章題2 僕らに何ができたというのだろうか。 Ⅲ
「広瀬くん、好きです。私と付き合ってください」
それは、高校生になって三回目の夏終わりのことだった。
なんとなく、好意を向けられていることを察していたクラスメイトだった。
視線、挙動、空気感。周りからの冷やかしの目線。
ああ、僕のことが好きなんだろうな。なんて、冷静に思っていた。
夏休みの中盤、音々が旅行に行っている間に少し遊んだ子だった。
誘われた夏祭りは断って音々と行ったけれど、流石に二度目を断るのはまずいな、と思い、公園に呼び出されるなんて青春真っ盛りの誘いを受けたのだ。
気づいていた。告白されるだろうなということに。
慢心に聞こえるかもしれないが、何となく、そういう空気というものがあるのだ。
気づいていた、けれど。それでも応じた。
音々は妹。僕に彼女が居たって、なんの問題もない。
気がつくと、音々以外と恋愛をすることに、無意識に言い訳していた。
そんな自分を振り払うように。
返事を待つクラスメイトに笑いかけた。
貼り付けたような、しかし彼女にしてみれば見慣れた笑顔で、僕は言った。
「嬉しい。よろしくね」
喉がひりつく。
普通になりたい僕はいう。よかったじゃないか。
音々が好きな僕はいう。自分を誤魔化すのはもうやめろ。
頭痛が止まらなかった。
こういう時に限って、音々が自分を心配する顔が脳裏に浮かぶ。
どうしようもなく涙がこぼれそうになって、はにかむ彼女に乱暴に帰ると告げた。
彼女は戸惑っていたが、体調が悪いと言うとお大事にと僕を心配した。
違う、と。本能が言った。
音々はそんなふうに心配しない。
言葉だけじゃなくて、音々は、もっと。
頭痛がひどくて吐きそうだった。世界が歪んで見えていた。
何とか家までたどり着いて、安心した拍子に違和感が吐き出た。
もうなにも、考えたくなかった。
スクロールお疲れ様でした
やっと少し章太郎の人となりが見えてきました。
ここから再会まで一気に駆け抜ける予定ですのでお楽しみに。
タイトルを変えました。今までよりメッセージ性が強くなったかなと思っております。
今後ともよろしくお願いします




