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1.言い訳する殿下と拗らせる悪役令嬢

「本当に申し訳なかった...」


エレオノーラと私に頭を下げるのはカスパール殿下とフィリップさん。


今日は約一週間ぶりの再会で、この一週間は彼らにとって割と大変な期間であったはずだ。


王弟、ヴィクター・ド・サンチェス公爵の謀によって貴族の半数以上がソフィア、主人公の力で掌握されて国の危機だった。


捕らえたヴィクターとソフィアの処遇、反乱物質の洗い出し、未だに何が面白いのか滞在中の帝国の第二王子、ヴィクターと洗脳抜きで協力していた貴族派閥の貴族達の領土問題...大変すぎる。


結局殿下達を悩ませていたヴィクターは貴族派閥を影で操っていた。


大手を振って旗を振るのではなく、選民思想の強い貴族を権力で後押ししたり、庇ったり、中々姑息な手段を取っていたようだ。


これはシルヴァ夫妻から聞いた話でお二人も忙しそうに動いていた。


「.........」


「私は...特に...えっと、勝手に忍び込んで怪我しそうになっただけなので、大丈夫です」


エレオノーラは無表情で殿下を見つめて返事を返さない。


「今回、相手の出方を見ていたら思った以上に行動が早くて、二人を上手く逃がせなかった。それに...エレオノーラが乗り込んでくるのも予想外で...大変申し訳ない」


「へぇ...」


エレオノーラが短く反応すると...フィリップさんが片手で目を覆って上を向いている。いわゆる、「あちゃ~やっちまった~」というポーズだ。


何故「あちゃ~」なのか、不安でイースを膝の上で抱きかかえるとエレオノーラが...。


「余計な事であったと仰りたいのですか?」


「いや!そう言うことが言いたいのではない!」


「では、どういうことなのですか?」


大声を上げずに静かにブチ切れるエレオノーラが怖すぎて私まで少し緊張しちゃう。


「その...予想外だったのだ...エレオノーラはてっきり、その...みさと様を優先してシルヴァ領に立て籠る、もしくは魔術院に立て籠る...もう少し時間の猶予があると思っていたんだ」


「わたくしが...貴方を助けに行くと思わなかった。だからの今回なにも連絡を寄こさず、のけ者にしたという事ですか」


「ま、待って頂きたい、エレオノーラ嬢。あの女も中々しつこくて、それに連絡しようにも魔通話は使えず、イルマもアルマも完全に君たちの身の安全のためにある意味付きっ切りだったのです。


間者も居て、ここはエレオノーラ嬢にみさと様を任せて我々だけで事に当たった方がいいかもしれないと殿下は判断されたのです。


決してのけ者になどしていません。どうか気を鎮めてください」


見ていられなかったフィリップさんが殿下を手助けする。


「けれど、わたくしはどうやら婚約者を見捨てて、親友を抱えて自領に逃げる女だと思われているそうです。


それに、みさとの事が無くても未来の王妃として...国が傾くのを黙ってみているつもりはありませんでした...


それら全てが予想外...殿下のわたくしに対する評価はその程度...結局、魔術師としての力と血筋にしか興味が無いのでしょうね」


ああ、勘違いに素直じゃないのが重なってすごい事になってしまった。


「違う!エレオノーラ、そういうことを言っているんじゃないんだ!話を...」


「はい!ストップ!ストップです!殿下。ここは一旦お開きにしませんか?


エレオノーラの事には少し時間が必要みたいです。殿下もフィリップさんもここ最近は忙しかったでしょうし、この話し合いはもう少し気持ちに余裕が出来たらにしましょう。


私も協力しますし、フィリップさんも協力してくれます!ね?フィリップさん!


はい!イース、エレオノーラの口を塞いでいて?これ以上喋らせるとマズいから!」


イースはまだ小さい両手でエレオノーラの口を塞ぎに行く。


「ちょ!不敬!かなり不敬!」と騒いでいるが、イルマもアルマも止めないし良いだろう。


「ええ、勿論。ここはみさと嬢の仰る通り出直しましょう。殿下の執務に壊滅的な被害が出るだけで今は済みます。そもそも殿下の言葉選びも既に壊滅的なので一旦クールダウンしましょう。ええ、それがいい」


お互い下を向いて落ち込んでる殿下とエレオノーラを置いて部屋の隅でフィリップさんと作戦会議だ...。


「えっと...執務大丈夫そうですか?」


「大丈夫ではありませんが、この際仕方ありません。殿下はエレオノーラ嬢をずっと心配しておられた。今回も危険な目にあって欲しく無くてシルヴァ領へ逃げやすいように配慮しておられた。


しかし、言葉選びと拗れ具合が...みさと嬢、エレオノーラ嬢を任せても良いだろうか?」


一週間前、少し離れたところから騎士から剣を奪い、目にも止まらぬ速さで私を守ってくれたフィリップさん。


そんな時でさえ不安そうな顔など見せなかったのに、主の恋の行方には自信がないらしい...。


「エレオノーラの誤解を解くには殿下の協力と、エレオノーラにもっと素直になってもらうしかありません!一旦ここは任せてください!殿下の方も頼みます、フィリップさん!」


「非常に頼りになります。それと...色々片付いたら、今度こそ買い物に行きましょう」


覚えてたんだ...あれから時間は経っているけれど、結局エレオノーラや夫人としか外出していない。


「ええ、エスコートしてくれるなら...嬉しいです」


フィリップさんは優しい。


一旦、エレオノーラと殿下と...あと、アルマとイルマの事も解決しなきゃ...。


殿下にも言い訳があって、エレオノーラにも思うところがあるようです。


次回はアルマとイルマのエピソードに行こうと思っています。


次回もお楽しみに!


続き気になると思っていただけたらお気軽に☆☆☆☆☆を★★★★★にポチっとよろしくお願いいたします。

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