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二重彼氏  作者: 風宮吠魅
15/38

切り替え上手

「誰が寝ていいって言ったの?和泉?顧問?」


 和泉先輩は副部長。でも今日はオープンキャンパスに行ってるらしく来ていない。


「言ってない……です」


 小林先輩は、姿勢を正し、下を向いている。今までの態度からは全く考えられない。


「じゃあ常識がないの?」


「あります」


「じゃあ何で寝ようとしてんだよっ!」


「すいません……」


 小林先輩は泣いている。


「じゃあ今から何をすべきかなんて分かるよね?」


「……はい」


 小林先輩は、倒れた椅子を直し、シワの入ったテーブルクロスを整えた。


 それを見届けると、部長は自分の席に座った。


「ふう、疲れた」


 やはり笑顔だ。今度は威圧感を感じない。


「部長、切り替え早いですね。まるで二重人格みたい」


「こんなの二重人格じゃないよー。本物はもっとひどいから」


 手を振り否定する先輩。知り合いに二重人格の人がいるのかな。

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