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塔の後見人。

とりあえず『日本語魔術』については、普通の魔術の術式を浮かべる以外に、勝手に頭に浮かんでくるモノを描いてみたと説明した。

「じゃあ、あの森も…」

「木、いっぱい倒しちゃったから、何とか出来ないかなと思ったら…」

「頭に術式が浮かんだのか?」

リラックの問いかけに頷くことで答える。

この世界の神様の言葉だなんて、言えるわけがないのでそう説明しておく。

前世とかも言うつもりはないし。

どっちにしろ、一応魔術を使えるよう魔力発現が出来たので、塔に入ることが出来る……

の、だが、問題が起こった。



「われが後見人になろうぞ」

キラキラと目を輝かせて、サフルがそう宣言して胸を張ったのだ。

「いや、お前んとこ環境悪いから」

即座にリラックが却下した。

いいぞ、もっと言ってやれ。

保護者的な意味合いじゃなくて、シャルに対するリラックのように塔での後見人は、衣食住が一緒になる。

精霊に愛されし子は大抵一般の寮生から隔離の意味合いもあって、一流になるまで誰か一流の魔術師が後見人につくのだ。

どうやら俺の『日本語魔術』も、普通の寮生には混ぜられないと判断されたらしい。

「何を言う、あの術式を解明するのに、われの所以外相応しい場所はなかろう」

「ハーレム作ってるような人間のとこに、五歳の子供を預けられるかぁっ」

米神に青筋を浮かばせて、リラックは怒鳴った。

「なんじゃ、ケチくさいのぉー」

唇を尖らせて、サフルはリラックからぷいっと顔を反らした。

「昔のお主は、優しかったのに…っ」

ほんのりと目に涙を浮かべて震える姿に、一同の白い目が向けられた。

「あー、リラックが生徒として塔に入ったばかりの頃、子供ぶりっこして生徒に混じって、騙くらかしてた時期の話ですか」

聞いてますよとリュウが呟く。

「そうじゃ、あの頃はあんなに優しかったのにっ、われの歳と地位を知った途端、手のひら返しおったのじゃ、こやつはっ、酷いじゃろっ?真性のショタコンじゃぞっ、騙されるでないっ」

がしっと手を握られるが、俺は生ぬるい眼差しを返しておいた。

「なっ、すでにリラックに洗脳されておったか、リュクヤよっ」

よろりとよろめいて離れてくれたが、ふと姿勢を正して空中を睨み、うむと頷く。

「なんならハーレムは解散させてもよいぞ?」

耳がオカシクなったのかと思った。

見ると他の三人もそんな顔をしていた。

あ、有りえないだろ、ハーレムを解散させるなんて、主人公とのハッピーエンドコース以外にはなかったはず…っ

ちょっと待て…今の俺、『恋人さいあい』と同価値があるってことか?

最高のモルモットという言葉が浮かんで、怖くてリュウの背後に隠れてみた。

ハーレム入りも嫌だが、モルモットになるのも怖い。

「俺の弟なんだ、俺が面倒みるっ!」

リュウが俺を庇うようにして言ってくれ、俺は感激してリュウを見上げた。

いつの間にか騎士リュースとリラックがその様子を見て、安心したかのような表情を浮かべている。

「そういえば、リュウの弟じゃったか」

ちっとサフルは舌打ちした。

や、やばかった。

ハーレム解散させてまで、俺をモルモットとして欲しがるとは…っ

あ…リュウが塔所属じゃなくなるまでに、何とか一流魔術師にならないと、サフル後見人に→改めてモルモットに…と、なる可能性が高い。


なんだよこの嫌なフラグはぁぁぁっ(泣っ)



塔の後見人・塔は基本寮生活であるが、寮とは別に部屋を貰っている塔所属の一流魔術師が、特別に生徒をとること。大抵は精霊に愛されし子でその力が暴走しないように世話をしたり教育を専属で請け負ったりする存在。ゲームの主人公は、呼びだした相手が責任をとって後見人になってくれた。色々と将来的にもコネが出来て優位になる。


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