表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Realigi(レアリーギ) ━━世界が誰もに微笑むなら━━  作者: うさぎさん⭐︎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/32

Realigi 19 第二部 誰もが微笑める世界を 第一章 新たなる王 第一話 「オレも、愛してます……」


   1


 波しぶきを上げ、船は進む。

 黒地に白いドクロテ━━ではなく、黒地に白い砂時計の海賊旗。彼らはそれを、船を襲う時に掲げ、早く降参しないと死が迫ると脅す。

 ━━そう、海賊船。

 ビリーヴたちは、海賊船に乗っているのだ。


「わたしは、奴隷船で本土へ連れていかれたあなたを追おうと思って━━本土への船に乗ったの。そしたら、嵐が来て、航路を維持できなくて、更にこの━━《テンペスト》っていう、海賊船が、わたしの乗っていた連絡船を襲って……」

 ベッドの上で泣き震えるヴィヴィを抱き返したまま、ビリーグは上体を起こす。

「怪我は? どこにも怪我はありませんか? 酷いことを、されませんでしたか?」 

 心配そうに自分を見つめるビリーヴを見て、ビィビィは微かに瞳を揺らす。

「ビリーヴ……? あなた、少し、変わった……?」

 ヴィヴィは、金目の物を略奪する海賊たちに、その美しさと貴族娘然とした格好に目をつけられ、この船に拉致されたのだ。そして、海を流れてきたビリーヴたちをヴィヴィが見つけ、彼らはこの船で介抱された。

「そうか……」

 助かったのだ。自分にとっては、最後の奇跡の力で。

「でも……どうしてですか? どうして、オレなんか追って……」


 船室のドアがいきなり開く。

「⁉︎」

- 現れた二十代前半くらいの男性が、ベッドの上の二人を見、顔色を変える。

 オレンジ色の髪に、青い瞳。青いバンダナに紫のシャツ、黄士のハープパンツ姿だ。

「て、てめぇ、俺様のヴィヴィに何してやがる⁉︎」


「国王が、変わった?」

 ベッドから身を起こした状態で、出された飲み物を取りながら、レアリーギは眉を寄せる。

 海賊の女性が、ももを手で叩き、イスに座ったまま身を乗り出す。

「そうなんよ! ミザント元王子が、元国王を殺し━━新王となったんだとよ」


「待て! 逃がすか、てめぇ、俺様のヴィヴィとどういう関係だ⁉︎」

 船内通路をヴィヴィと一緒に走りながら、ビリーヴは声を上げる。

「なんですか、お嬢様、アレ!」

「この海賊船のキャプテンのアクティ! なんか知らないけど、気に入られちゃったみたいなの!」

「気に入ら……って、こっち!」 

 通路を何度か折れ曲がる。

「キャプテンっていっても、普段は下っ端みたいなラフな格好で、そっちのほうが好きみたい」

「へぇー。なんか、いいね、そういうの」

「んー。連絡船で襲われたときは、もっと偉そうな海賊のキャプテンっぽい格好してたけどね。結構変なとこもあるけど……わりといい人みたいよ?」

「そうなのか?」

「紫の瞳のあなたも、もう一人の不思議な瞳の彼女のことも、ちゃんと介抱してくれたし。瞳の色で差別したりしない人みたいよ。この船には、青の瞳の人も、紫の瞳の人もいて、同じように笑ってるし。どこだか知らないけど、アジトの島があるみたいだし。海賊って、結構ナゾよね~」

 たまたま目についた部屋へ飛び込む。

 開ざしたドアのそばに背をつけ、壁の向こうに耳をそばだてる。

「ヴィヴィ~! 愛してるぅぅぅッッッ‼︎!」

 熱烈な声と、騒々しい足音が遠ざかる……

「「ふう……」」

 ため息をついて、二人は船室を見回す。

 大きな地図や旗、箱やタルや、船の模型、よくわからない魚の像などが置いてある。

「な、なんか物置?」

「ビリーヴ! うれしい……!」

 いきなり抱きつかれる。

「お、お嬢様……」

「また、あなたに逢えて! あなたが無事で、本当によかった! 海賊に捕まったときは、もう、どうしようかと思ったんだから! あれ? なんか、背、伸びた? それに、少したくましくなったみたい……。雰囲気もやっぱり、ちょっと変わったかなぁ?」

 ビリーヴは彼女から瞳を逸らす。

「お嬢様……オレ、プレスト様からお聞きいたしました」

 プレストは、ヴィヴィの父親の気に入りの側近である。密かにヴィヴィとつきあっていたビリーヴの存在を嗅ぎつけ、ヴィヴィの父親にそれを告げたのも彼だった。

「お嬢様は……、あの夜、港には来なかった……」 

 いつも、比べてばかりいた。

 彼女と、自分を。

 とてもとても不安で……

「お嬢様」彼女の肩を掴み、自分から遠ざける。「ご婚約……おめでとうございます」

 彼女は、自分を捨てた。

 青の瞳の貴族との、婚約が決まったから。

 ━━だから、来なかった。

 どっちにしろ、奴親は一人では船には乗れない。港から一人、連れ戻され、奴隷船に乗せられ━━その間、一度も彼女は、自分の前には姿を見せなかった。

 奴隷の自分より、彼を選ぶのは当然だ。

 最初から。

 不安で不安で。

 彼女の、自分への思いさえ、疑っていた━━信じ切れなかった。

 いつか、捨てられる日が来る……

 わかっていたはずなのに。

「なにそれ……本気で言ってる?」

 ヴィヴィの腫が吊り上がる。

「最低ッッッ‼︎!」

 ビリーヴの頬がはでに鳴る。

 彼を打った手を震わせ、ヴィヴィは下を向く。

「最低……! あんたなんでいつもそうなの? オドオドしてて、人の顔色ばっか見てて、わたしの気持ち、ちっとも、ほんとには言じてくれない!」

 奴隷だから? わたしが、青の瞳の貴族の娘だから?

「あんたの立場が微妙なのも、現実はそんな簡単じゃないのもわかってるよ……! でも、信じてよ! わたしのこと━━信じてよ……ッッッ‼︎!」

 ビリーヴの肩を揺さぶる。

「わたしは、あなたを追ってきたんだよ! 港に行けなかったのも、奴隷船へ乗せられるのを止められなかったのも、悪かったと思ってるよ! でも、わたしは━━閉じ込められたの……! お父様や、プレストたちに……! あなたに逢いに行けなかったのよ……ッッ‼︎」

 だから、家を飛び出して、連絡船に乗って本土へ行き、ビリーヴに逢おうとしたのだ。

「みんな、言うわ! 奴隷なんかに構うのは、やめろって。いい加減にしろって……大人になれって。でも……」

 ヴィヴィは主張を誰にも譲らな━━I強い瞳をして、言った。

「失くしたくない、捨てられない━━大切な想いってあるでしょ? きっと、大人になっても━━何があっても━━」

 ビリーヴを抱きしめる。

「あなたが━━好きなの━━心から、愛してるの……!」


 恐る恐る、だが━━力強く、彼女を抱き返す。

 彼女の肩の上に伏せた顔を上げ、ビリーヴは、迷いが晴れたように笑む。

「……信じます、お嬢様……」

 もう、疑って伝えたり、比べて泣いたり、一人で諦めたり絶望したりするのはやめにしよう。

 彼女の唇に、自分の唇を重ねる。

「オレも、愛してます……ヴィヴィ……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ