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部活へ
頭をさすりながら立ち上がる。
「啓斗。あんた気抜き過ぎよ。あの子を傷つけて」
仁王立ちで立つ木下晴菜。木下君の顔に影が差す。
「鈴本さん……」
木下君は私に駆け寄り、頭を下げた。
「傷つけたみたいで、ごめん」
その影は、私の気持ちがその影に浮き彫りになる。
「そろそろ……」
「ああ。行こうか」
私は自分の気持ちを言えずに、2人の後ろを歩いていった。
部活に戻ると、他のチームはチャーハンを作り上げていた。
木下晴菜の紹介の後、試食会が始まる。
「コショウの味がキツい。具材の味を生かさないと」
「むやみやたらに調味料を入れたらダメよ。相乗効果を狙ってるなら、組み合わせを考えないと」
木下晴菜の厳しい評価に聞いているだけの私まで辛くなる。