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彼の正体


彼の言うことが現実離れしすぎていて、驚きの連発で数分間のフリーズをしていた。

はっ!!と意識が戻ると、彼はじーっと私を見つめている。

ゆき「ねぇ怜央、どうしてその、、人間界に来たの?」

落ち着いて彼の話をとりあえず聞いてみることにした。


怜央「俺はヴァンパイアの世界でヴァンパイアとして育った。しかし、俺のいた国ブラックスピネルには昔からある決まりがあってな。18歳になると人間界に送り込まれて、こっちの世界で暮らしながら自分に血を提供してくれる恋人を見つける。というルールがあるんだ。ちなみにその使命が果たせるまではブラックスピネルに帰ることはできない。」

ゆき「じゃあつまり、怜央たちヴァンパイアはパートナーが見つかるまで人間界で人間に紛れて生活をするってこと?」

怜央「あぁ、そういうことだ。当然この人間界で大量の人間を食い荒らして血を吸うわけにはいかない。変に捕まっても困るからな。その為にこの魔界ストアがある。栄養や食べるものに困った時はここを頼ればとりあえずなんとかなるからな。」

そんな便利なアイテムが今のヴァンパイア様にはあるのね、、、!

怜央「でもやっぱり血には変えられないな。味も美味しさも違う。人によっても香りや味は違うが。」

ゆき「そんなに人それぞれなんだ、、」


怜央はそのパートナーを見つけるために突然人間界へ飛ばされて、このお隣に引っ越してきたってことね。

牙もじっくり見ると偽物じゃなさそうだし、見たことない魔界ストアの箱を見たりしてるとやっぱり本当なのかも!


ゆき「じゃあもし相手が見つかったら帰れるの?」

怜央「そうだな。帰って向こうで父さんや母さんに紹介した後、誓いの儀式をして成立するようになっている。」

じゃあ一度、こっちで選ばれた女の子はそのブラックスピネルって怜央のいたヴァンパイアの国に連れて行かれるんだ!もしかしたら戻って来れない、とかなのかなぁ。


怜央「てことで、お前、、、」

ゆき「ゆきって言ったでしょ!」

怜央「悪い、ゆき、お前俺のパートナーにならないか?血の提供者だ。」

なんですか!そんな採血みたいに、、、!

ゆき「え、遠慮しときます」

血の提供者だ。とか言ってるけど紹介もされて儀式もするって実質結婚みたいなものじゃん!////////

ひぇ〜!そんなアニメみたいなことあるんだ!

怜央「なぜ断る」

怜央はむっとした表情でこちらを見る。

まるでなぜ俺様が誘っているのに断る?と疑問を抱いているような顔だ。

ゆき「あのですね、怜央さん、、私には私のこっちの人間界があるし、生活もあっていきなり血を吸われたりさらわれちゃ、困るのですよ」

怜央「、、、確かに言われてみればそうだな。」

もしかしてそこまで考えてなかった!?

ちょっとクールなフリして怜央って天然だったりする!?少しかわいいけど、、、なんて!

そんなこと思ってる場合じゃない!


ゆき「とにかく!私はヴァンパイアの血の提供者になるなんて!むりだから!」

はいはい!と怜央をおうちから追い出して、おやすみ!とドアを閉めた。

追い出しに成功☆


あーあ、ご飯も冷めちゃった、また温め直さなきゃ!

怜央も外に出しちゃったけど(追い出した)大人しく帰ったっぽいし??

まぁ、女の子なんて星の数ほどいて、あれだけ整った顔とルックスならそのうちパートナーも見つかるでしょ!


明日も仕事の私はごはんを食べるとお風呂に入って寝る支度をして、とりあえず聞いた話をあまり気にせずベッドに潜り込んだ。


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