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切り替え上手
「誰が寝ていいって言ったの?和泉?顧問?」
和泉先輩は副部長。でも今日はオープンキャンパスに行ってるらしく来ていない。
「言ってない……です」
小林先輩は、姿勢を正し、下を向いている。今までの態度からは全く考えられない。
「じゃあ常識がないの?」
「あります」
「じゃあ何で寝ようとしてんだよっ!」
「すいません……」
小林先輩は泣いている。
「じゃあ今から何をすべきかなんて分かるよね?」
「……はい」
小林先輩は、倒れた椅子を直し、シワの入ったテーブルクロスを整えた。
それを見届けると、部長は自分の席に座った。
「ふう、疲れた」
やはり笑顔だ。今度は威圧感を感じない。
「部長、切り替え早いですね。まるで二重人格みたい」
「こんなの二重人格じゃないよー。本物はもっとひどいから」
手を振り否定する先輩。知り合いに二重人格の人がいるのかな。