは二種の精霊に愛されし子ってだけじゃなく、天才だ」

「天才?」

「そう、一流魔術師になる過程でかかる学習期間は基本六年だと言われている。基本で一年、応用で一年、特性魔術・高等魔術に四年だ」

俺は頷く。ゲームでは一年で色々あったが、主人公の大抵の『相手』は、特性・高等魔術生だった。

リュウが十七ということは、発病まで二年それから主人公が召喚されるまで六年で…ゲームが始まるのは八年後…あれ?炎の精霊に愛されし子、まだいない?

おお、学生のほとんどはまだ塔入りしてないかも。

王族で水の精霊に愛されし子は、十歳から塔入りしてたが、ほとんどは十三、十四で塔入りしてたはず…うん塔入りしていて同級になりそうな相手は十歳の、王族しかいない。

「大抵の魔術師はそこまでいけずに、冒険者になったり貴族に雇われたり魔法兵士になるが…シャルはすでに基本は完璧、応用も教えてないのに展開出来るし、高等魔術すら独学で展開させかけてるんだ」

「へ?」

「あのねっ、リュウが塔にいるのはあと一年と半分でしょ?それまでに僕、一流魔術師になるから、リュクヤ安心してねっ」

にこっとシャルは笑った。

あれ?もしかしてシャル、俺の後見人をリュウから引き継ぐ気、満々?

学習過程・基本六年

希望すれば…というか、授業料さえ払えればそれ以上でも学生でいられるが、ほとんどの生徒は三・四年で塔を出る。魔術師ランクの試験があり、A級に受かった者が一流魔術師と呼ばれる。試験は修学途中でも受けられ、A級に受かると塔の寮からは出られ部屋を貰える。

ちなみに塔の寮部屋は基本四人部屋で、二段ベッドが二つと小さな作りつけの個人クローゼット(むしろロッカー)があるだけの部屋である。お風呂は共有。


回避バッドエンド・寮生いじめ強姦コース

普通の魔術師として、寮入りした場合…同室者の性格や性質によって訪れたかもしれないコース。塔にとって特別な存在となりつつあるシャルに懐かれているリュクヤに、嫉妬と妬み…シャルへの物も含んだ八つ当たりなどで、同室者達によってのいじめが始まる。それらは精神年齢と性格であまり気にしないが、それで相手の鬱憤はエスカレートし、年上に三人がかりで襲われるので回避は困難。襲われて茫然自失のリュクヤがどうなってしまうかは謎。


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