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部活帰還
「このチャーハンはパラパラしてない。具材からして、難しいと思うけど、出来ないことじゃない」
部長さえも涙目になりながら、木下晴菜の評価を聞く。
全てのチームの評価が終わって、木下晴菜が私の近くにやって来た。
「顧問先生や部長さんから、この子が一番下手だと聞きました」
肩に、力強く手が置かれる。恥ずかしくて、自然と目線が下がる。
「そこで、午後を全て使ってこの子を鍛えたいと思います」
顔が引きつる。
「よろしくね、鈴本さん」
「はい……」
「しごくけど付いて来てね」
やっぱり。午後は涙目になりそうだ。
私と木下君は、みんなのチャーハンを少しずつ貰い、お昼を食べた。
「木下晴菜にサイン貰っちゃったー」
「私も欲しいーっ!」
みんな木下晴菜を探すため、外に出てしまった。
気まずい空気を、私は変えられなかった。