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二重彼氏  作者: 風宮吠魅
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無力

 私にハンバーグの材料と謎を与えた部長は、どこかに行ってしまった。

 木下君はばつの悪そうな顔で私を見る。


「ねぇ、今先輩がい――」


「ごめん」


 私の質問は木下君の謝罪に遮られる。


「何がよ」


「実はこの合宿で、俺は料理作っちゃいけないって約束なんだ」


「じゃあなんで作ったの」


 自然と言葉が荒々しくなってしまう。


「それは……」


 返答に困っている木下君。なぜかは何となく分かってる。


「鈴本さんがあまりにも料理下手だったから」


 やっぱりね。

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