11.私が主人公で...主役
「急に一部の通信網がクローズされた?相手側から?」
私はセファロ、魔術局の同僚には副局長と呼ばれています。
姓もあるのですが元々平民出身で、爵位も一代限りなので正直なじみが薄いです。
今日もエレオノーラ様からの無茶ぶり...大事な仕事を任せていただいたので朝から業務に励んでいたのですが...。
「ええ、突然です。技術提供していただいている貴族や一部の商会、王城の官僚からコンタクトを拒否されています」
意味が分からない。
「総数は?」
「通信網全体の四割程です。やはり...エレオノーラ様でしょうか?」
いや、これは立派なこの国への攻撃に等しい。いくら規格外のエレオノーラ様であっても、こんな事はなさらない筈。
ふと、目の前の何もない空間が歪んだと思ったら...
「上級職員を集めなさい。最近舞踏会にも王城にも行っていない...と言うか、研究室から出ていない引きこもり限定で」
まばゆい光と供に私の執務室に転移してきたのはエレオノーラ様だった。
そこから私たちはまず情報収集を行った。
現在、このローエンベルク王国の一部の貴族たちに連絡が取れない状況にあり、実際に会って問い詰めてみると協力関係の解消等を理由にはぐらかされるか、話を取り合ってくれないと言った状況だった。
普段なら非常識だな、関わらないでおこう...で済むのだが...。
「一斉に前触れもなく、隣国の王子が訪問されているこのタイミングで?エレオノーラ様のご両親はご無事ですか?」
「投獄されていたわ。異常事態発生時に王城で陛下夫妻とランギエールおじ様達との会合中に...ね。
陛下達も騎士たちに軟禁されているらしいわ。
殿下は.........カスパール殿下は...ソフィア嬢の所よ」
「軟禁...それにまさか投獄とは...それにソフィア嬢とは?」
私達は割り出した異常発生時間と同時刻、聖女様とエレオノーラ様が遭遇された令嬢たちの異常について聞かされた。
「魅了魔術でしょうか...?」
「分からないわ。けれど、みさとは...聖女様はソフィア嬢が...ソフィアが特別な力を持っている可能性が高いと言っていたわ」
「では...これは、クーデターという事でしょうか?」
「......侵攻か、クーデターか定かでは無いけれど...貴族議会を招集という事は王に取って替わろうとする黒幕は居るでしょうね」
貴族議会、法律や予算案など話し合う貴族で構成された議会。
王が機能不全を起こしたときに新しい王を強制的に指名する決議する権利すら保有する力ある仕組み。
全体の七割が賛成なら王とは言え拒否はできない。
私が把握している限り、王の支持は揺るぎないものであったはず...だが...。
「決議を通す算段がついたからこその招集でしょう。この際楽観は捨てるべきだわ
セファロ、直ぐに国を囲う魔術防壁を点検なさい。もしもの場合、都市機能を止めてでも出力を最大にして国を閉鎖しなさい。
わたくしが何とかするわ。けどなんとかした後、国が攻められては元も子もないわ。
この魔術院なら三カ月は籠城できるわ。三カ月で陛下か殿下に王権を戻して......そのあとは、責任取ってわたくしと一緒に火炙りね」
えぇ...エレオノーラ様...。
チョロぉ~...チョロすぎ。あ~何が魔術院統括局長よ。結局は悪役令嬢じゃない。
机に足を乗せて、ソファーでくつろぎながら例の〝飴玉〟奥歯で噛み潰す。
アホみたいに高そうな机で貴族名簿を確認している共犯者は目もくれない。
勝手に私が〝仕掛け〟を起動したのをまだ根に持ってる。
そろそろって言ってたから起動したのに...。
「で?うまくいくの?あんたの言う貴族と官僚、商会のトップに仕掛けた訳だけど...いい加減疲れるんだけど?」
「え?勝手に起動したから色々大変?チッ...大体、私が居ないと実現できない計画なの理解してるわけ?」
私はこの世界を知っていた。
シナリオも、流れも知っている...いや、知っていた。
あの悪役令嬢...エレオノーラが何故かやたら力を持っていたのは知らない。
カスパールに良く思われて居るなんて知らない。
魔術局長?あのエレオノーラが?
「あ?それはお互い様?はっ!まあ、いいじゃない。男爵の小娘の力も役に立ったでしょうが...」
私の知るシナリオではエレオノーラは魔術を上手く使えない、プライドと地位だけの噛ませ犬だったはず。
それがいざ貴族社会に出てみれば、ああ宮廷魔術師だ、やれ未来の王妃だ。
完全に私の知るシナリオからかけ離れていた。
しかも聖女?設定集にも載ってなかった設定今更持ってくんな、誰だよ。
「ああ、それと〝飴玉〟少なくなってきたから、頂戴よ」
私には幼い頃から”ある二つの力”と”記憶”が備わっていた。
片方の力のおかげで私は誰からも好かれる...人生イージーモードだった。
けど、超燃費悪くて連発出来ないし維持もなかなか難しい。
共犯者のこいつから貰える〝飴玉〟を食べるとそれが簡単になるって訳。
つか、ほぼ傀儡っていうか...意のままに動かせる。
マジですげー強化されんの。〝飴玉〟様様だわ。
もう片方は燃費の心配はないしクソつえ~。
記憶は...もう、ほとんど役に立たない。まじ使えね~。
「あ?知らねーよ。王様?とかエレオノーラの両親とかに力が効かなかったのはおめーの責任だろ。
どうせ王家の秘宝が~とかだろ?いいじゃん。後でまとめてポイ?だろ?一緒一緒...。
で、そこそこ終わったらカスパールとフィリップ頂戴ね。あんなイケメンなかなかいねーし」
なんか一部の人間には効かなかった。
なんでか分かんない。こんな事初めてだしよくわかんないけど、共犯者的には許容範囲らしいしいいや。
こいつとはアカデミーに入る前に、私が力を使っている所を見つかって以来の仲だ。
私は狂ったシナリオを私の都合のいいように書き換えるため、こいつは自分の権力の為に利用し合ってる。
「あ~早く断罪イベントしたいな~。エレオノーラの奴、くそ生意気だったしな~。やっぱ極刑っしょ。
身ぐるみ剥いで処刑場まで遠回りで引きずりまわしてさ~。
え?聖女?ああ、好きにしていいよ。要らんわあんなモブ顔」
一体あの”同郷”っぽい聖女(笑)はなんだ?やたらエレオノーラが気にしてたけど、どう見ても...。
「まあ、これでフラグも建ったし後はパパっとエレオノーラを消して贅沢三昧、お気に入りの攻略対象を手にしておしまいっしょ。あ~あぶね~あぶね~」
エレオノーラの所為でこちとら計画、シナリオが壊れてどうしようかと思ったけど...
「主人公には勝てないってね~。悪役令嬢らしく引き立て役になってもらいましょうかね~」
新しい〝飴玉〟を取り出して口に含む。
奥歯で噛み砕きながらこれからの生活に思いを馳せる。
「本当に楽しみ...舞踏会...。私が主人公で...主役...あっは!」
私が執筆者で...作者...あっは!どうもまーるです。
人は見かけによらないんですね。
次回はみさと...はお休みでさてはて...。
次回もお楽しみに!
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