彼のことをもっと。
せっかく怜央も家に遊びに来たんだし(ほぼ勝手な不法侵入だけど……)今日は一緒に家でのんびりするのもいいかも。
そう思ってソファーに寝転がる怜央をおいて私はキッチンに行くと、ココアをふたつ用意した。
怜央はきっとまだこっちの世界の飲み物をあまり飲んだことがないはず!
はい。どうぞ。と彼の目の前にココアを差し出すと、マグカップを不思議そうに覗き込んでいる。
怜央「なんだこれは。ゆきと同じで甘い匂いがする。」
私はココアと同じような匂いがするのか、、、?
吸血鬼の嗅覚って一体どんな感じなんだろう。
ゆき「それはココア!甘い飲み物だよ!」
怜央「飲み物、、、トマトジュースと同じようなものか?」
ゆき「まぁ飲み物だからそんな感じだね。」
怜央は不思議そうにマグカップを持つと少しココアを飲んだ。
怜央「んっ、あまい。美味しいな、これ。」
ゆき「でしょ!」
怜央「でも、ゆきの方が、、、。」
そろーっとさりげなく私の首に手を添えようとしてくる。
そうはさせないぞ、とじろっと彼を見ると怜央は伸ばした手を引っ込めた。
ゆき「怜央の世界には珍しい飲み物とかってあるの?」
ココアもこちらでは珍しいものではないから、正しくは、向こうの世界では普通に飲まれているものか!
怜央「ブラッドドリンクはどうだ?」
ゆき「血の飲み物、そのままじゃない!うぇぇ、」
怜央「俺の国では親しまれている飲み物だ。この世界のこのココア?と同じように。」
ヴァンパイアの国のこっちで言うココア的存在の飲み物は名前からして美味しくなさそうだ。
怜央「今度、飲むか?いつでも用意するぞ。」
ゆき「あ、大丈夫です。遠慮しときます、、、」
血の味がする飲み物ってなによ!罰ゲームじゃん!
即答で断ると怜央はそうか。美味しいのにな。と残念そうにしていた。
怜央はこっちの世界のココアも気に入っている様子だった。