5.みひゃとぉぉぉぉ~~~
俯いて、自身のスカートを固く握りしめたアルマに思いっ切り抱き着く。
「話してくれてありがとう...」
私もご飯を抜きにされたり、理不尽な目に遭った経験はあるけれど、アルマとイルマと比べたら全然だ。
ぎゅっと力を込めて抱きしめる。
話を聞いただけで涙が出そうだった。
「エレオノーラは口も悪いし、意地悪だし、滅茶苦茶迷惑掛けてるだろうけど...あの子が貴方の救いになってて良かった...」
「...触れてもよろしいですか?」
泣いていて上手く返事が出来なかったけど、察してアルマが抱き返してくれる。
「私は恵まれています。優しい主が二人もいるのです。それに旦那様も奥様もエレオノーラお嬢様と同様にお優しい。
今、幸せなので問題ありません。どうか私達などの為に涙を流されないでください。私が怒られてしまいます」
少し笑ったような様子で背中をトントンとしてくるアルマにうんうんと言いながら結局泣いちゃう私。
「何してるのかしら?」
え???エレオノーラ?!
「なんで私の許可なくみさとに抱きしめられてるの?羨ましいわ。代わりなさいアルマ」
顔を向けるとエレオノーラが無表情でこっちを見ていた。
「い、いつから?」
「たった今よ。なんで泣いてるのよ...と言うか、イース潰れてるわよ」
「わぁ...わたいあ...らいじょううでぶ...(わたしは大丈夫です)」
無表情からあきれ顔になったエレオノーラの後ろにイルマが...
「いるまぁぁぁぁぁ~~~」
イースをアルマに預けて思いっきり抱き着いて、聖女の力を使う。
「ごめん、アルマからイルマの事聞いちゃって...本当はイルマにも許可を取らないとって途中で気付いたんだけど...。
あ!病気!ねえ!大丈夫なの?私の力で治せる?」
きょとんとしているイルマの顔を両手で包んで問いかける。
「みさと様、聖女の力が漏れ出ております」
「だって、病気が...」
「......姉の説明がダメダメすぎたのでしょうか?もう既に完治しております。ご心配をお掛けして、なんとお詫びをすればいいか...」
そっか、よかった...聞いた気がするけど、話の内容が結構重くてキャパをオーバーしていた。
「ああ、よかった...アルマは本当に心配してて...。
私の所為で二人の仲が割れちゃってる気がしてて...、仲直りしてほしくて...ごめん、イルマ」
「......みさと様に心労を掛けるくらいなら、あの駄姉とも仲直りいたします。
今回は、今回だけは姉の判断で結果的にお嬢様も助かりました...。
流石にこれ以上意地を張るのは止めますので...どうか、お気を鎮めてください...」
両頬を押さえつけられておちょこ口になったイルマに諭される二十歳を超えた聖女の私...。
「それにこれ以上構われると...その、嬉しいのですが、お嬢様に申し訳ないというか...」
「え?」
エレオノーラを見やると口元を膨らませて怒ってますって感じだった。
「ずるい。二人は元々わたくしの付き人よ!二人より私を優先するべきよ!」
えぇ...。
「あ、そうだエレオノーラ。手、手みせて」
「......」
「......わかった。分かったから...ハグは後でしてあげるから...」
仕方なさそうに手を出すエレオノーラの手を取って観察する。
「あれ...傷跡は?アルマに噛まれたってやつ」
「ああ...あれ?消えちゃったわ。初めてみさとが力を使った時に...」
そっか~よかった~流石に意地悪すぎるし...。
本人はもしかしたら思い出、形に残る絆みたいな意味合いで残していたのかもしれないけれど...アルマが滅茶苦茶気にしてたから...。
「けど、本当に残念なのよこれ。アルマに一生後悔させてやるって言っちゃったから、一生弄って、生涯かけてイルマと一緒に弄り倒してやるつもりだったのに...」
「...”一生”...」
「ふふふ、”生涯”...で御座いますか...」
アルマとイルマ嬉しそう...。
きっと素直じゃないエレオノーラの”捨ててやる”発言がただのコケ脅し、いつもの出過ぎた照れ隠しなのが完全に露呈してしまっているからだ。
一生、生涯、一緒に居るってことだから。
「ねえ、戻せないかしら?みさと?」
「アンタは!反省!しなさい!どんだけ!アルマが困ってたか!」
思いっ切り両頬を抓ってやる。
化粧が~とか、令嬢の顔が~とか知ったことか!反省しろ!
「いやい!いやい!やんでわたひだひぇ!みひゃと!(痛い!痛い!なんで私だけ!みさと!)」
「こんな子に育てた覚えはない!頬が腫れても治してあげない!この!この!」
「みひゃとぉぉぉぉ~~~」
アルマもイルマもクスクス笑っているし、イースは...お菓子食べながら見世物でも見るかのようにアルマの膝の上で寛いでた。
この子はもしかしたら将来大物になるかもしれない...。
そんなアルマとイルマの仲直り大作戦...私が暴走して解決したのでした。
タイトルは誤字じゃないです...(笑)
勿論、みさとのエレオノーラへのお仕置きもキュートアグレッションではありません。
イースはエレオノーラの事を別に嫌っていたりもしてないです。
ただ、みさとの優先順位があまりにも高すぎるためなのかもしれませんね。
次回は本編...殿下とエレオノーラ、みさとフィリップ...ともしかしたらあの人が絡む話に移行する予定です。
まあ、あくまでも予定ですが...。
次回もお楽しみに!
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