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「男なら抱きしめて来い」3
千鶴はまだ話したいようなので、女子の泊まる2寮に入る。
ちなみに男の俺は、寮に住んでる奴らと同じ1寮だ。
2階に広いスペースがあるらしく、そこで話すことにした。
「けーちゃん、今日『つーくん』が出てたでしょ」
千鶴は、腰に手を当て俺を睨みつける。
「ああ、うん。皿が割れる音で出ちゃったらしい」
「ちょっとひどくなってない?何でなったの」
「割れる音が今までより大きくて……大きく聞こえたのかもしれないけど」
今日のことを振り返ると、段々不安が大きくなってくる。
「鈴本さん、俺なんかと、付き合ってくれないかな」
「あんた好きなのっ?」
「好きだよ」
俺はムキになって言い返す。
「じゃあ抱きしめなよ」
「分かった」
どんなタイミングで、と聞こうとした時、どこかの部屋のドアが開く音がして、俺は急いで逃げ出した。