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二重彼氏  作者: 風宮吠魅
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涙と笑顔のハンバーグ

……負けるか。ハンバーグや部長なんかに負けるか。自分なんかに負けるか。


 頬を伝う涙をタオルで拭う。


「木下君」


 泣いたのがバレないように、木下君を睨みつける。


「まず、ボウルにミンチを入れてね」


「え?」


 思ってもみないことを言われ、私は目を丸くした。


「作るんじゃないの?ハンバーグ」


「いや、そうなんだけど」


 ペースを狂わされ、キョトンとする私と、予想外のことを言われてキョトンとする木下君。


 それがやけにおかしくて、私は笑った。


「ちゃんとサポートしてね」


「もちろん」


 あーもう。


 その分かってましたって顔に腹が立つ。

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