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UFO研究家、星野あかりの第一種接近遭遇!!!

作者: だぶのー
掲載日:2026/07/06

ギャグコメディです!

「来た……!」


深夜の草原で、望遠カメラを構えた美人UFO研究家・星野あかりは目を輝かせた。


「三十年追い続けた謎が、ついに私の目の前に!」


夜空から、銀色に輝く円盤が音もなく降下する。


「きゃー! 本物! 本物よ!」


興奮したあかりは、誰も聞いていないのに実況を始めた。


「皆さん、ご覧ください! 推定直径十五メートル! 表面は鏡面加工! あ、ちょっと左に寄ってくれる? 写真映えするから!」


すると、本当にUFOが少し左へ動いた。


「えっ、聞いてくれた?」


ハッチが開き、細身で大きな黒い瞳を持つ宇宙人が静かに現れる。


歴史的瞬間だった。


宇宙人はゆっくり右手を上げる。


あかりも慌てて手を振る。


「こんばんはー! 地球へようこそ! 日本語わかる? 英語? 宇宙語?」


宇宙人は首をかしげる。


沈黙。


「えーっと……」


あかりはスマホを取り出した。


「翻訳アプリで何とかなるかな?」


『こんにちは。』


宇宙人が機械のような声で言った。


「あっ、しゃべった!」


『電波を受信。言語学習完了。』


「便利ー!」


『質問があります。』


「どうぞ!」


『なぜ人類は写真を撮る前に変顔をしますか?』


「え?」


宇宙人はスマホ画面を見せる。


そこには、あかりが興奮して白目になった自撮りが大量に映っていた。


「ちがうの! これは事故!」


宇宙人は真剣にうなずく。


『地球の正式な挨拶と理解。』


そう言うと、後ろから次々と宇宙人が降りてきて、全員そろって白目をむき、口をへの字にしてポーズを決めた。


「違う違う違う!」


あかりは慌てて訂正する。


「普通はこう!」


にっこり笑顔。


宇宙人たちも笑顔を真似しようとする。


しかし顔の筋肉の構造が違うらしく、全員ものすごく怖い笑顔になった。


「ホラー映画じゃないの!」


その瞬間、一人の宇宙人が足元の石につまずいた。


「わっ!」


ドミノ倒しのように宇宙人全員が転ぶ。


ゴン!


ガシャーン!


円盤の非常階段まで飛び出してしまい、リーダーらしき宇宙人が逆さまにぶら下がった。


『隊長、重力を切り忘れました。』


『しまった。』


あかりは吹き出した。


「宇宙でもそんなミスあるの?」


『新人ですので。』


「親近感しかない!」


ようやく隊長が体勢を立て直し、あかりに向かって小さな箱を差し出す。


『友好の証です。』


「プレゼント?」


箱を開けると、中には七色に光る不思議な球体が入っていた。


「すごい……!」


思わず持ち上げる。


ポチッ。


「……あ。」


球体には押してはいけないらしいボタンが付いていた。


次の瞬間。


ブオォォン!


あかりも宇宙人も、草もカメラも円盤も、全員ふわっと宙に浮いた。


「きゃーーー!」


『重力反転装置、起動しました。』


「先に言ってーー!」


空中でくるくる回る研究家。


必死に泳ぐ宇宙人。


草原では牛までふわふわ浮き始め、のんびり「モ~」と鳴いている。


『非常停止!』


『ボタンが見当たりません!』


「押した本人もわからない!」


ようやく装置が止まると、全員が一斉に地面へ。


ドサドサドサッ!


あかりは草の上に大の字になった。


宇宙人たちもその横で同じ格好になっている。


しばらく静寂。


やがて隊長がゆっくり起き上がり、翻訳機越しに言った。


『第一種接近遭遇。成功。』


あかりは笑いながら答えた。


「成功……なのかな?」


『少なくとも、忘れられない出会いです。』


「それは間違いないね。」


宇宙船は静かに夜空へ飛び去った。


翌日、あかりが記者会見で真実を語ると、誰も信じなかった。


「宇宙人と一緒に空を泳ぎました!」


「牛も飛びました!」


「宇宙人、意外とドジです!」


会場は静まり返る。


そして一人の記者が手を挙げた。


「証拠はありますか?」


あかりは笑顔でスマホを取り出した。


そこに映っていたのは、白目でポーズを決める宇宙人たちとの記念写真。


その一枚だけは、世界中の誰が見ても――どう見ても、ドタバタコントの集合写真にしか見えなかった。

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