Realigi 6 第一部 第三章 紫と青 第一話 「ゆりかごの少女」
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『…………なれる、のか?』
『不思議な力で━━、オレの、この紫の瞳は……青く、変化できるのか?』
わたくしに、力があったら……
『海の神よ、この子をどうか抱き留めたまえ』
せめて、あなたの夢だけでも━━
叶え、られたら……
波音がしている。
赤い髪の青年が、腕組み、海を見ている。
東に停泊している船に目を移し、彼は目を眇める。
「ふん、あんな船、俺の船が完成すれば、足元にも及ばぬわ!」
港は黄昏色に染まっている。昼と夜の間の、この微妙な時間が、彼は好きだった。
世界は色を変える。
黄、朱、赤、紫━━。
変貌の時間。
何かが起こりそうで、胸が弾む。
やがて日が沈み、宵と呼べる時間になる。
目の端で━━西で、光が起こる。
「……?」
金色の光は、もちろん夕日ではなく━━……
宙に浮かぶ光が弾け散り、そこから何かが落ち、海にしぶきが起こる。
「なんだ、あれは⁉︎ おい、誰か!」
側近たちが海へ飛び込み、落ちた何かを抱え泳ぎ、それを埠頭に引き上げる。
━━男。
まだ、若い。
十五、六くらいか。
「こりゃあ、おもしれぇ!」
彼はしゃがみ込み、側近たちを労いもせず、黄緑色の髪の少年を見つめる。
「光の中から現れるなんて、まるで、仙人だな!」
「王子、この者には、まだ息があるようです」
「たりめーだろ、仙人が死ぬかよ? ━━気に入った」
王子は気を失ったままの少年を見て笑う。
「たとえ仙人だろうとそうでなかろうと、どうでもいいわ! 連れて帰る‼︎」
彼誰時。
東の空に、金色の光。
それが、海へと落ちゆく。
「…………!」
紫色の髪の娘が、息を呑み、隣に立つ水色の髪の青年を仰ぎ見る。
青年は浜辺から駆け出し、沖へと泳いでゆく。
金色に光る球体━━海に浮くそれは、まるで揺りかご。
揺りかごには、少女が目を伏せ、横たわっている……
髪が広がり、金色に染まった彼女は、神々しいほどに、人を惹きつける。
青年は、息を呑み、しばし少女を眺める……




