10/38
異変
「じゃあ、皿に乗せようか」
木下君は、食器棚から皿を2枚取り出した。
その時だった。何かが割れる音がしたのと同時に、前のテーブルで悲鳴が上がった。
どうやらお皿を割ってしまったらしい。
「びっくりした……」
食器を割ったチームから視線を外し、木下君を見ると、なぜか頭を抱えていた。
「……木下君?」
「ん?」
私が呼ぶと、頭を抱えるのをやめて私を見る。
「どうしたの?」
「あー、何でもねぇ」
「……え」
木下君はいつも、こんな乱暴な言葉を使わない。それに、目つきも鋭くなってるような気がする……。
……気のせいだろうな、きっと。
「ちょっとトイレ行って来る」
私の視線で気まずくなったのかは分からないけど、木下君はエプロンを取って出て行った。
「なーんか変なの」
私はもう1つの皿を持ち、ハンバーグを乗せた。