表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Realigi(レアリーギ) ━━世界が誰もに微笑むなら━━  作者: うさぎさん⭐︎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/32

Realigi 17 第一部 第六章 第三話 「生けていけるよう」

「━━コーラル」

 ガイコツたちを優しく離して、レアリーギはコーラルに歩み寄る。

「……みんな……」

 ガイコツたちを見回す。━━ビリーヴと、目を合わす。

「みんなの意見を聞かせて。みんなは、このまま、この海にいたい? それとも━━もう、眠りたい……?」

 彼女の紫と青の瞳に、みんな引き込まれる。

「わたくしは、ここにいるべき? それとも━━外へ、大海へ、出てゆくべき?」

 レアリーギは、俯き、スカートを握り締める。

 静かに顔を上げる。

「わたくしは……この船で暮らせたことを、永遠に誇りに思う。たとえ何があっても、ずっと━━忘れないから……」

 皆は無言でレアリーギを見つめている。

 きっと、微笑みながら。彼らもレアリーギと同じ気持ちだ。

 彼女のことを、永遠に忘れない。

 大好きだから。

「レアリーギ……君の、答えは? 君の進みたい航路はどっち?」

 内海か、外海か。

 ビリーヴに続き、コーラルも言う。

「進むべき、航路は」

 俺たちのことを気遣わず━━自分の出した答えは。


「わたくしは、ここにいたい。だけどきっと、出てゆくべきなのですわ……」


「だけど……みんながこの海で、このままの日々を続けたいというのなら。キャプテンとして、友として、家族として━━わたくしは眠りを強制したりしない」

 コーラルはガイコツたちを見回す。

 ビリーヴは訊く。

「君が、青の王女なら。外の世界で、何がしたい? 何をしようと、しているの?」「ミストは……わたくしに、青の新王となって、青の世を守護させたいみたいなの……。だけど、わたくしは━━。わたくしは……今度こそ、創りたい……青にも紫にも囚われない、平等な世界を……!」


   7


 満天に輝く星々を仰ぎ、ビリーヴは微笑む。

「星って……結構、いっぱい、いろんな色があるよね……」 

 海も空も、たくさんの色を見せる。

 世界は、たくさんの色や光や闇に包まれている。

 時刻による、空や海や━━色の変化。

 気象による、変化。

 たくさんの、そこに━━世界に存在する、自然色。

 人により、造られた色。

 それこそ、たくさんの、数え切れない、色たち。

 紫も、青も、黄も、赤も、黒も━━たくさんの、上げ連ねたら切りがないがないような……そのすべてに名前をつけきることなんて、決してできない、たくさんの、たくさんの、色たち。一見、似て見えても、微妙に、濃淡や色合いが違ったり……。受け取りかたが、違ったり……。変化したり……。

「不思議だよね。当然のことなのかもしれないけど……」

 ビリーヴは、欄干側から後ろへ━━コーラルたちのほうへ振り向く。

「オレは、この世界に生まれて。たくさんの色が見れて……よかったって……今、思った」


 コーラルの手を、握り返す。

 デッキには、たくさんのガイコツたちがいる。

 海や空を見ていたり、仲間たちと話していたり。自分たちを、見ていたり。

「おまえに逢えてよかった。ビリーヴ」

「オレも」

 コーラルたちの、出した答え。それは━━この海に眠ること。

 もう一度、星空を仰ぎ、海を、この船を━━仲間たちを見回して、

 ビリーヴは、コーラルから手を離す。

「オレに……再び奇跡が起こせるなら。誰かの望みではなく、なにより、オレ自信の望みとして。叶えられるなら……。どうか、オレや、レア、ミスト、ヒース……あの迷宮でのオレたちの行動が引き起こした、この、還りなき海から霧を晴らし、眠りなき船に━━安らかなる、眠りを……」

 ビリーヴから光が放たれ、船を海を空を━━世界を金色に染める。

 幻想的な、美しい光の中、ガイコツたちが、生前の━━生きた人の姿に還る。

 空から現れた、たくさんの人々が、船上にいる人々を抱きしめる。

「父さん」

 灰色の髪をした少年が、灰髪に小太り、優しげな顔をしたセシボンのそばに降り立つ。

「ヘリング⁉︎」

「父さん、俺……」

 セシボンは戻を流し、彼を抱き寄せる。

「シーマイル」

 長いセピアの髪をした女性が笑む。

「カトル……」

 金髪にセーラー服姿の精悍そうな青年━━シーマイルも、彼女を抱きしめる。

「聞いたよ。青の時代が訪れたんだってな。おまえもいろいろ大変だっただろう」

「あなた……」

 オクトは包容を交わす人々のなか、赤い髪を揺らし辺りを見回し歩き、紫の瞳をさまよわす。小さく諦めたように息をつく。握っていた望遠鏡が震える。

 頭の上に手が置かれる。

 振り仰ぐと、そこに、黄緑色の髪を三つ編みにした、冷酷そうな青年。孤児だった自分を拾ってくれた、心を照らす星のような人。

 わざとぶっきらぼうに、オクトは言った。

「……遅いですよ、ポーラスター様」


 デッキの外━━海に浮かんで微笑むヒースを見、コーラルは息を香む。

「ち、父上……!」

 ヒースは、コーラルを抱きしめる。

「おまえは、よくやった。済まなかった。わしが、バカだったのじゃ……。後はもう……」

 ヒースはビリーヴとレアリーギに目をやり、笑む。生前の彼からは見たこともないような、穏やかな瞳をしている。

「生者に任せ、共に眠ろう」

 コーラルは瞳から涙を溢れさせ、静かにその瞳を閉じた。


 ビリーヴとレアリーギは、操舵室で、金色の舵を取る。

 皆が眠った海からは、金の光が消え、黒き空に星々が広がっている。

 やがて、夜明けが訪れるころ、

 何かを越えた。海が変わった。

 そう感じて、二人は目を合わす。

 ━━霧を、超えたのだ。

 幽霊海域を包んでいた、今はもう晴れた、濃い霧を━━……

 同時に、《レアリーギ》が悲鳴を上げる。

 もう、この船はたない━━

 船が、沈みだす。


「最後の、オレの最後の願いだ」

 ビリーヴは感じていた。

 もう、自分からは力が消える。

 瞳が━━元に戻る。

「オレたち、二人に、生を……!」

 舵を握ったままのビリーヴの手に、レアリーギが、手を添える。

「どうか、わたくしたちを、この世界が抱きしめて━━生きてゆけるよう……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ