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社畜さん、魔王になります。  作者: 竹馬ダンサー
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ちょっと変わった怖い同期

この話をする前に私のちょっとした特技を紹介しよう。



私は昔から人の感情や感情の変化などを捉えるのが上手だった。

クラスのやんちゃなこが、クラスの静かな子を殴って叱られているときに、珍しくちゃんと反省しているように見えて、実は何も考えてないってわかったり。

小学生の頃、読書感想文で金賞を取ったときに、お母さんが褒めてくれたと思ったら、何も私のことを見ていなかったり。

そのせいで人と関わることがちょっと怖くなって、普段から人と一歩距離をおいてしまうようになってしまった。



そのことを踏まえて私の会社の同期について話そうと思う。



私の会社にはちょっと変わった怖い同期がいる。



いや、基本的なルールを守れないやんちゃなやつとか、表では周りにゴマをすっているが裏では陰口を叩くような陰湿なやつとかではなく、なんなら愛想や人付き合いもよく、仕事の成績も優秀で、部下のミスをちゃんとカバーしてやれる所謂、かっこいい、又は尊敬されている同期である。



ではなぜ、私がそんな彼に尊敬や恋愛感情でなく、濃いめの恐怖感情を抱いているのかというと、目に光がないのだ。なんというか表面上は元気なんだけど、目の奥にある底が見えない深い深い闇がある気がして怖いのだ。



なんというか、あのクソっていうか...とにかくめちゃくちゃクソなキモい上司にも普段から明るい笑顔で接しているし、あのくそやろうが仕事でミスしたときによくやるやつあたりにも()()()キレずに真摯に対応しているように見えるのだが、背筋がピンッっとなるような殺意を感じてるのだ。



そんな彼なのだが、なんと、最近目に光が帰りつつあるのだ。その目は誕生日にほしかったゲームを買ってもらった小学生のような、長かった夏休みの宿題を終えた子供のような、無邪気で輝いた目だった。



...正直、変なものでも食べたのかな?病気かな?と思ってしまうほどの変わりようだった。それは、周りの人にもわかるほどの変化で、



「山倉さん、ちょっと雰囲気変わったくない?」


「わかるー、前よりちょっと明るくなったよね〜」



昔、女社員の間で密かに噂されていた「山倉さんは彼女持ちではない」ということも相まって、虎視眈々とチャンスを狙う女社員が大量発生していた。



私もなぜこんなに変わったのかが知りたくて、周りの社員の獣のような視線がちょっときついけど、話しかけてみた。



「山倉さん、なんかいいこと会ったんですか?」


「えへへ...ちょっと好きなゲームが発売されて、楽しみで...」



山倉さんは、そう頭をかきながら情けなさそうにはにかんだ。

...うーーん、可愛いッ!いますぐ抱きしめたい衝動を理性で抑える。母性をくすぐる笑顔ですねぇ...こりゃあ女に狙われますわ。



いやー、意外だったなぁ...山倉さんってゲームするんだぁ...どんなゲームするんだろう?

ど○ぶつの森とかかな?いや、ド○クエだったり?知りてぇええええ!!



やる気出てきたぁアッ!!定時には帰ってやるッ!!



そう頭の中で宣言して、かつてないスピードで頭をフルスロットルで回転させ、タイピングが見えないほどの指のスピードでキーボードをタイプし始めた。

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