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呼び出し?
「いただきます」
部長が前に出て合掌する。
「いただきます……」
目にクマを作り、半開きの目でパンを探る。
見て分かるよう、寝不足である。寝れない理由は部長と木下君。
部長は隣で食べるし、木下君なんて同じペア。意識する必要はなくても、何故か意識してしまう。
「鈴本さん!」
「はいっ!」
急に名前を呼ばれて、大声で返事をしてしまった。みんなの視線を独り占めしてしまう。
「……ちゃんと起きてる?」
木下君が心配そうに私を見る。
「う、うん。大丈夫」
本当は大丈夫じゃないけど。
今日はチャーハン作りだ。もちろん作ったことはない。
あくびをしながらエプロンを着る。眠いけど、気合いを入れて頑張ろう。
「鈴本さん」
目の前にある鏡に、私の後ろに立った木下君が映る。
「昼食のチャーハン、12時より早く作れたらさ、被服準備室来てね」
私に耳打ちする王子様は、いつもと何かが違った。