それはそれは大きな者
私達はなんて小さな者なんだろう。私達はなんて曲がった者なんだろう。私達は大きな者を目指さなきゃならない。その踏み台はまず大昔、進化をとうして乗り越えた爬虫類だ、爬虫類は魚の一つ上の存在にある。しかしその力、凶暴性、それは何億年も前から恐れられ命を乞うことしか弱者に与えなかった者。いくら哺乳類の一つ下とはいえその力は多くの者を血に変えただろう。そんな者に僕らは一体勝ったと言えるのだろうか。
否
勝ってはいない。むしろ負けている。私達が今もしワニや恐竜相手に戦おう者ならすぐ土下座し諦めるだろう。そう僕たちは爬虫類を乗り越えなければならない。そこで現在天敵が最も少ない爬虫類、それは鼓最怒大蜥蜴である彼らの力は恐ろしく危険生物の代表例である。彼らの尻尾、口、鱗までが力を意味する。しかし乗り越えよう…
「こんなやつぶっ飛ばしてやる」そう男は言い放つ。
「そっ、そいつは鼓最怒大蜥蜴だぞ誰も太刀打ちできゃしねぇ無茶言うな逃げたほうがいい」
ある男は村人の言葉に恐怖を抱くことなく逆に喜んでいた。
「心配すんなって、俺ゃしなねぇなんてたって俺はあつとだからなぁ」
「誰かはしらんがまさか狩人なのか、そうなのか?」
村人の声には怯えと疑いがあった。しかしその心の中の片隅には間違いなく”希望が見えた”という喜びの感情が芽生えていた。
「狩人なんだな!よしッ信じる、ならあいつを早々に倒してくれ!」
「あたぼうよ!こんなやつ3手で終わらしてやるわ」
「そう焦んなって、3手なんて短いじゃないか、もっと長く激しく殺ろうやないか」
ズズズと背筋を舐められたかのような気持ち悪さをあつとは感じた。
「なッ、なんだコイツ...思った以上に気色悪いやつだなこいつが鼓最怒大蜥蜴なのか?」
ドドドと擬音が流れてもおかしくない恐怖を漂わせている。鱗、その目はまるで地獄の景色を反射したような赤黒い色をしていた。その口は何者も防ぐことのできない牙を持っている。その尻尾は全てを潰した後のように赤く汚い。
「はっ、見た目からして恐れられる訳だ鼓最怒大蜥蜴!」
「わしにも名はあるコーラじゃ」
「じゃあコーラ早々悪いが俺の血肉にしてやんよ」
あつとはそう言うとどこかしらに隠したであろう槍を出した。
「ほぉ、槍か...」
「こいつはよぉホースって言う、そこんとこよろしくな」
軽く挨拶を済ませたあつとはコーラにすかさず間合いに入り喉を突き刺す。しかし。
「おいおいまてまて、こいつは一体なんだ?村人が刺さってやがるじゃねぇか」
「その通りさ!わしゃぁいままでに食った人の身体を操ることができるのさ脳や胴を食ってあとは意のままさ」
「おい村のやつら!今まで何人食われてきた」
あつとは恐怖より不快感を覚えた、爬虫類とはいえ能力を計算にいれた考え方、それに言葉を使えたり、ここまでなぜ頭が回る一体なぜ?
「たしかぁ120人はくわれたはずじゃぁ」
「なに!このままじゃ俺もお前らもまとめて肉片になっちまうじゃねぇか」
「今更か、お前らはもうおしまいじゃよ生贄やたまに襲ったりしたが人はいくつか残しておいた、じゃが狩人が現れたとなったら住処を変える他ない。変える前に全員食ってやるわ」
コーラは全ての死体を操作して村人を拘束、あつともホースで死体の群れからコーラのもとまで切り開こうとするが一斉に死体に覆い被せられる。
「だめかッ...」
コーラは大きな口を開け、あつとに向かいかぶりつく...その時。
「死体を全部出したな、これで身代わりの盾もないって訳だ」
その時ある男はコインを人差し指と親指の間に挟み、構える。コーラにはそれを気づく暇はなかった。男はコインを親指で弾き飛ばす。コインはコーラの脳に直撃し、そこから身体中に向かい錆だらけにした。コーラの絶命と同時に死体の動きは止まり開放されたかのように倒れた。村人は安堵であつとは驚きで包まれる。
「あんた一体誰だよ」
あつとはその驚きに引っ張られ、男に話しかける。
「これで鼓最怒大蜥蜴の退治は完了...ん?あつとか!忘れたか俺だカイトだよ」
あつとは目を見開き改めて驚いた。なぜならカイトは死んでいたと思い、生きていたとは知らなかったからだ。
「お前は1年前の棲陽能海類清討伐の時、先陣切ってやられちまったはずじゃ...」
あつとは存在だけでなく姿にも驚いていた。カイトの見た目は昔より凛々しく細身あるアフロだからだ。
「なんだよその見た目、それじゃわからねーよ」
「そっか...俺も色々あってね」
あつとは嬉しさに少し口が崩れていた。
「ところでお前はなんでここにいる。俺はー任務でだけど」
「え?俺は嫌な気配を感じてよ」
カイトは笑っていた。だが目の奥には憎悪に近い何かを抱えていた。
「なぁ...あつと」
「何だよ、てかその表情こえーわ」
「俺と棲陽能を倒さないか、俺はあいつに終止符を打たなければならない」
棲陽能海類清それは大きな大きな者 この物語はあつととカイト達がその者を倒す物語である。